〈どんでん返し〉の科学史 - 蘇る錬金術、天動説、自然発生説 (中公新書 2476)
- 中央公論新社 (2018年2月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121024763
作品紹介・あらすじ
鉄や水銀などのありふれた金属から金銀を作り出そうとしたのが錬金術で、ニュートンですら錬金術にとりつかれていた。19世紀に元素の概念が普及すると、錬金術は荒唐無稽なものとして退けられていったが、20世紀、ラザフォードが「新しい錬金術」と称した物理学の進展によって、いまでは自在に新元素を創れるようになった。天動説、自然発生説など、否定され、再復活するトピックに注目して描かれる、もう一つの科学史。
感想・レビュー・書評
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天動説から地動説へ。錬金術、永久機関。進化論。生命の自然発生説。エーテルから暗黒エネルギーへ。科学の進歩発展はある時代まで常識としてまかり通っていた学説が新説に置き換えられるという転換の連続として捉えられることが多い。これを「どんでん返し」として、説明したのが本書。科学史でもあり、人類のパラダイムシフトに対する記録でもある。
変わってみると、それまでの考え方や習慣が原始的に見えるから人間とは勝手なものだ。至近では、「携帯電話がない時代の待ち合わせ」「飛行機で喫煙」「部活動での体罰」「リーゼントに短ラン」なんかも既に過去の遺物であり、原始的に見える。科学だけでなく、時代の移り変わりの中で、人類は幾つもの転換点を向かえ、これからもそれは続いていく。
本書は専門的な内容も多くて、とっつき難い部分もあるかも知れない。その分学びがあると前向きに、読み切る。以下はメモ書きだが、このような感じの内容だ。
ー ラザフォードとソディが発見した一連の元素の崩壊系列〈トリウム→ラジウム→ラドン→ポロニウム→〉
ー 陽子同士の電気的な反発力を抑え、陽子と中性子を核内でかたく結合させている核力の理論が湯川秀樹によって提唱されるのは1935年
ー 原子番号93以上は人工的に合成された放射性元素
ー 光のスペクトル分析により、太陽の中に水素がある事を発見。ヘリウムの発見も太陽光を通じて詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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錬金術を始めとする、研究の歴史的経過とその評価の変遷について紹介されています。一度否定された事案もそのもの自体は否定されても、その考え方やアプローチの手法が後世において復活する事案など、具体的な事例紹介をしていただいています。欲望に駆られたスタートだったとしても、現時点で重要な概念に変化することなど、研究者の信念に基づく継続される研究は重要だと感じました。
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一度は否定されたものの、別の視点から復活した科学に注目し、その展開を追った1冊。【科学史タイムトラベル】
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物理、化学、生物、全部つながってる。
難しい部分も多いけど、宇宙のはじまりや生命の自然発生説なんかはおもしろかった。 -
どんでん返しは文系な印象なのに理系過ぎる内容で
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自分の無知ゆえに科学史がリアルでないため、どんでん返し感が実感できないという。。わかっている人には、この切り口はすごく面白いんだろうと思った。
いい本だと思う。評価が低いのは本のせいではなく、私のせい。 -
中世の錬金術が物理学の進歩で復活し、今では新元素を作れるようになった。一度は否定され、よみがえった説で辿る、もう一つの科学史
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東2法経図・6F開架 B1/5/2476/K