海を渡る新幹線: アジア高速鉄道商戦 (中公新書ラクレ 61)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121500618

作品紹介・あらすじ

韓国、台湾、中国と続く熾烈な国際商戦は、商社マンやエンジニアだけではなく、政治家も巻き込んだ。「海を渡る新幹線」に賭けた人々の壮大なロマンと波乱のドラマの行方は…。

感想・レビュー・書評

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  • 2014.10記。

    人生初の海外一人旅は台湾だった。台北から南に向かう特急「自強号」、苦労して筆談で切符を買った。口でいくら言われてもわからなかったのに、紙に「単程?去回?」と書かれて「片道、往復」とすぐ分かった(で、合ってますよね?もし違うなら20年間誤解していたことになる)。いずれにせよ漢字文化はすばらしい。

    今、この路線は新幹線が走っている。その海外進出は苦労の連続だった。本書は台湾、そして中国本土への新幹線輸出を巡る国際商戦のドキュメント。少し古い本だが、競争相手のいるビジネスの大変さはいずこも同じ。
    それはともかく、本書の出版された10年前に、すでに中国では「導入すべきは新幹線かリニアか」が議論されていたことは知っておく価値がある。世界には「前例がない」から欲しい、という国もちゃんとあるということだ。

    それにしても、高速鉄道技術は海外から移転を受けるのが当たり前だった中国が、わずか10年で世界中の鉄道案件において「日本の三分の一のコストで営業してくるライバル」になろうとは・・・。
    ともあれ、この分野での日本の益々の大活躍をぜひ。

    さて、米国ではそのリニア(もちろん日本製)が日本より先に走るかもしれない。あちこちで報道されているが、10/23付WSJの記事がシンプル。「もし、もしもだよ、実現したら、東京・名古屋間より3年早いってことになるね」と・・・。

    “When could this happen?
    Assuming the project clears these hurdles – and that is a big if – the backers want to complete the first phase, from Washington to Baltimore, by 2024. That’s three years before the projected entry into service of the Tokyo-Nagoya maglev line.” (WSJ記事より)

  • 2002年刊行。台湾・中国の高速鉄道導入にあたり、日欧の新幹線技術(リニアを含む)売り込みの経緯、顛末を叙述。台湾は、紆余曲折あるものの日本の新幹線技術を導入。中国につき、本書では日独の競争の過程(日は新幹線、独はリニア)までを描写。中国のリニア導入の熱心さの裏に何があるのかは注視しなければならない(現実は一部のみリニア導入)。他方、日欧に過当競争させた結果が過日の事故だとすれば、高転びに転ぶ式との批判は避けがたいだろう。なお、本論と無関係だが、本書執筆の読売新聞中部支社社会部長は清武英利氏だ。
    また、台湾で、仏側が自国戦闘機を供給していることを梃子に新幹線技術導入を求めた事実は、仏の通商姿勢を窺い知れる。

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