- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121017635
作品紹介・あらすじ
アジアの近代は、国民国家の成立を待たずに帝国主義の支配に従い、次いでただちに社会主義の洗礼を受けた。このため、ヨーロッパでの東西対立のような国家関係が存在しなかった。こうした、この地域独得の多極的な力関係や歴史的背景を抜きにしてアジアの冷戦は語れない。本書は、ソ連崩壊前後に公開された機密文書、重い口を開いた証言などを綜合して、アジアでの冷戦の誕生から終焉までをたどるものである。
感想・レビュー・書評
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問「なぜ、東アジアでは冷戦が終結しないのか?」答「欧州と違い、モスクワの一元管理ではなかったから」『アジア冷戦史』といいながら、東西対立ではなく、ソ連と中国(と北朝鮮とモンゴルとベトナム)の対立の歴史である。北朝鮮問題がここまで長引いているのも、金日成がモスクワと北京の共同介入を乗り越えて逆に絶対権力を掌握した事に端を発するのだろう。北朝鮮の『自主』の重みをようやく理解できた気がする。
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アジアでの冷戦を概観することで第二次世界大戦から今までの東アジアの国際政治の流れが繋がった。近現代史ってのはなかなか勉強する気が起きずにいたんだけど、その意味でこの本から多くを学んだ。
北朝鮮、中国、モンゴル、ベトナムなんかとソ連がいかに絡み合ってきたのか。ソ連崩壊後に公開された史料も合わせて淡々と歴史を説明してくれる。 -
主にソ連崩壊後に公開されだしたロシア側の資料に基づいて、アジアという地域に焦点を当て、冷戦の始まりから終焉までの通史を描いている。
ヨーロッパ側とは違って、アジアの社会主義陣営は当初から多元化・多極化していたところに特徴があり、そのアジア冷戦の特異性が北朝鮮など現在に至る冷戦の残滓につながっているということがよくわかった。また、アジア冷戦において、スターリンや毛沢東をはじめ「人」の要素が大きく影響を与えてたこともあらためて感じた。
ただ、事実の羅列が多く、重複箇所も散見される本書はあまり読みやすくはなかった。 -
意外にソ連の発言力って・・・
ソ連と東アジアの冷戦期における関わりを描いている。
ソ連は欧州を中心に指導力を、中共はアジアに対して
指導力を発揮してあうことを認めた。
→中共が経済の自由化、ソ連が政治の自由化。
北朝鮮だけが主体思想で独自路線を使い中ソから
敬遠されていたのは意外だった。 -
これは好い本.古い常識からすると「ええっ?!」と思うようなところも多々あるが,出典書いてあるから確かめようもある.薄いのに非常に密度高い.
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極東アジアにおける冷戦史を国家間のやりとりをもとに記した一冊。
骨太な内容であり、個々の事象についてはある程度の
事前知識が無ければおいて行かれる印象を受ける。
とはいえ冷戦下のパワーバランスの中での北朝鮮の起こりや
中ソ冷戦に関する記載は非常に興味深く読むことができた。 -
冷戦をソ連・アメリカの二極構造ではなく、そこにアジアを加えた多極構造と定義して、アジアにおける冷戦史(特に60年代まで)をまとめた1冊。主にソ連の資料をもとにしているので、世界史とかではわりと雑に扱われがちなアジアの共産圏が本書の中心となっているので、なかなか面白いと思います。