オペラの運命: 十九世紀を魅了した一夜の夢 (中公新書 1585)
- 中央公論新社 (2001年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121015853
感想・レビュー・書評
-
歌つきの演劇なら、ミュージカルもあるいは能なんかもそうなのに、オペラをオペラだと言い切る要素ってなんだろう? と以前から思ってました。能とはさすがに違うだろうとは思えるけれど、オペレッタなんてものもあるし、オペラの定義がわからない。
そんな無知な私に親切な手引書でした。
オペラの個々の作品を解説したものではなく、オペラがいつごろどうした状況で生まれて発展し、現在はどんなふうに落ち着いているかという、一種の歴史書。
その歴史についても、作品の作り方や特徴だけではなく、オペラが生まれ上演された時代の空気を中心に書いてくれているので、私のようなオペラの素養がない人ばかりじゃなくて、オペラ愛好家の方にとっても新鮮な知識を提供してくれる本ではないかなと思います。
とりあえず、オペラってこんなものという雰囲気はつかみました。
映画や小説に出てくるオペラ劇場の貴賓席やボックス席ってなんであんな舞台の見づらい場所にあるんだ?という疑問が解決されたのが個人的には一番嬉しかったポイントですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
オペラというとんでもない金食い虫が、いかにしてスポンサーを王侯貴族からブルジョワ、さらには一般大衆へとシフトしていくかという変遷とともに、「芸術」としてその「作者」が神のいない時代の神として君臨するまでの物語として、要領よくまとめられている。
映画との類似性がよく言及されるのもわかるが、著者は映画の知識には乏しいとみえて「ひまわり」をニーノ・ロータの作品と間違えたりしている -
「西洋音楽史」が面白かったので。オペラも伝統芸能のようにすごく「型」が決められた芸術だったみたい。20070203