集合知とは何か - ネット時代の「知」のゆくえ (中公新書 2203)

著者 :
  • 中央公論新社
3.55
  • (22)
  • (49)
  • (33)
  • (15)
  • (5)
本棚登録 : 694
感想 : 61
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022035

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 集合知とは何か?
    共同体知、コミュニケーションにおける暗黙知。
    自己の深層の活性化。

    知識とは「主観的」なものである。
    専門家の知識は、あてにならないことが、近年示されている。
    「客観知」二人称の知として蓄積することが必要?

  • 西垣さんの本は「ビッグデータと人工知能」(2016年)を読み、とても面白かったので、少し昔に書かれている本書を手に取りました。個人的には集合知とは何で、ネット時代にどういう意義があるのかを知りたいと言うことで購入しましたが、読み終えた感想は、集合知以外のところというか、知のそもそものあり方についてとても勉強になり面白かったです。

     また経営学の重鎮である野中郁次郎さんの「知識創造企業」との関連性をすごく感じました。野中さんは日本企業がいかに各従業員の暗黙知を吸い上げてイノベーションにつなげているかを分析されていますが、知は人間個々人に暗黙知として宿ること、そして暗黙知と暗黙知がぶつかりあってグループ内で共有化されるプロセスや、その暗黙知が形式知に「表出化」されるプロセスを分析されていますが、西垣さんの思想との親和性を強く感じました。そして西垣さんの呼び名を借りれば「主観知」こそが出発地点であって、客観世界とは仮象であること、そしてこれからのデジタル技術は、人間の暗黙知を表出化するところにこそ使われれるべきだと述べていて、とても共感できました。産業資本主義が、世界の客観化にあったとすれば、デジタル技術は逆説的に聞こえるかもしれませんが人間の主観知へと焦点を当て直すことになるのかもしれないと思い、非常に興味深く拝読しました。西垣説は正しい気がしましたし、日本はこの領域は得意なのでは?と感じた次第です。

  • 今年一番面白かった本。

  • 閉鎖システムの意義が良かった。関連することがたくさんあった。

  • 内容が薄くない。それだけに予備知識なしに読み続けるのは苦痛になるかもしれない。
    筆者の知に対する考察の深さには恐れいる。読む価値のある本であり、集合知に興味があれば買うべし。

  • 集合知のうちおもにインターネット上で構成されるものについて扱った本。難しそうな印象の本だが、個々の人間の主観世界がいかに集合知を形成していくかを平易に書かれた良書である。

  • 書名には「流行り」に合わせて「集合知」と冠してあるのだが、内容のほとんどはクオリア論やオートポイエイシス論に立つ「情報とは」についての解説である。著者はエンジニア出身ではあるが、Webテクノロジーそのものの専門家ではなく、社会学など人文系との境界領域を専門とする。したがて本書の内容もテクノギーク向けの読み物とはいえない。だが、理数が嫌いな人からみても、数学・科学臭さがあり、ジャーゴンもある程度知っていないと読みにくいので、新書としては中途半端なところかもしれない。どちらかと言えばWeb2.0やSNSを安易に民主主義の変革に結び付けるような軽薄な風潮については、はっきりと反対の立場を表明してある。

    サイバネティックスからルーマン社会学へと展開していく第4章あたりが、非常に面白かった。

    ただ、まえがきや第一章で、原発と専門知云々についてのあたりは、情緒的で不安定な感じがする。想定読者層を考えて「掴み」として書くようにすすめた編集のアドバイスなのかもしれないが、逆効果ではないか。

著者プロフィール

東京経済大学コミュニケーション学部教授/東京大学名誉教授

「2018年 『基礎情報学のフロンティア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西垣通の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
エリック・ブリニ...
クリス・アンダー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×