源頼政と木曽義仲 - 勝者になれなかった源氏 (中公新書 2336)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121023360

作品紹介・あらすじ

以仁王の平氏追討の挙兵に加わり、内乱の端緒を開いた摂津源氏の源頼政。以仁王の遺児を奉じて、平氏を西へ追い落とし、入京に成功した木曽義仲。悲劇的な最期を遂げる二人は、時代の転換点となる治承・寿永の乱(源平合戦)の幕開きを象徴する人物である。保元・平治の乱、宇治合戦、倶利伽羅峠の戦い、そして都落ちと敗死…。皇位継承をめぐる政治的背景も織り交ぜつつ、二人の実像と動乱の時代を描きだす。

感想・レビュー・書評

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  • やはり歴史は細部を知ることが必要。この本を読むことでかなりいろいろ分かった。たとえば、伊豆に流された頼朝がわりと自由に暮らせたのは知行国主が源頼政で国守がその息子の仲綱だったからなどということは大河ドラマを見ていても全く分からないこと(ま、ドラマと歴史は別だが)。美濃とか近江の源氏の動きなども結構重要。等々、その辺が大変わかりやすく書かれている好著である。

  • いわゆる源平合戦の前半にて敗死した二人の実像を探ると共に、当時の複雑な政治情勢を読み解こうとする内容。特に頼政について、京都政界での位置付けや八条院との関係・以仁王の挙兵への関わりなどが分かりやすい。

  • 勝者にはなれなかったが社会変動の幕開きを務めたふたりの武将でした。頼政は和歌にも優れ、そのネットワークも見逃せない人物。『方丈記』の著者 鴨長明とも繋がりがある。能「頼政」や「巴」などでも語られる。まとまっていて読みやすいと思います。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99786660

  • 月岡芳年の「月百姿」を観に行って、源頼政の鵺退治の背景が気になって。この、平安時代末期から源平合戦を経て、鎌倉時代の成立まで…って、まさに怒濤のよう。政治的混乱に延暦寺・圓城寺・興福寺の僧侶達の思惑…どころか実力行使が絡むし、登場人物はやったら多いし、もう追っかけきれない(涙)
    ちなみに「扇の芝」は出てこない。『平家物語』にはないからかなあ。

  • 以仁王は挙兵も令旨も出してない?
    源頼政は中立の人?
    折角覚えた常識がこの新書では否定されます
    全ては清盛の疑心暗鬼だった
    後白河院の3男で親王宣下こそされていないが八条院の寵臣えある三位局との間の子を、八条院が後継者として育ててくれて、以仁王は自分が皇位を継ぐ事よりもリスクなく荒れた政局と距離を置いて自儘にのんきに生活していたが、後白河院を幽閉した(クーデター)うしろめたさから生まれた清盛の邪推は、皇位を望む敵が以仁王になった
    熊野本宮と熊野新宮による平治の乱の罪人源行家をめぐる争いは、平家の警戒する以仁王に向けられる
    さて、以仁王は園城寺最大のカード「嗷訴=ごうそ」で事故の潔白・身の安全を得ようとしていたのだが、追い落としを狙う平家は之を挙兵と見做す
    そのあと少しでも仲間を増やすべく考えた令旨(先にこれ=檄文があった訳ではない)は、藪蛇で王の挙兵の証憑となった
    ああ、頼政の事書くのが面倒になった(義仲は書く気無い)

  • 摂津源氏の傍系ながら和歌に堪能で辟邪の技能もあって朝廷に重用されていた源頼政、父の戦死で木曾で育ち平氏の侵攻に立ち向かううちに連勝したが中央政権を差配する展望も能力も無かった源義仲、以仁王の挙兵が彼らに敗北の運命をもたらしたが、その鍵は双方ともかかわり深く以仁王を猶子としていた八条院が握っていたことがよくわかった。

  • 不人気だった大河ドラマ「平清盛」を見てから、教科書では一見、華やかに見える源平合戦をより詳しく知りたいと思い、「河内源氏」に続き、関係書を読破。
    読後、ドラマではよくわからなかった人間関係や動機を伺い知ることができ、すっきりとした気分。
    敵対関係とみられがちな源氏と平家の協調路線、蜜月だった後白河院と平清盛の確執、手を汚さず、政敵を追い詰める後白河院の陰湿さ。その渦中に弄ばれる源氏一族。
    このドロドロの愛憎劇の難解さが、ドラマ不人気の一因となっている気もする。なかなか奥深い。

  • 源平合戦前の朝廷、武家の関係性が良く分かり勉強になった。頼朝以前の動きが分かりやすく記述している。

    ほぼ名前聞いたことがあるといった程度であった両名のことが少し分かった。関連の書籍も読んでみたくなった。

  • 以仁王とともに挙兵し、真っ先に死んでしまったため影の薄い印象のある源頼政と、悪役のイメージの強い木曽義仲にスポットを当てた本書。
    義仲の生涯や、治承・寿永の乱(源平合戦)に至るまでの、源氏の棟梁としての頼政、そして2人の血を継いだそれぞれの子孫たちのその後が分かりやすくまとめられ、読みやすい歴史書でした。

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著者プロフィール

洋大学文学部哲学科教授/専門は、哲学、倫理学
著書に『〈精神的〉東洋哲学:顕現しないものの現象学』(知泉書館 2018)、『現象学の転回:顕現しないものに向けて』(知泉書館 2007)他

「2024年 『談 no.129』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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