少年犯罪被害者遺族 (中公新書ラクレ 234)

制作 : 藤井 誠二 
  • 中央公論新社
3.24
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本棚登録 : 42
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121502346

作品紹介・あらすじ

改正少年法の施行後も癒されない、少年犯罪被害者の遺族たち。彼らの声を受け入れられない社会をこのまま容認し続けていいのか?彼らの肉声に耳をすまし、我々の社会の病理を考える。

感想・レビュー・書評

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  • この期に及んで、性善説に立っているかのごとく「少年の更生」に重きを置いて、被害者及び被害者家族が煮湯を飲まされている現状に、苛立ちが止まらない。
    本村さんが言うように、であるなら、加害者への徹底的な「更生する義務」を極めなければならないと思う。
    命はたった一つ。人生はたったの一度きり。何よりも大切な命。だからこそ。

  • 10年前の本だが訴えていることが迫ってくる感じはすごいし、重い。
    当事者でない身では「加害者の謝罪」「更生」は必要なことだと思っていたけれど、「関わりたくない」という被害者遺族の思いが切々と伝わってきた。
    「加害者の更生の問題を被害者に押しつけないでほしい」(55P)にははっとさせられた。

  • フェアではない。そこは注意。

  • 図書館で借りてきた本

    いろいろな少年犯罪被害者遺族たちの声。

  •  山口県光市母子殺害の大月被告死刑確定のニュースを見て。
     理不尽な理由で家族を殺された遺族の方々の悲痛な叫びが心に直に響き、読み進めるのが辛くなった記憶があります。
     特に被害者の母親が加害者の少年に関して「罪と向き合い反省してくれれば、それで良い」と言ったものの、その後に涙を流しながら「…やっぱり殺してください!」と訴える場面。人の死を願う事についての心の葛藤が目に浮かぶようです。
     この本を読んでいると、少年法の存在意義について考えさせられます。18歳未満は善悪の判断が付かないのか? 被害者の人権と遺族の幸せを一生断ち切った人間の人権がやたらと尊重されるのは? 少年法の支持者は、自分の家族が下らぬ理由でむごい殺され方をした場合、変わらずに加害者の生を認められるのか? 死刑制度同様、色々な意見があるのでしょうけれど…。
     いずれにしても今回の本村さんをはじめ、遺族の方々の今後の幸せを祈らずにはいられません。
     決してこれらの事件が“他人事”とは言い切れない今の世の中、多くの人に読んでもらいたい本だったように思います。

  • 少年犯罪と少年に対する刑罰にかんして、遺族の立場が述べられた本である。4遺族の意見が本書には収録されている。

    少年審判の不透明性、少年事件の再犯の多さ、修復的司法への批判などがつらつらと書き連ねられている。
    一見すると、遺族の言うことも分からなくはない。一方で、少年の人権の言うものの配慮はなされなければならない。

    思うに、少年事件において、少年法の「少年の可塑性を考慮して、少年の将来に期待する」というような理念には大きな意味があると思う。一方で、そのように将来に期待されているからこそ行われる「更生」がうまくいっていない現実。それが一番の問題なのではないか。

    少年事件の被害を受けた被害者及び遺族の姿勢を垣間見ることができたことで、逆に被害者の自己中心の気持ち、というのも一部垣間見れた気がする。

    一方で、被害者の言う「少年事件における事実の明確化、事実認定の厳格化」や「情報公開の徹底」という点については、被害者の人権知る権利というものを守る観点から、もっと考えられるべき問題である。

    今後の少年犯罪の処遇、遺族の感情、といったものを理解する上であるていど有用であると思われました。

  • 人の感情は、法律では割り切れないなぁ…
    ってあまりにも凡庸ですね。
    ごめんなさい。

  • 少年法に保護された加害者と、それにより、従来通りの様に罰を求めることのできない被害者の叫びを描いた本である。この本では、日本社会が少年犯罪者に対して被害者が許すという構図が賞賛されてしまいがちだという事が語られている。しかし、一番の被害者である遺族からすればそれは、とんだ妄想である、彼らを許すどころか憎みさえもし、そうした社会や制度に対して怒りを覚えているという声。それは、テレビや新聞では拾いきれず、また無視されてきた彼らの悲鳴でもあろう。そうした見えない事実がこの本には記されている。

  • 12月?
    「少年というだけで罪にならないのですか?」という言葉が印象的で購入。
    少年犯罪被害者の声というのは新聞やテレビなどのメディアを通して私はみみにすることが多いが、それよりも、ずっと生々しく自分自身に問いかけてきた。その声は、痛切で、なによりも、愛していた存在を突然奪われた悲しみは、筆致に絶する。
    そして、その声を真摯に受け止め、制度をどのように改善していくことが、その声に答えることになるのか考えていく必要があると思った。

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