ニューヨークを読む: 作家たちと歩く歴史と文化 (中公新書 1734)
- 中央公論新社 (2004年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121017345
感想・レビュー・書評
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2020年4月4日読了。
●ウォール街
→1653年、当時のピーター・スタイヴサント
総督がが先住民とイギリス人の襲撃に備え、
イースト河からハドソン河まで達する714mの
壁(ウォール)を築いた。この壁がのちに撤去
され、ウォール街となる。当時のウォールはい
わば文明社会と自然との境界線と言え、
オランダ人たちが資本主義経済を守るための
壁でもあった。
●コーネリアス・ヴァンダービルト
(1794〜1877)
→1810年、弱冠16歳で中古の帆船を使って、
ステタン島とマンハッタン島を結ぶフェリーを
始めている。ヴァンダービルトはこれをきっか
けに莫大な財を成し、後に鉄道会社を次々に
買収、鉄道王となった。ヴァンダービルト家は
ニューヨーク上流階級に君臨することになる。
ニューヨークの大富豪と言えば、ヴァンダービ
ルト家に並び称されるのがアスター家である。
その祖であるジョン・ジェイコブ・アスターは
毛皮商人として成功し、それを元手にマンハッ
タンの不動産を買い漁って、莫大な富を築き上
げた。
→ド・ウィット・クリントン(1769〜1828)が
市長の時、格子状の街路(グリッド)で覆い尽
くそうという計画を発表。
●P33 ホレイショ・アルジャー
→少年向けの成功物語を量産して、19世紀末に
一世を風靡した大衆作家。高く評価されたわけ
ではないが、アメリカ人の精神に与えた影響と
いう点では、どんな文学作品も及ばないだろ
う。
●P39 ハーマン・メルヴィル「白鯨」(1851年)
●P67 イーディス・ウォートン
→「歓楽の家」(1905年)
…世紀転換期のニューヨーク上流階級の社交
界。
「無垢の時代」(1920年)
…1993年に映画化「エイジ・オブ・イノセン
ス」。アカデミー賞優秀衣裳賞。
上流階級の人々は冬になると好んで音楽院
に集まる。
⚫️P81
→ナポリ出身者はマルベリー通り付近、
西シチリア出身者はプリンス通りとエリザベス
通り、東シチリア出身者はキャサリン通りとモ
ンロー通りといった具合である。
映画監督のマーチン・スコセッシはシチリア移
民の子供で、エイザベス通り付近のイタリア人
街に育った。
●P85 ジェイコブ・リース(1849〜1914)
→「いかに残り半分は暮らしているのか」(1980年)
ロワー・イーストサイドのスラム街を取材。
最下層の人々の悲惨な現実を記し、
アメリカ中に凄まじい衝撃を与えた。
●P89 オー・ヘンリー(1862〜1910)
→19世紀後半から20世紀初頭にかけてのニュー
ヨークで、どの作家よりも有名で、
今でも人気のある作家。
→「最後の一葉」
●19世紀の富豪と言えば鉄鋼のカーネギー、石油の
ロックフェラー、コークスのフリックなど、素材
や燃料の生産者であり、彼らは生産性を高めるこ
とで巨万の富を築いた。
●P130 スコット・フィッツジェラルド
(1896〜1940)
→「楽園のこちら側」(1920年)。
この時代の若者たちの風俗、性的な奔放さなど
をあからさまに描き、センセーショナルを巻き
起こした作品。
→「グレート・ギャツビー」(1925年)
●ワールドシリーズの八百長話
→シューレス・ジョー・ジャクソンが関わった
ブラックソックス・スキャンダルのこと。
シカゴ・ホワイトホックスの8選手がワールド
シリーズで八百長し、永久追放になった事件だ
が、これを買収したのは実在したユダヤ人マフ
ィアであると言われている。少数民族として
軽蔑的に扱われていたユダヤ人がこの時期すで
にかなり力を得てきていること。
●ハーレムとは元々、南北130丁目から145丁目、
東はマディソン街、西は7番街あたりまでを指
す。中心地は五番街と七番街の間の135丁目で
ある。この地は1636年、オランダ人によって
築かれ、「新しい土地」を意味する
「ニュー・ハーレム」と呼ばれていた。
19世紀初頭までは孤立した田舎の村にすぎなかっ
たが、1930年代にハーレム鉄道が作られ、
さらに19世紀後半に高架鉄道が作られるに及ん
で、ベッドタウンとして発展していく。
最初は中流のドイツ系市民、さらに19世紀末には
イタリア系やユダヤ系の市民が暮らす場所と
なっていった。
〜1900年、地下鉄IRT線の建設が発表。
アパートが大量に造られたが実際には住む人が
おらず、ここに黒人がどっと流入することに
なった。
●19世紀後半から大量に流入した新移民たちの中
でも、ユダヤ人は二世、三世の時代になり、
教育や言語のハンディキャップを完全に克服し
た。こうして音楽の世界ではレナード・バーンス
タインやアイザック・スターン、学問の世界では
ダニエル・ベルやハンナ・アーレント、文学批評
ではアルフレッド・ケイジンやアーヴィング・ハ
ウなど、様々な分野で第一人 者を排出するように
なった。小説の世界ではバーナード・マラマッ
ド、ソール・ベロウなど。
●ブルックリンを描いた映画
「スモーク」「ブルー・イン・ザ・フェイス」
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ニューヨーク通史として読むのもアリかも。
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部屋に転がっていた。一体いつ買った本だ?でも面白そう。