ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」 (中公新書)

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著者 : 伊藤章治
  • 中央公論新社 (2008年1月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121019301

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ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 本書は、人々がどのように食生活の中へとジャガイモを取り入れ、ジャガイモが世界的な出来事に、どのように関わってたのかを眺めてゆく。そこで明らかになるのは、「貧者のパン」として、凶作や飢饉、戦争が生み出した苦しむ人々に寄り添い、世界を動かしたジャガイモの姿だ。

    わたしたちにとって、身近な存在であるジャガイモ。世界と日本の歴史を眺めることで、今日、ジャガイモが身近であるのも先人たちの苦闘の連続があったためだということを、本書は明らかにする。本書を読めば、よりいっそうジャガイモを愛おしく感じられるようになるだろう。

    また、本書はジャガイモが「貧者のパン」として歴史に登場するときは、「異常な時代」でもあったことを指摘する。そして、「どの国でもジャガイモ一色に染まった時代は、民衆にとって「苦難の時代」だったことを忘れてはなるまい」と、筆者は訴える。

    「貧者のパン」としてジャガイモが世界の表舞台で活躍するのではなく、これからもジャガイモが、わたしたちの普段の暮らしに寄り添う存在としてあり続けられるような社会の様々な諸問題の解決策の模索が、今求められていると言えよう。

  • 足尾銅山鉱毒事件で谷中村を離れた民が、北海道常呂郡佐呂間町字栃木の開拓民として、ジャガイモを植える。もう、冒頭から涙なくして読めない訳ですよ。元はボリビア・ティティカカ湖近辺の高地(富士山より高い)がジャガイモの故郷。スペインのピサロがインカ帝国を絶滅させ、金銀を貪りがてらジャガイモをヨーロッパに伝えたとされる。フランス・ドイツ・ロシア・満州でも痩せた土地で収穫が期待出来る貧者のパンは大活躍。食糧自給率四割以下の日本が勿体ないことをしては罰が当たるとの警告で本書は終わる。筆者は新聞記者出身。

  • ジャワから来たじゃがたらいも。長崎は国内生産2位。

  • 途中から貧困の歴史が中心になってきて、辛かった。東北の農村の飢餓事情はおしんを思い起こさせる…今の飽食の時代に感謝。

  • 最強の食料であるジャガイモが、「貧者のパン」として定着する各国史。

    スーパーで安い方の部類に入る食材ごときが!と思い読み初めましたが、見事に世界史になっている事に、驚愕でした。
    この著者が、新聞記者経験があるようで、学者作品と異なり、異次元の読みやすさにダマされた?笑。

    食糧難の記録と食物自給率の記録を読んで、重要性が、本当に解った。資源のない貿易依存の日本では、必読書だと思います。
    新書の名作入り決定!と思うぐらい刺激的な作品。ジャガイモばりにコスパがイイ作品。

  • ジャガイモは、コメやコムギと異なり、すぐに食べられる。

  • 普段食べている物を軸にして歴史を読み解くのはとても面白い。
    人類の歴史を語るにおいて食べ物が果たす役割は重きを占めているが、特に歴史の立役者としてジャガイモが果たす役割は想像以上だった。
    かつて世界を飢餓から、現代の低カロリー食材として、そして未来の食糧難を支えるかもしれない期待。
    ジャガイモに足を向けて寝ることは許されない。

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  • 歴史を動かしたというより、歴史の脇役じゃがいも、といった内容です。
    脇役がいなければ物語は成り立たない。個々で覚えてもらえることはなくても重要といったやくどころ。
    じゃがいもは米に次ぐ第二位のエネルギー量をもつ作物として人々の食卓にのっかってきました。
    今ではエステでもスポーツジムでもライ●ップでも、最大の敵としてまっさきに挙げられる高い栄養価を誇ります。
    簡単に作ることができてたくさん収穫できるこれは家庭菜園でも大人気、その代り病気に弱いことが知られず、失敗した人が種苗会社やホムセンにクレームするというそれくらい作り易い認識があります。
    考えるとこれもアイルランドの飢饉と原因は同じです。
    じゃがいもの伝搬により人口が増えたアイルランドはじゃがいも疫病の流行により、人口を著しく減らしてしまったことは有名な話で当然この本にも出てきます。
    他にも満州に渡った日本人やシベリア抑留、公害により北海道に移住しなくてはならなかった人々を支えた作物として登場します。
    このあたりは少々強引な気もしますが、川田龍吉のマッサンばりのスコットランドの娘さんとの恋物語のエピソードと男爵イモ導入を絡めて見たりと、面白いエピソードがたくさん。
    読みやすい。

  • 世界史?というより世界におけるジャガイモのエピソード。多くは飢饉を助ける貧者の食べ物であった。日本におけるジャガイモの物語も詳しい。

  • ジャガイモの世界への普及状況が描写されています。
    新書だから仕方ないけど、章ごとのつながりがなく、
    ややとりとめのない内容になってしまっていますね。

  • 後半は新聞の特集記事みたいな感じです。中日新聞の自虐史観が根底にあるのか、太平洋戦争云々の背景説明は滅茶苦茶です。それでも、じゃがいもを軸にした人々の物語は魅力的で、生きることの意味を問いなおすきっかけにもなる本です。

    馬鈴薯のうす紫の花に降る雨を思へり都の雨に -啄木

  • 勉強になりました。

  • じゃがいも、からみる歴史。主に飢饉をたどる。
    食べ物の歴史に興味を持った。

  • 給食の菜の代りと折りて来し蕗の皮むく夜のしじまを
      西塔幸子【さいとうこうこ】

     フランス革命、産業革命、そしてシベリア抑留―世界史に刻まれたさまざまな史実と、深くかかわる食べ物は何か。答えは、ジャガイモ。ペルー原産で、インカ帝国滅亡ののちにヨーロッパにもたらされた。現在では、寒冷地から赤道直下まで、あらゆる土地で栽培されている。
     生活者の胃袋を満たし、ときに「貧者のパン」さらに「お助け芋」とも呼ばれたジャガイモ。だが、それが救済の糧とはならなかった事例もあった。昭和初期、1930年代の東北大飢饉のときである。
     生糸の大暴落と金融恐慌に続き、天候不順による凶作。掲出歌は、そのころの東北の記録である。欠食児童が増え、小学校の給食も、山菜や、干しダラなどの保存食でようやくまかなっていたのだった。
     歌の作者は、岩手県で小学校教員を勤めた女性。酒におぼれる夫を支え、子ども7人を育てながら生活歌を作ったこの女性のことを、「ジャガイモの世界史」という本で初めて知った。
     「給食の菜の代り」に登場すべきだったジャガイモだが、岩手県の気象では種イモの保存が難しく、しかも、ジャガイモを植える土地も時間も余裕がなかったらしい。
     疲弊し、新たな耕地を求めて旧満州(中国東北地方)に渡った人々もあった。次の歌は、1935年、満州に渡る教え子を見送ったときのもの。

      別れてはまた何時【いつ】逢はむ教へ子を乗せたる車遠ざかりゆく

     翌年、36歳の若さで病没。「おんな石川啄木」と呼ばれ、宮古市には記念館がある。

    (2013年3月31日掲載)

  • 書名通り、「ジャガイモ」の歴史。
    貴重な栄養源。ジャガイモ。
    いかにして昔の人たちが苦心して、育ててきたのかがわかります。

    最後の章には、今後の食糧問題についても触れています。
    「ジャガイモが重要視される時代は、それは悲惨な時代だということです」。
    印象的な言葉でした。

  • 今日ではごく当たり前に食卓に登場するジャガイモは、実は新大陸の作物である。痩せた土地でも育つことから、貧困層の主なカロリー源として重要な役割を果たした。一方で、病気に弱く、時としてアイルランドの「ジャガイモ飢饉」のような悲劇を招いたことも忘れてはならない。
    本書は、ジャガイモの歴史を概観する内容となっている。
    著者の自己満足風の紀行文がどうにも鼻につくのと、本来歴史的な観点からすると、ジャガイモ伝播の最末端に位置する日本に関する記述が不自然なほど多いのが、非常に残念であった。加えて、文中において引用されている文献も、学術的学術書というよりは啓蒙書的なものが多く、楽をして書かれた本であるという印象がぬぐえなかった。はっきり言って、駄作に近い。

  • 読了。購入本。

    じゃがいもの世界史 歴史を動かした貧者のパン

    じゃがいもすげーっていう本でもあります。
    歴史もさることながら、どちらかというと『じゃがいもにまつわるエトセトラ』という感じです。

    ただ各国の年代事情からじゃがいもへのシフトしていくさまはよく分かった感じがします。伝来は諸説あるのであれですが、メインで作られていく仮定はよくわかると思います。

    じゃがいものは圧倒的な貧困飢饉からの救世主であると。

    アンデスの高地の芋がいわば世界を救ったということになりますね。
    (仮にじゃがいもが伝わらなかったとして人口が激減したとしても、ある程度はまた増えるのが人の営みではなかろうかという気もします。)

    【四次元殺法コンビ(AA略)】
    「良い子のみんな、男爵いもの男爵とは川田龍吉のことだ!覚えておこう!ただ覚えておいてもテストには出ないぞ!たんなる雑学だ。」

    ちなみに、男爵いものの元は「アイリッシュ・コブラー」という品種。

    たいへん勉強になりました。

  • ジャガイモの故郷、ジャガイモと足尾鉱毒事件、ジャガイモと17世紀ヨーロッパ、ジャガイモとアイルランド、産業革命とジャガイモ、日本の中のジャガイモ・・・

  •  本書は、ジャガイモがいつどのようにして世界に広がったのかの考察書である。内容は学術的考察が多いようにも思えたが、知識としては興味深い。
     本書によると、ジャガイモの原産地は南米ペルー・ティティカカ湖のほとりで、標高4000mの寒冷の地。人間の手による栽培化がはじまったのは、思ったよりも遅く西暦500年ごろだという。
     それが、16世紀にインカ帝国を滅ぼしたスペイン人によってヨーロッパにもたらされ、日本には16世紀の末にオランダ船員によって運ばれたという。日本にきたのが、江戸中期とは、思ったよりも新しい作物なのだと思えた。
     興味を引いたのは、ジャガイモは、寒冷地でも栽培が可能という点による「救荒作物」としての役割である。どの国でも「飢饉」は常態であった当時に「貧者のパン」として活躍した本書の歴史経過は、興味深いと思えた。
     ジャガイモ歴史は、単に作物の歴史にとどまらず、飢饉による政治変動や移民などの社会変動につながることが本書で明らかにされている。これは「人類の歴史」が同時に「食べることとの戦いの歴史」であったということだろう。
     本書によると、日本において三食とも米を食べられるようになったのは1955年(昭和30年)以降だったという。現在では想像もつかないことであるが、それまでは満足に食べることができなかったというのだ。歴史を考える上で、この視点は絶対に必要なものだとも思えた。
     ただ、本書はジャガイモをとおして世界史の一面を考察しているが、扱う領域が多すぎるようにも思え、駆け足の考察のようにも感じた。しかし、世界史におけるジャガイモの重要性は十分にわかる本である。

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ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」 (中公新書)の作品紹介

南米生まれのジャガイモは、インカ帝国滅亡のころ、スペインに渡った。その後、フランスやドイツの啓蒙君主たちも普及につとめ、わずか五百年の間に全世界に広がった。赤道直下から北極圏まで、これほど各地で栽培されている食物もない。痩せた土地でも育ち、栄養価の高いジャガイモは「貧者のパン」として歴史の転機で大きな役割を演じた。アイルランドの大飢饉、北海道開拓、ソ連崩壊まで、ジャガイモと人々をめぐるドラマ。

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