- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121022790
感想・レビュー・書評
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王室ヲタとして、「次に王制がヤバいのはベルギー」と聞いたことがある。それをきっかけにこの国に興味を持ったが、本書はこのようなライト層にまさにうってつけな「ベルギー入門書」である。さらに本書によって、「王制がヤバい」どころか、ある意味「一国として成り立っているのが不思議」なベルギー統合の象徴として、王家が並みならぬ求心力を発揮していることを知った。
「現地の民族分布におかまいなく侵略者が引いた国境線によって、解放後も長く内乱に苦しむ」というと、現代では典型的なアフリカ像という印象になる。コンゴにとっては「悪魔」であったベルギー人もまた、他ならぬこの事象に苦しめられていたのだとは、寡聞にして初めて知った。「歴史はくり返す」と言うべきか、「歴史の皮肉」と言うべきか。
読みやすく、わかりやすく、かつツボはひととおり押さえられている。おすすめ。
2015/8/22〜8/24読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ベルギーで興味深い点がいくつか。
1.言語
ベルギーは北部がオランダ語圏、南部はフランス語圏となっており、言語は一種のアイデンティティのような位置付けになってる。20世紀後半にルーヴェン大学では言語分裂が起きたり、選挙では国家分裂の危機に陥ったほど、両言語間の確執は深い。ベルギーが1つの国としてまとまるのは、サッカーベルギー代表を応援する時だけだと揶揄されるのも理解できる。首都ブリュッセルは例外的に両言語とも使用されるらしい。現地の雰囲気を実際に行ってみて感じてみたい。
2.独立までの道のり
世界史でうっすら習った記憶もあるが大部分を忘れていた。近代まではフランスやオランダの支配下にあったこともあり、現在国内に公用語が2つあり、文化も多少違ってくる。大戦期には中立を掲げながらも、ドイツに侵略される歴史があるなど、独立国家として地位を築き上げるには長い月日がかかった。
3.王制
ベルギーの歴史を語る上では、歴代の国王を外すことはできない。
「注意深く周辺国との関係を見ながら振る舞ってきたレオポルド一世。国を(自分を)豊かにしようとして大概進出に夢中になったレオポルド二世。ドイツからベルギーを守ろうとして国民を鼓舞したアルベール一世。ベルギーを守ろうとしたことが裏目に出たレオポルド三世。「ベルギー」を維持するために連邦化に邁進したボードゥアン一世。そして、「分裂危機」のなか分離主義者と闘ったアルベール二世。」
いつの時代もベルギーを守ってきたのは国王であった。 -
チョコレートやワッフルに隠れた真のベルギーの姿が描かれている。小国ベルギーについて書かれた本は少ないので、非常に貴重な一冊。
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現在ベルギーに住んでいる。何も知らずに住み始めたものの、街中の銅像や歴史的建造物に触れる機会も多いことから、さらっとは知っておきたいと思い手に取った。ベルギーが一つの国であり続けるために奮闘する歴代の国王の人間性や考え方に焦点をあてて歴史を語っており、とても分かりやすくおもしろい。地名がマニアックなので、たまに地図を確認しながら読むとよいかもしれない。昨今のEU金融危機くらいまでの記述があるのもうれしい。
世界史はどうも苦手だが、日本史と同じように、こうしてひとつひとつの国にしぼって考えると楽しめるのかもしれないという大きな気づきも得ることができた。