入門 医療政策 - 誰が決めるか、何を目指すのか (中公新書 2177)
- 中央公論新社 (2012年8月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121021779
作品紹介・あらすじ
高齢者医療費の増大、TPP参加と皆保険制度等、日本の医療は嵐のなかにある。また、医療者・政府・患者等、関係者の利害対立も激しさを増している。これまでは"カンと度胸"で決定されてきた医療政策も、いまやデータの裏付け・検証や理論に基づく施策が求められている。本書は、医療政策の課題、学問的裏付け、決定過程の実態、諸外国の例、今後の展望について解説し、新たな学問としての医療政策学の必要性を説く。
感想・レビュー・書評
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配置場所:2F新書書架
請求記号:498.1||Ma 46
資料ID:C0033881詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
世界最高水準の医療を享受してきた日本が今後どのような道に進んでいくか、治療モデル・公衆衛生モデルの観点や各国の医療システムとの対比から述べられている。
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2012/09/07
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医療政策に関する諸問題と提言。
入門医療経済学の内容を踏まえて読んだため、少し理解が進んだ気がする。 -
著者は、医師であり、かつ経済学博士の学位を持っている。経済学をはじめ、いくつかの学問をベースに日本の医療政策入門としての整理を行い、日本の医療政策を分析し、提言をまとめている。本書の構成としては、日本の医療の歴史、医療政策を支える学問、諸外国のスタンスを概観した後、日本の医療政策のプレーヤーとそのスタンス、プレーヤーの対立点とその本質について論じ、最後にまとめと提言を行っている。
公衆衛生モデルと治療モデルの対比、自由主義モデルと社会民主主義モデルの対比、キュアモデル、ケアモデル、産業モデルの対比など、モデルを使った説明を多用しており、医療政策を考えるうえでの羅針盤となりうる内容になっている。ただ、ちょっと冗長なようにも感じた。
医療を産業とみる産業主義と医療をコストとする財政市場主義が混同されているという指摘にはなるほどと思った。紹介されているイギリスのかかりつけ医制度は参考になると思った。 -
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全体の位置づけと各章の位置づけが不明確との印象を持ちました。文章も論理的につながっていない気がするし、なぜここにこの話が・・・というような箇所もあったように見受けられるように思います。
しかし、医療制度の国際比較や、わが国の医療政策に係る各プレーヤーの分析など、勉強になったところは多かったです。 -
医療政策が一筋縄でいかない理由は、医療を受ける側(国民)、医療費を支払う側(保険者、国、地方自治体)、医療を提供する側(病院)の3者が3すくみ状態で対立するからです。
医療を受ける側は、もちろん安価で質の良い医療を受けたいですね。
医療を提供する側は、質の良い医療を提供するにはお金がかかると医療費増加を要求します。
医療費を支払う側は、保険制度を維持するためにもできるだけ医療費の総額を抑えたいと考えます。
2年に一回改訂される医療報酬を決める審議会、中央社会保険医療協議会(中医協)ではこの3者が入り乱れて医療の価格が決められてゆきます。
http://ameblo.jp/nancli/entry-11628788134.html -
内容は、僕にはちょっと難しい。
けれど、最後まで気持ちをそらすことなく読めたのは、内容の濃度の高さゆえ、と思います。