日本型ポピュリズム: 政治への期待と幻滅 (中公新書 1708)
- 中央公論新社 (2003年8月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121017086
作品紹介・あらすじ
日本における政治不信の増大は著しいが、一九九〇年代以降何度か、突発的な人気を得、政治への期待を極度に高めた政治家が現れている。ブームを巻き起こした、細川護煕、菅直人、石原慎太郎、田中康夫、加藤紘一、田中真紀子、小泉純一郎らである。そこには、報道番組やワイドショーなどマスメディアとの相互作用があった。本書は、こうした政治現象をポピュリズム概念を用いて分析し、日本政治の変容を明らかにする。
感想・レビュー・書評
-
2003年8月発行。本書は、1990年代以降のわが国の政治状況を、政治への信頼と不信とのサイクルと捉え、その背景にあるものを「ポピュリズム概念」を用いて分析を試みたものです。扱っている期間はバブル崩壊後の90年代初頭から03年春のイラク開戦辺りまでを取り扱っています。また、この間のマスメディアの動向も分析対象としています。本書はまず最初に90年代から01年に発足した小泉内閣までの自民党および野党(含む細川内閣の時期)それぞれの政治過程を詳細に押さえたうえで、政治学の概念であるポピュリズム概念を用いて分析し、日本の政治jの特徴を整理しようとした労作です。
取り上げられている時期がすでに「歴史」となってしまった感もありますが、わが国だけではなく欧米の先進工業国の多くが財政問題を抱えるなか、政治不信の高まりを受け止めかねている状況にある現在、メディアの役割とともに本書が示唆するところは多いと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小泉・真紀子に至る、日本の政治を分析し、それに影響を及ぼして来たワイドショーにも言及している。
が。
無茶読み難い。学者の文章?「すなわち」とか()挿入が多過ぎて、流れが悪い。
こういうの頭に入らなくなって来た。 -
幾人かの政治家について、経歴や行動を分析しながら日本型のポピュリズムについて探る。過去の出来事が、なつかしく感じる。
-
大嶽秀夫「日本型ポピュリズム―政治への期待と幻滅」を読みました。著者は、日本政治を専門とする京都大学の先生です。興味深い本でした。ただし、あまり印象に残りません。大嶽 先生の著作は、数多く読んだ記憶があります。ただし、どの本も、内容を覚えていないのです。どの本も、読みにくい本ではありません。素人にも分かりやすく、丁寧な記述です。それでも記憶に残らないのは、相性が悪いのでしょうか。「加藤の乱」について論じた章は、非常に興味深かったです。興味を持った点を整理すると、以下のようになります。第1に、「加藤の乱」は、加藤紘一のみでおこなったものではない。加藤紘一氏は、若手の政治家の反森政権のうねりを見て決断した。ただし、若手政治家の総裁候補は、石原幹事長代理、田中真紀子氏であり、加藤紘一氏ではなかった。第2に、「加藤の乱」の主力となった勢力は、安倍政権の中枢に存在する。例えば、石原幹事長代理、塩崎泰久官房長官、渡辺嘉美大臣等です。「世論に敏感」、「2世議員」、「理想主義的」が、彼らの特徴だと指摘している。うまく説明することは出来ませんが、安倍政権の混迷の原因は、ここら辺にあるのではないでしょうか。最後に、森政権の経済政策の分析は、非常に興味深い。財政拡張的小渕政権に対して、森政権は財政緊縮政策を促進した。ただし、その印象はない。著者は、森首相には、経済政策には関心が無く、その政策をアピールする気がなかったと推測している。不人気な財政緊縮政策をアピールすることは利益がない。そのため、財政緊縮政策を採用することをアピールすることはなかったのかもしれない。どちらが、本当なんでしょう。
-
結局のところ、日本型ポピュリズムは、「効率」「無駄の排除」といったシングルイシューにのみ基づく理念なきものに過ぎず、アメリカで見られるポピュリズムとは一線を画すといった視座は大変参考になりました。
-
日本における政治不信の増大は著しいが、一九九〇年代以降何度か、突発的な人気を得、政治への期待を極度に高めた政治家が現れている。ブームを巻き起こした、細川護煕、菅直人、石原慎太郎、田中康夫、加藤紘一、田中真紀子、小泉純一郎らである。そこには、報道番組やワイドショーなどマスメディアとの相互作用があった。本書は、こうした政治現象をポピュリズム概念を用いて分析し、日本政治の変容を明らかにする。(「BOOK」データベースより)