「超」文章法: 伝えたいことをどう書くか (中公新書 1662)

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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016621

作品紹介・あらすじ

企画書、評論、論文など論述文の目的は、伝えたいメッセージを確実に伝え、読み手を説得することだ。論述文の成功は、メッセージが「ためになり、面白い」かどうかで決まる。それをどう見つけるか。論点をどう提示するか。説得力を強めるために比喩や引用をどう用いるか。わかりやすい文章にするためのコツは。そして、読み手に興味を持ってもらうには。これまでの文章読本が扱ってこなかった問題への答がここにある。

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  • 「超」文章法
    伝えたいことをどう書くか
    著:野口 悠紀雄
    紙版
    中公新書 1662

    本書は、文章を書く際にすぐ使えるマニュアルになることを目指している
    その対象は、論述文である。つまり、論文、解説文、報告文、企画書、評論、批評、エッセイ、紀行文などである
    この手の文章の目的は、読み手を感動させることではない。読書を説得し、自分の主張を広めることだ。
    「ためになり、面白く、わかりやすい」文章だ。

    気になることは以下です。

    ■メッセージこそ重要

    ・メッセージの明確化
     執筆作業で最も苦労するのは、テーマの発見だ。うまいテーマを見つければ、あとは何とかなる
     つまり、重要なのは、形式ではなく、実体、伝えたいメッセージの内容である

    ・メッセージといえるものは
     ①ひとことでいえる
     ②どうしても書きたい、突き動かされるように書きたい

    ・ピントをあわせる
     文章を書く作業は、見たまま、感じたままを書くことではない、その中から書くに値するものを抽出することである

    ・広いと浅くなる
     ①広いテーマを一定字数で論じようとすると、どうしても浅く薄くなってしまう
     ②こうしたテーマは、すでに先人たちによって語りつくされている。それに付け加えるものはほとんどない

    ・ではどうすれば、メッセージが見つかるか
     ⇒ メッセージを見つけるには、ひたすら「考え抜く」しかない
     ⇒ 考えない限り、アイデアは生まれない
     ⇒ 裏命題、考え抜けば、アイデアは降臨するのか?
     ⇒ 私は、多くの場合、正しいと信じている

    ・対話で見つかる 

    ・パソコンで書いたものを紙に打ち出して持ち歩いてみる。読んで気づいたものを、書き込む、修正する
     すなわち自分と対話をする

    ・教科書に書いていることはテーマにならない。すでに重要な論文の内容をまとめたものが教科書
     論文になるのは、教科書に書いていないものということになる

    ・なぜ、メッセージが8割の重要性にも関わらず、メッセージの発見法がかいていないのか
     ⇒ マニュアル的なノウハウがないから。ノウハウがないことがノウハウなのである

    ・考え抜くには、考え抜くための環境を準備することだ。

    ・書くに値するメッセージなのか。
     必要条件は、ためになるか、あるいはおもしろい
     十分条件は、ためになり、しかも面白い だ。

    ・読者は誰か?
     ①ためになるかどうかは、読書によって大きく違う
     ②読書の理解度を想定する必要がある。書き手が当然とおもっていることも、読み手が知識を持ち合わせていないことが実に多い

    ■骨組み 内容面

    ・冒険物語、内容面での骨組みづくり ~プロット~
     ①故郷を離れて旅にでる
     ②仲間が加わる
     ③敵が現れる
     ④最終戦争が勃発する
     ⑤故郷に帰還する

    ・なぜ、旅にでるのか それは故郷にいても、日常であり、事件が発生する余地がないから

    ・なぜ、故郷にもどるのか それは、家ほどすばらしいところはないといいたいから

    ・なぜ、悪役が必要なのか
      ①反対概念や、対立概念を示せば、それと対比して元の概念の正確をはっきりできるから
      ②対立するものがいないと、話がおもしろくないから

    ■骨組み 形式面

    ・文章には、短文と長文しかない
    ・全体は、序論⇒本論⇒結論 の3部作で

    ■筋力増強

    ・比喩(たとえ話):明白なことを持ち出して、それと同じ論理構造になっているとする説明法
     簡潔であり、協力である
    ・比喩を使うと論理関係がすぐにわかり、かつ印象に残る

    ・抽象的な数字もわからない
     失業率5.6% はイメージ浮かばない
     失業者350万人 で、もう少しはっきりする
     横浜市の人口とほぼ同じ といわれると具体的なイメージになる

    ・引用とは権威に頼ることである 
     ①私はこう考えるより、ゲーテがこういった、のほうが説得力がある
     ②引用は、筆者を守る。護身術として引用をつかう
     ③論文の内容が思い付きや独りよがりでないことを引用は語る
     この3つが引用の効果である

    ・西洋は、聖書、シェークスピア、ゲーテが3大引用元であるが、日本では、徒然草である

    ・エピグラフ 本や、章のはじめにある題辞のこと、モットーともいう

    ■化粧 わかりにくい文章と闘う

    ・単文 主語+述語
    ・重文 複数の短文を順にならべたもの
    ・複文 複数の短文が、入れ子式になったもの

    ・どうすればいい
     ⇒ 複文を分解し、主語を2こ以内に
     ⇒ 漢語をつかって、節を句に変える
     ⇒ 余計なものをすべて削る

    ・日本語の特徴は、最後まで読まなければ意味がわからないことだ
     ⇒ 文と文とのつながりを接続詞で、明確にする
     ⇒ 接続詞をパラグラフの先頭にもってくる
     ⇒ 代名詞をさけ、名前をつける

    ・書き方
     ①結論を先にいうか、理由を先にいうか
     ②一般⇒具体か、具体⇒一般か

    ・わかりやすい順序にする
     ⇒ 最初に見取り図を示す
     ⇒ 箇条書きにする
     ⇒ 脱線、注記を明示する

    ・わかりにくさ
     ⇒ 部分と全体の関係がはっきりしない
     ⇒ 論理関係を正確に

    ・役人向け国会答弁用わかりにくい文章の作り方
     目標は、正確であり、かつ、わかりにくい
     ⇒複文を多用
     ⇒複雑な文構造にする
     ⇒修飾語と被修飾語の関係をあいまいに

    ■化粧 推敲

    ・文章表現に唯一絶対というものはないのだから、あまり神経質にならなくてもよい

    ・形式チェック
     ⇒タイトルは適切か
     ⇒章・節・パラグラフは適切か
     ⇒誤字脱字
     ⇒読点は適切か
     ⇒漢字、かな、カナの比率
     ⇒表記や用語の統一

    ・表現チェック
     ⇒簡潔に、削りに削る
     ⇒同じ表現を避ける
     ⇒語尾は適切か
     ⇒が、はパラグラフの中では、2回まで
     ⇒思い違いに注意
     ⇒避けたい表現
      ①乱用されている表現
      ②陳腐な形容詞、副詞、比喩
      ③内容空虚な紋切り文
      ④不快感を与える表現
      ⑤品位を下げる表現
      ⑥カナやアルファベットが異常に多い

    ■始めればできる

    ・まず始めよ
    ・始めれば完成する
    ・パソコンを使えば、いくらでも修正できる
    ・読みやすい文章を書く秘訣、とりあえず捨てること
    ・対話とメモで修正
     ①自分自身と対話する
     ②すぐに消えてしまうアイデアをとりあえずメモする

    目次

    プロローグ
    第1章 メッセージこそ重要だ
    第2章 骨組みを作る(1) 内容面のプロット
    第3章 骨組みを作る(2) 形式面の構成
    第4章 筋力増強 説得力を強める
    第5章 化粧する(1) わかりにくい文章と闘う
    第6章 化粧する(2) 100回でも推敲する
    第7章 始めればできる
    あとがき
    参考書案内
    索引

    ISBN:9784121016621
    出版社:中央公論新社
    判型:新書
    ページ数:280ページ
    定価:780円(本体)
    発売日:2002年10月25日

  • この本は、『「超」文章法』ですが、この本こそ著者の「文章法」そのもので執筆されたものです。

    論文では、まず初めに結論を述べるのがよいと書かれていますが、この「文章法」はすでにプロローグにどの章(7つの章からなっています)が1番重要であり、どれが、それほど重要でないか、結論が述べられています。

    確かに重要とされる章(メッツセージこそ重要だの章。骨組みを作るの章)が読んでいて引き込まれ、重要でないとされる章(文章の化粧の章)は英単語の暗記でもするような退屈をかんじました。
    時間がない読者は重要とされる章だけ、まず読んでみるのもよいのではないかと思います。

    2002年刊行の新書ですので、7章ではパソコンで書くことの有用性についても述べられています。確かにパソコンのない時代は「文章法」は全く別物でさぞかし難儀だったでしょう。今の時代は便利になったものです。

    この「文章法」は、時代の過渡期においてはかなり重要な位置をしめたものだったことがうかがわれます。
    けだし、現在においても十分通用しうる内容でしょう。

  •  文章の書き方についての、巻末の参考書リストがよい。ハズレを遠ざけ、アタリを近づける。

  • 「超」文章法 (中公新書) 新書 – 2002/10/1

    文章は書き始めることが重要
    2011年9月5日記述

    2002年に出された文章に関する本。
    パソコンによる編集しつつ文章作成することが画期的であると最終で述べている。
    何度も推敲しながら書くことは紙で書いていた時代では考えられなかったと。
    このことは超発想法や超勉強法にもほぼ同じ内容が語られていて、本書で言う所の「メッセージ」なのだろうと思った次第です。
    前書2冊を読むとより本書の内容を吸収できると感じた。
    '1.メッセージ(一言で他人に説明できるもの)がなければ駄目であること。

    '2.文章を書く際にはPCでとにかく書き始めること。

    この2点に注意し他の文章に関する書籍を参照することで文章力をアップさせれるように感じる。

    印象に残った点

    適切なメッセージが見つかれば、「どうしても書きたい。突き動かされるように書きたい。書きたくてたまらない」と考えるようになる(なお、こうしたメッセージは、必ず「ひとことで言える」)。

     …メッセージを見つけるには、「考え抜く」しかない。すると、あるとき啓示がある。後ろを見ると、天使が立って微笑んでいるのだ。「あなたはどうやって万有引力の法則を発見したか?」という問いに対するニュートンの答えは、有名だ。彼は、「ひたすら考え続けることによって」と答えたのである。まったくその通りだ。これ以外のどんな答えがありえよう?

     …机を離れ、散歩するほうがずっとよい。アシモフがいうように、「考え抜く」しか方法はないのである。できることは、「考え抜くための環境」を準備することだ。邪魔になるものは、排除しなければならない。一日100通のメールに返事を書かねばならぬ人が考え抜く時間を確保できたら、奇跡としか言いようがない。

     多くの物語には、共通の骨組みがある。…その典型は、冒険物語に見られる。…「指輪物語」や「ハリーポッター」、映画では「オズの魔法使い」、「ストーカー」などが、以下に述べるストーリー展開になっている。しかも、これはヨーロッパの物語だけのことではない。「桃太郎」や「西遊記」などの東洋の物語も、ストーリー展開の構造はまったく同じなのだ。

     1故郷を離れ旅に出る
     2仲間が加わる
     3敵が現れる
     4最終戦争が勃発する
     5故郷へ帰還する

     このように、物語の基本的な骨組みは、「登場人物」と、彼らが行動する「場」という2つの要素で作られている。同様の要素を、論述文の場合にも考えることができる。…桃太郎は、成敗した鬼を部下に従え、鬼が島を開発して王様として暮らせばよいのに、なぜ、あまりぱっとしない故郷に戻るのだろう?…もう1つ不思議なのは、悪役の行動である。彼らは、なぜ主人公の邪魔をするのか?そのインセンティブがはっきりしない場合が多い。

     …洗濯と芝刈りだけでは、「朝起きて歯を磨いて…」と同じことで、冒険もロマンもない。…これでは面白くないし、ためにもならない。旅とは、日常生活からの決別だ。日常生活から離れてこそ、面白い冒険物語を展開できる。じつは、論文でも同じである。

     主人公はなぜ故郷に戻るのか?…なぜなら、物語が「ためになる」には、旅の経験を現実生活で応用できる必要があるからだ。日常生活に戻った上で、冒険の経験を振り返ってみる必要がある。

     「悪役の行動は不自然なこともある」と前節で指摘した。…これは、「対立概念」または「反対概念」なのだ。

     経済的社会階級として通常用いられるのは、「資本家階級と労働者階級」だ。ところが、ケインズは、「資産家と実業者」という区別を考えた。前者は、貴族や大地主のように、多額の資産を保有する階級である。後者は、経営者と労働者からなる。…「資産家」は、資産を保有して運用するだけであり、実際の生産活動にかかわることはない。彼らにとっての最大の目的は、利子所得などの資産収益の最大化だ。ケインズは、資産化階級のこのような欲求が経済活動を停滞させる基本的原因になると考えた。日本でケインズ経済学というと、「公共事業を増やせば経済が活性化する」という有効需要政策のことだと考えられることが多い。しかし、彼の考えの根底にあったのは、こうした経済構造の把握である。これこそが、ケインズ経済学のエッセンスである。

     「純文学」と呼ばれる分野では、竜頭文は敬遠される。しかし、どれもがそうというわけでもない。例えば、カフカの「変身」がよい例だ。「ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な毒虫に変わっているのを発見した」と始まる。この文章を読んでつぎに読み進まない人がいるとしたら、そういう人には、どんな書き出しをしたところで、無駄である。

     自分史の書き出し方には、つぎの3つのタイプがある。
    1私は、1930年の1月1日に生まれた。
    2破綻の日(事業が行き詰って破産した日など)
    3大願成就の日(入学試験に合格した日など)
    …3の場合は、「自慢話か」ととられ、反撥される恐れがある。人間というのは、嫉妬深いものなのである。これに対して。2の場合には、「大変だな」と同情するとともに、「いったいどうやって逆境を克服したのだろう」という興味もわく。

     ケインズは株価の決定は美人投票のようなものだといった。この比喩は、非常に複雑な現象をわかりやすく説明している。…アダムスミスは「国富論」の冒頭で、「分業の利益」という概念をピンの生産で示している。リカードは「比較優位の原則」をイギリスとポルトガルにおけるワインと羊毛の生産で説明している。同じ概念の説明に、サミュエルソンは、「経済学」という教科書で弁護士とタイピストの例を用いている。…アダムスミスは分業の利益を数字で示した。1人の労働者が作れば一日一本のピンを作ることもおぼつかないが、作業を分割して10人の労働者で分業すれば、1日1人あたり4800本のピンを作ることができるというのである。
     
     権威主義者は、ジャーナリストにも多い。…会って5分も話せば、さらに明白になる。権威には無条件に服従するが、そうでない人には高圧的になる。新聞社の政治部で有力政治家の番記者になると、こうなってしまう人が多い。こういう考えの人から読む価値のある文章が出てくるはずがない。事大主義と権威主義こそ、文章の最大の敵である。

     一般的なエッセイや講話などでは、聖書、シェイクスピア、ゲーテは、「3大引用元」である。すべての真理は、ここに書かれてしまったのではないかと思えるほどだ。日常会話のすべてをシェイクスピアの引用だけで言う人もいる。日本の古典文学では、「徒然草」である。これを引用すれば、「西洋かぶれしていない」という評判を勝ち取ることができる。…経済学者では、ケインズの右に出る人はいない。普通とは違った見方が示されているので、面白い。

     意味の思い違いは、とくに外来語においてはなはなしい。
    デッドロック。…「こわれた鍵」なので、「デッドロックに乗り上げる」は誤り。
    ホッチキス。英語では「ステイプラ」という。
    ダッシュ。「-」のこと。日本人が普通「ダッシュ」といっている記号「´」は、「プライム」と呼ぶ。A´はエイ・プライムである。
    ハンドル。鞄などの持ち手のこと。…自動車の操縦装置は、steering wheelという。
    ガソリンスタンド。アメリカでは、gas stationという。なお、ガソリンは、アメリカではgas、イギリスでは、petrol。
    サボる。sabotageは「破壊工作」という意味であり、「怠業」という意味はない。

     電車に乗ったら、運転席のすぐ後ろに立って運転ぶりを見てみよう。モーターを動かしているのは、出発後のわずかな時間だけだ。あとは電流を切って惰性走行している。ニュートンの運動第一法則(力の働かない物体は等速運動をする)が正しいことを実感する。どんなことについても、イナーシャ(惰性)の克服こそが重要なのである。

     「現役効果」と呼ぼう。仕事を開始し、その仕事に関して「現役」になっていれば、外界からの刺激に反応する度合いが強くなるのである。…逆にいえば、仕事を離れてしまうと、「自動進行効果」は得られない。

     イナーシャ突破のために、ノートパソコンは格別便利だ。私は食卓にノートパソコンを置いてある。食後、仕事再開のために書斎にゆくこと自体に、ある種の「バリア」がある。パソコンでさえ、「あらたまった気持ち」で仕事にとりかかるのでなく、「食後になんとなく」といったことが必要なのだ。

     ベッドに入って寝入りばなにアイディアを思いついたら、必ず紙に書き付けておこう。人間の記憶能力はまったく信用できず、アイディアの逃げ足は非常に速いからである。…ベッドサイドには必ずメモ用紙を置こう。

  • 読者を説得し自分の主張を広める文章を書くためのマニュアル。
    先日仕事で作成した提案書の反省・振り返りとして、とても良いタイミングで読了。
    繰り返し学びたい。

  • 教養として、とっかかりとして付き合って行こうと思う。
    ただ、ちょっと論調が怖い。おっさんの説教じみた感じが否めない。センスがあるかといえば−1☆。

  • 少し古いが現在にも通じる

    メッセージが重要で、メッセージは考えぬくことが大事

  • 文章の書き方や考え方自体は参考になるところがあったが、著者の感想に過ぎなかったり、好き嫌いにすぎない事項も多い。
    自分の意に沿わないことに対する批判の言葉が強く、読んでいて不愉快。

  • わりといい本
     前原政之さんがブログ(https://note.com/mmaehara316/n/n09f79a3cbb18)で文章読本としてすすめてゐて、松林薫『迷わず書ける記者式文章術』につづけて読んだ。
     わりと実用文を書くうへで参考になる。特に5章以降の、文章についての記述は役に立つ。4章のキツネ文の指摘も重要。ポストモダンや現代思想は、まさにキツネ文のやうに権威主義的なところがある。
     ただしすべてに同意するわけではない。4章の比喩のくだりはいただけない。比喩が仰々しくて、私は逆にぴんとこなかった。
     ほかにも、どうやら野口は通俗的な偉人の言葉とか、小説とか映画が好きらしく、冒頭からさういった文学趣味の箴言・格言・寸言の引用が多い。三島への信頼も同じ理由からだらう。私は鼻につくだけの不要な言葉だと思ってゐる。

    【追記】『ライティングの哲学』では千葉雅也や読書猿を含めた4人が、さんざん書けない書けないと悩みながらアウトラインプロセッサについて議論してゐる。それを読んだあとでこの『「超」文章術』を読んだら、アウトラインプロセッサは書きにくいと書いてあって、思はず笑ってしまった。考へ方の違ひがはっきりと表れてゐる。

  • 第1章メッセージこそ重要
    10読者に伝えたいメッセージを明確化せよ
    12ある命題をメッセージと言えるかどうかは一言で言えることだ
    15書きたくてたまらない事は何らかの意味での発見である
    31メッセージを見つけるには考え抜くしかない

  • 著者は、『「超」〇〇法』のネーミングで、シリーズとなる本を書かれているが、この文章表現について書かれたものについては、残念ながらいくつかの文章表現本と比べても目新しい内容のものはなく、ごくオーソドックスな文章表現法についてのマニュアル本という印象である。

  • 文章作成の参考書。

  • 会社から指定され、読んだ一冊。個人的にはこの手の本を読むよりも、実際の「文章」を読み、そこから表現を味わいたいため、そこまで深く入り込めなかったが、重要な内容を含んだ一冊であった。
    例えば、第一章が「メッセージこそ重要だ」と題されていることがまず面白い。小手先のテクニックではなく、そもそも文章にメッセージがなければどれだけ華美な表現を施したところで、それは読むに耐えないものとなる。そして本章内に含まれる「適切なメッセージは発展性がある」「(メッセージを発見するためには)考え抜くしかない」という主張も味わい深い。メッセージこそが文章の骨格である。
    また、特に印象に残った箇所は以下に記載しておく。これは自身が論文を書く中でも体感したことと近く、今後も意識していきたいことである。

    「適切な事例が私の前に現れたのは、偶然だ。しかし、適切な事例を求めていたからこそ、私はそれを見つけた。適切な表現を求めていたからこそ、本の一箇所に反応したのである。同じ文章を見ている人は大勢いるのだが、彼らはただ流し読みにしただけだろう」(p.232)

  • 著者自身がどのような点に配慮して、わかりやすい文章を書いているかがしっかりと解説してある。巻末にオススメの順序で参考文献が並べてあったので、ぜひ参考にしたい。

  • 文150字、パラグラフ1500字、短文1500字、長文1万5000字、本15万字。つまり、
    10ツイートでパラグラフ。10まとめで短文。10短文で長文。10長文で本1冊。

  • 「本も「積ん読」でもよいから自分の本であれば、「自分の側」にあると感じられる。だから、本のほうから近づいてきて、いつかは読める。」

    この部分が深く心に残った。自分も良くしてしまう、積ん読が正当化された気がして突き刺さった。

    内容は、文章を丁寧に書く上での注意点が述べられていた。

    メッセージを忘れず、文章を書いていきたい。

  • これ読むと、何だか文章が上手くなりそうな気分。各章毎のまとめが最後に付されていて、ここをまとめ読みするだけでも効果がありそう。

  • 言葉は道具である。
    使うには使い方を学び、修練する必要がある。
    しかしながらそれ普通に暮らしていると、そのような機会は極めて少ない。
    自然、用をなさない言葉が蔓延する。

  • 印象に残った言葉
    ・まず何よりも肝心なのは、思い切ってやり始めることである。仕事の机に座って、心を仕事に向けるという決心が、結句一番難しい事なのだ。

    とにかく文章を書いて書いて書きまくろう!

  • 105円購入2011-11-09

  • 2010/07/01

  • ・「考えないかぎりアイディアは生まれない」「考え抜けば、アイディアが降臨する」
    ・チャンスは、心構えのある者を好む
    ・論述分の骨組みをつくるには、「一つは二つ」あるいは「二つは一つ」とする、または「従来と違う二分法」を用いる、等
    ・一つの文章に二つ以上のストーリーまたは骨組みがあってはならない。明晰な文章を書くには、いかに切り捨てるかが重要である
    ・「秘すれば花」
    ・集会での「スピーチ」や「挨拶」は、三分程度が限度である(できれば一〜二分がよい)。これは文章の場合の短文(1500字)にあたる
    ・講演などは、「途中でどう話すかよりも、最後のひとことに全力を傾注すべきだ」という意見もあり(最後のひとことが印象に残る)
    ・文章の書き出しやタイトルは読者獲得のために大変重要である。文章を言い訳で始めてはならない
    ・文章の終わりは重要である。最後から読む人もいるからだ。また、読後の印象は、最後の箇所に依存するところが大きい
    ・「首が飛ぶかもしれないときにヒゲの心配をしてどうする」(「七人の侍」における村の長老の言葉)
    ・宛名の誤字に平気な人と一緒に仕事をすれば、あとでこちらが被害を受ける可能性が高い
    ・「貴兄」「学兄」「貴殿」は、歳上の人に対しては決して使ってはならない
    ・「さらなる」は「一層の」という意味で使われているのだが、これは誤用である
    ・曖昧接続の「が」の多用を避ける。ただし、まったく使わないのは、息が詰まる
    ・「まず何より肝心なのは、思いきってやり始めることである。仕事の机にすわって、心を仕事に向けるという決心が、結局一番難しいことなのだ」(ヒルティ『幸福論』)
    ・仕事を始めるということは、絶大な効果をもたらす。なぜなら、その仕事について考えるようになるからだ。つまり、仕事の開始とは、そのテーマについて考え始めることに他ならない

  • 以下evernoteより転記

    「超」文章法 野口悠紀雄

    2002年10月15日初版

    いまさら説明の必要がないくらい「超」シリーズの野口氏

    サブタイトルは”伝えたいことをどう書くか”

    「論述文」の目的はメッセージを確実に伝え、読み手を説得すること。
     そしてそれは「ためになり、面白い」かどうかで決まる。

    「ためになり、面白く、わかりやすい」文章を目指す事

    ○メッセージの明確化→メッセージとはこの場合「ひとことで言えるもの」
                   そして、「どうしても書きたい、突き動かされるように書きたい、書きたくてたまらない」と思えることが第二の条件
    メッセージを見つけるには「考え抜く」しかない
      「得意科目」でやる

    ○骨組みの構築→プロット。外的な形式ではなく、内的な形作り。
    一つは二つ、二つは一つ、逆転、従来とは違う二分法、マトリックス法
     一つは二つ:均質的に見えるもの中から、複雑性を取り出す
     二つは一つ:一見異質に見えるものから共通属性を抽出する

    ○説得力を強める→比喩と類推、名前を付ける、具体例と引用、対句
    三大引用元 「聖書」「シェイクスピア」「ゲーテ」

    「一パラグラフ一意主義」

    序論→本論→結論の進め方

    「ドラマチックに始め、印象深く終えよ」

    エピグラフは上手く使えば非常に効果的

    「始めなくてはできない」し「始めればできる」

  • かつて超整理法をヒットさせた野口先生による、文章を書く上での要点をまとめたもの。

    <b>メッセージが重要</b>
    論文などでは、まずメッセージが明確かどうかが成功のカギとなるという。言い換えれば、一言でいえるかどうか。博士論文の口述試験では、発表が要領を得ないとき「で、君の言いたいことは一言で何だ?」と訪ねる事が多いという。そこで、答えが再び要領を得なければ、発表者が適切なメッセージを捉えていないという事である。

    <b>ピントを合わせる</b>
    文章は、見たまま感じたままを書く事ではない。見たこと、感じたこと、考えていることの大部分を切り捨て、書くに値するものを抽出する事である。

    広すぎるテーマはだめということである。例えば、人生とは何か、のような既に先人に語り尽くされているような話や、「通勤電車はいつも混んでいる、なんとかならないか」、などの話である。後者は、「満員の通勤を有意義に過ごす方法」となると、書く価値がある。

    <b>ストーリーは一つにする。
    </b>
    桃太郎が鬼退治をして村に戻ったら、再び大事件が起こった。となるとダメである。両方とも印象が薄くなるからである。これは桃太郎パート2にするなどしなければならない。

    <b>起承転結ではなく3部構成にする
    </b>
    起承転結は漢詩の形式である。論述文であれば、序論、本論、結論の3部構成にしなければならない。
    序論: 何が問題かを述べる
    本論: 分析と推論の展開、仮説の提示、データで検証など
    結論: 結論をきちんと述べる

    但し、3部構成法の問題は、悠長な展開に読者が逃げてしまう事である。これを防ぐには最初に結論やクライマックスを述べる事である。新聞などで事件の主要部分を最初に下記、次に詳細や背景を述べる方法である。

    そして、文章の終わりも大事である。重要であるのは先の、一言で言えるメッセージである。

    <b>説得力</b>
    説得力を高めるには、比喩、具体例、引用の3つを上手く使う事である。

    比喩の例
    「構造改革とは手術のようなものだ、これに対し景気対策は熱冷ましでしかない。」に対して、

    「経済変動には、経済構造パラメータの長期的な変化に起因するもの、変数の短気的・循環的な変化に起因するものがある。前者に対応するのが構造改革であり、後者に対応するのが景気対策だ。」

    比喩が圧倒的に分かりやすい。

    引用とは、権威に頼る事だ。聖書、シェークスピア、ゲーテはエッセイなどでは3大引用元である。また、日本の古典では徒然草であろう。

  • かつて超整理法をヒットさせた野口先生による、文章を書く上での要点をまとめたもの。

    <b>メッセージが重要</b>
    論文などでは、まずメッセージが明確かどうかが成功のカギとなるという。言い換えれば、一言でいえるかどうか。博士論文の口述試験では、発表が要領を得ないとき「で、君の言いたいことは一言で何だ?」と訪ねる事が多いという。そこで、答えが再び要領を得なければ、発表者が適切なメッセージを捉えていないという事である。

    <b>ピントを合わせる</b>
    文章は、見たまま感じたままを書く事ではない。見たこと、感じたこと、考えていることの大部分を切り捨て、書くに値するものを抽出する事である。

    広すぎるテーマはだめということである。例えば、人生とは何か、のような既に先人に語り尽くされているような話や、「通勤電車はいつも混んでいる、なんとかならないか」、などの話である。後者は、「満員の通勤を有意義に過ごす方法」となると、書く価値がある。

    <b>ストーリーは一つにする。
    </b>
    桃太郎が鬼退治をして村に戻ったら、再び大事件が起こった。となるとダメである。両方とも印象が薄くなるからである。これは桃太郎パート2にするなどしなければならない。

    <b>起承転結ではなく3部構成にする
    </b>
    起承転結は漢詩の形式である。論述文であれば、序論、本論、結論の3部構成にしなければならない。
    序論: 何が問題かを述べる
    本論: 分析と推論の展開、仮説の提示、データで検証など
    結論: 結論をきちんと述べる

    但し、3部構成法の問題は、悠長な展開に読者が逃げてしまう事である。これを防ぐには最初に結論やクライマックスを述べる事である。新聞などで事件の主要部分を最初に下記、次に詳細や背景を述べる方法である。

    そして、文章の終わりも大事である。重要であるのは先の、一言で言えるメッセージである。

    <b>説得力</b>
    説得力を高めるには、比喩、具体例、引用の3つを上手く使う事である。

    比喩の例
    「構造改革とは手術のようなものだ、これに対し景気対策は熱冷ましでしかない。」に対して、

    「経済変動には、経済構造パラメータの長期的な変化に起因するもの、変数の短気的・循環的な変化に起因するものがある。前者に対応するのが構造改革であり、後者に対応するのが景気対策だ。」

    比喩が圧倒的に分かりやすい。

    引用とは、権威に頼る事だ。聖書、シェークスピア、ゲーテはエッセイなどでは3大引用元である。また、日本の古典では徒然草であろう。

  • [private]不快な文章を書くなとあるが、この著者の文章が不快。
    俺様感たっぷり。[/private]

  • うーむ。いまいち。

  • 具体的な文章作成のコツが凝縮している。要点のみを流し読みだけでも十分事足りる。

  • 文章を書く際には参考にしたい。

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著者プロフィール

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業。64年大蔵省入省。72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て2017年9月より早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター顧問。専攻はファイナンス理論、日本経済論。ベストセラー多数。Twitterアカウント:@yukionoguchi10

「2023年 『「超」整理手帳 スケジュール・シート スタンダード2024』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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