- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121015907
作品紹介・あらすじ
超高層ビルの窓からは、江戸の文人墨客が夢みた大江戸一目図屏風を体験し、ドライブでは昔の八景画や回遊式庭園に代わる空間を味わう。海外旅行先では、絵葉書風の紋切り型でない、思いがけぬ景色を発見する。著者はこうした例を通して「制度化された」古典的風景にとらわれない、自らのうちに生成される風景の現場に読者を誘い、風景の愉しみ方を会得させてくれる。前著『風景学入門』につづく、キーワード付実践篇。
感想・レビュー・書評
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景観工学の重鎮...流石です。
大きく五つの章に分かれています。その章にあった風景や著者の目を通したエピソードなどを読むことによってその章の言わんとすることが伝わります。
ランドスケープのこと日本庭園の背景、そして身近な街の風景や田園など風景、田舎の山、川...
何気なく目にしていたものを著者の言葉を借りて改めて見渡すことにより、新たな発見に気づき、またその章をたどることで、本のタイトルにもある「実践編」...なるほど...
著者のあとがきの中にもありましたが、本当にエッセイのような印象でもあります。
風景を愛でる視線の動きが美しい言葉で書かれていて素敵な実践編...だと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『風景学入門』(中公新書)の続編です。
序章では、おそらく哲学者の市川浩の「身分け」や言語学者の丸山圭三郎の「言分け」などの概念をもとにして、「見分け」と「言分け」という概念を基軸に、自然的・文化的風景のうちに投錨されている身体的な存在としての人間の観点から、風景についての理論的な考察がおこなわれています。
一方本論は打って変わって、著者自身が体験した、日本やフランスの街や自然の風景について自由に語るエッセイになっています。前著同様、眼前の風景のなかに文化史的な厚みを感じとりつつ、著者自身が体験した風景の魅力がのびやかな文体でつづられており、おもしろく読みました。 -
なんでこう建築学とか都市学って妙に形而上学的になるんだろう。こねくり回した表現や、具体的な描写や、「今思い出したが」(たぶん書いてる時本当にすっと思い出したんだろう)で始まる脱線話が入り乱れている。
紹介される風景は見てみたいようなものばかりだし、エピソードも面白いが、通読しようとは思えない。実際この著者と話しながら歩き回ったら面白いんだろうけどな。 -
教科書的には,「風景学入門」をお薦めしますが,この実践篇は師が僕たちに話しながらまとめておられた書なので,リアルタイムで読み聞かせられたような思い出の一冊です.ありがたし.
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今まで気づかなかった視点を発見させてくれた。言葉遣いもきれい。