「古事記」神話の謎を解く: かくされた裏面 (中公新書 2095)

著者 :
  • 中央公論新社
3.07
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本棚登録 : 184
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121020956

作品紹介・あらすじ

『古事記』は明治神宮のようなものである。見た目は古いが、作られた時代は、実は新しい。『古事記』の神話も、古来のものをそまま採録したのではなく、新しく誕生した国家=「日本」の要請が作り出した新たな神話である。イザナキ・イザナミ神話は男尊女卑か?イナバのシロウサギは白色なのか?浦島太郎が玉手箱を開けなかったらどうなったか?古くからの神話が解体・編成されて誕生した『古事記』神話を解読する。

感想・レビュー・書評

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  • 神話が当時の為政者にどのように「作られた」かを分析、考察した本。事が神話なだけに正解は分からず、いかようにも言える。それらしいところも胡散臭いところも。強引な論法が個人的にはNG。

  • 古事記について何も知識が無かった私には難しかった。正直、表も裏も分からないくらい。作り手の意図があるというところは分かったが。

  • ふむ

  • 古事記の表の物語だけでなく、裏に込められた意図を読み解く一冊。
    古事記は地方にそもそも伝えられていたストーリーをまとめたものではなく、新しく書き換えられた、『日本を創る神話』なのだと理解しました。
    神話を普通の面白い物語としてしか読んでいなかったので、こんなに作り込まれたストーリーなのだと知って驚き。(諸説あるのだとは思いますが)
    一つ一つの話が、日本を確固たるものにするため、万世一系を説得力のあるものにするために、繋げられていました。

    古事記のストーリーを確認しながら、行きつ戻りつで読みすすめたので、ページ数の割にかなり時間がかかりました。他の説もいろいろと読んでみたいなあ。

    2020.02.15


  • 神話は不合理だ。
    意味不明な表現、唐突な展開、理不尽なストーリー。幼い頃はそれで混乱し、衝撃的だったことを覚えている。成長するにつれて「神話とはそういうもんだ」と受け入れるようになっていった。それが大人の対応だと思っていたけど、実のところ思考停止していただけだったのかもしれない。
    不合理に見える部分にメスを入れ、その理由を検証することで、「ほんとうは何を言っているのか」が見えてくる。これが本書の趣旨だ。

    正直、本書の説明を読んでもよくわからなかった部分は多々ある。
    それでも「あ、この部分てやっぱり変なんだ」ということを共有できただけでも収穫はあったと思う。本書がいうには、アマテラスとスサノオの「ウケイ」(弟に邪心がないことの証明としてお互いの持ち物を交換して子を生む)のストーリーは、いろんなものをあいまいにすることこそがねらいだったのだとか。

    しかし、もう少し歴史とリンクした考察を期待していたのだが、そうではなかった。

    一番わかりやすかったのは天孫降臨について。
    日本は、中国の天子受命の思想を取り入れながら、それを起源化することで、革命の思想を排除した。日本の「万世一系」はこうして作られた。

  • 全8章のうち、第7章が白眉。

  • イザナギ・イザナミ、アマテラス・スサノオ、オオクニヌシ・スクナビコナなどのよく知った神々の他にもよく知らなかった神々。神話であり矛盾に満ちたところが幼少の頃でも気がついたほどでしたが、そのあたりが色々な伝承、そして作者が万世一系を強調するために付け加えたイザナギ物語などが荒削りなままに残されているということが良く理解できるところです。伝承からはオオクニヌシがスクナビコナを知らないはずはないはずだが、記紀では初対面になっている。浦島太郎と山幸物語が極めて似ている理由など、興味深い話です。

  • これを読んだ後に古事記を読むと、人物が生き生きと浮かび上がってきて良い。
    全編をつなげると、国家の巧妙な意図が明らかになるのね。


    ただ、あくまで一個人の解釈によって謎が解かれただけであって全てが正しいわけではないような…

  • 「日本」国家成立と、その正統性を創造するために緻密に編集されたその裏筋を読み解く好著。

  • 私たちが、何気なく日本を考えるときに、古事記の神話に影響を受けていることがわかりました。マンガや音声、鈴木三重吉の物語で、内容について、かなりの知識を持っているつもりでしたが、読み違いや意味の取り違いに気づかされました。古事記が万世一系の正統性を記した書物であり、革命防止の書であると論じています。良書だと思います、

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著者プロフィール

1950年生まれ。専修大学教授。著書に「古事記の文字法」など。

「2001年 『書くことの文学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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