- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121018670
作品紹介・あらすじ
院政とはすでに譲位した上皇(院)による執政をいう。平安後期には白河・鳥羽・後白河の三上皇が百年余りにわたって専権を振るい、鎌倉初期には後鳥羽上皇が幕府と対峙した。承久の乱の敗北後、朝廷の地位は低下したが、院政自体は、変質しながらも江戸末期まで存続する。退位した天皇が権力を握れたのはなぜか。その権力構造はどのようなものであったか。律令制成立期から南北朝期まで、壮大なスケールで日本政治史を活写する。
感想・レビュー・書評
-
大河清盛好きにオススメ
ここのところ平安時代づいていまして、上皇関連の本をまた一冊読みました。
『院政 もうひとつの天皇制』(美川圭/中公新書)です。
本書は、先日読んだ『上皇の日本史』同様上皇や院政の歴史が書かれています。
上皇の誕生、院政初期、摂関期を経て平安後期、そして鎌倉幕府成立、承久の乱を経て、大体足利幕府誕生あたりまで書かれていました。
特に、大河ドラマ「平清盛」でも描かれていた白河上皇〜後白河上皇のあたりが第四章・第五章・第六章にわたって書かれており、楽しく読めました。
院政の実権を握るための戦いだったせいか、第五章では保元の乱も重点的に書かれていたので、藤原頼長や摂関家好きとしては満足でした。
その後の鎌倉時代のことも書かれているので、摂関家よりも武士がいいわという方にももちろんオススメです!
私は平安後期については院政含めて少し分かってきたかな〜という感じなのですが、鎌倉時代以降はまだまだ勉強不足で、平安後期ほどは掴みきっていません。
その辺はまた別の本を読んで少しずつ学んでいこうと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
院政と一口に言っても、白河・鳥羽、後白河・後鳥羽、承久の乱後、後嵯峨院政、大覚寺統・持明院統、治天の君、性格がどんどん変化する。当初は極めて私的なものだったのが、承久の乱を境に幕府が関わることにより、人事権が制限されるが、訴訟制度が確立する。後醍醐が院政を承久の乱前の元に戻すことを理想としていた、という記述が印象的だった。
-
院政の始まりから、治天の君の成立あたり(鎌倉末期)までの横断的な本です。
一般的な、白河、鳥羽、後白河などなども出てくるので、比較的読みやすい本です。 -
院政の成立から確立を中心にしながら、平安時代から南北朝時代における朝廷についての概論のようなイメージでした。
やはり、白河~鳥羽~後白河~後鳥羽上皇が中心です。
院政=所謂古代的な体制における最後の抵抗という旧説の払拭という感じで論じられています。 -
『院政―もうひとつの天皇制』(美川圭、2006年、中公新書)
本書は、平安~鎌倉時代の院政について主に述べたもの。院政とは、直系子孫に皇位を譲位した院が父権を行使して間接的に政治的権力を握る政体です。細かいところまで書いてあると思うので、歴史の復習や教養のために良いんじゃないでしょうか。
(2010年12月18日 大学院生) -
タイトル通りだが、知ってるつもりで良くわからなかった院政について平安から鎌倉にかけて集中的に分析している。
何となく院政とは、摂関家から政治権力の主導権を取り戻し、自ら主導的に政治を行おうとした数人の天皇(上皇)が作り出した、ある時期に限った特異な政治システム、という認識だったので、
ここまで長期間にわたり院政が行われ、現実政治に不可欠なシステムにまで定着していたことに驚いた。
ただ、当時の系図は複雑怪奇で出てくる名前も似通った人物が続々登場するため、相当混乱させられる。 -
日本史で絶対習う内容にもかかわらず、具体的にはよく知らない院政という制度について、時代とともに検証している。政治の現場が、天皇政治(内裏)から上皇政治(院御所)に移ったと思われているが、そんな単純ではないものだということがしっかりわかった。