エアライン敗戦―格安航空来襲とJAL破綻 (中公新書ラクレ) (中公新書ラクレ 343)

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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121503435

感想・レビュー・書評

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  • 80点。世界のエアラインの変革と現在のエアライン情勢について平易に説明され、冷静かつ客観的な筆致はたとえ自分の会社が批判の的にされようと素直に受け入れることができる。さまざまな格安航空会社が参入してくる中で、自分が利用する航空会社をどのような基準で選ぶのかは、完全に個人の選択であり、リスクマネジメントも本人次第。格安航空会社の差異化も広がる中で、航空行政や航空業界うんぬんにまったく興味がない人でも、利用者目線から旅行や移動で利用する航空会社をどのような基準で選べばいいかを考える際にも本書を一読しておいてきっと損はない。

  • LCCが登場することで、飛行機にのることが
    一般大衆にもできるようになったと朗報と
    従来の航空会社が、経営が困難になっていく。
    航空会社って、倒産が多いような気がする。
    それは、公共機関のような位置づけなので、
    鉄道会社倒産すると言うことは、あまり聞かないからか。

    LCCが 実現できた背景は どこにあるのか?
    アメリカから 航空業界の規制緩和が始まった。
    1982年 新路線の許認可権の廃止
    1983年 航空運賃、企業の合併 買収に対する規制権の廃止
    1985年 国際協定を含む全権限をなくし 民間航空委員会(CAB)の廃止
    安全に関する規制は堅持した。輸送権に関する経済的な規制は、全面的に廃止。
    このことで、国内線の乗客は2億6700万人から 4億5500万人に、70%の増加。
    新規参入の手続き要件を、緩和することで、参入した会社が増えた。
    経営資源を収益性のよい路線に集中。収益性の低い路線は整理。
    拠点(ハブ)空港に乗客を集めて、効率の良い長距離路線の比重を高める。

    航空自由化とは、新規参入、需要調整の撤廃、運賃の自由化の3本柱。

    日本のLCCの課題
    ①運賃が高い。国交省がIATA運賃を堅持
     大手エアライン中心主義
    ②世界一高い燃油サーチャージ
    ③驚くべき高コスト体質
    ④安全性の維持で 新規参入を想定していない。
     参入障壁が高い

    日本の航空産業が発展しない大きな要因は
    国交省が、安全を振り回して 排除する論理しかもっていない。

  • やっぱりこの人の本は読みやすいし、面白い。航空業界もローコストキャリアのために色々大変なんだとわかった。俺なんかはやっぱり大手キャリアの方が安心感あるけどなあ、まあ、シーンに合わせて使い分けていくのが大切なんだろうね、うん

  • 航空業界の歴史やLCCの成り立ちがわかって興味深い。

  • 航空業界の激変は驚くばかりだが、第2空軍としての位置づけで、冷戦終了も影響していたとは、また驚き。LCCという言葉は定着してきたが、「日本にはLCCは存在しない!」にまた驚いた。世界標準のLCCではなく、単に安売りしているのみとのこと。本来のLCCは安全性がむしろ高いということも驚き。 規制緩和の動きが激しいだけに、理解が追い付かないが、知っていると知らないとでは、随分お金の使い方に影響しそうな心配を感じた。

  • [ 内容 ]
    航空自由化の進展によりエアライン間の競争は激化。
    名だたる老舗が倒れる一方で、バス並みの低運賃をウリにする格安航空会社が躍進。
    世界の、そして日本の空の未来を大胆に予測する。

    [ 目次 ]
    第1章 塗り替えられた航空業界地図(誰でも乗れる運賃になる;日本もようやく自由化に;ジャンボ機が急速に消えていく;世界はアライアンスの時代;変わってきた利用者の意識)
    第2章 大手の失速と新規参入組の台頭(統合が進む欧米のエアライン;格安社の誕生と市場参入計画;淘汰も始まったLCC;アジアにも続々登場;韓国のLCC、チェジュ航空試乗記)
    第3章 格安航空会社のビジネスモデル(駆逐されたパイオニアたちの物語;確立されたビジネスモデル;地域別の特徴;LCCを支える経営哲学;気になる安全性;将来有望な格安ビジネスクラス専用便;LCCの課題)
    第4章 日本の空はどうなる?(高い運賃にしがみついてきた日系キャリア;日本で実現しないLCC;日本市場を狙う外国エアライン;オープンスカイで日本はどう変わる?)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • さすがに航空ビジネス研究の第一人者と言われるだけに、日本のエアラインがいかに敗戦につながったかを検証している。日本の失われた20年?そのものの事例。国の航空行政そのものが敗戦をうみだしていることもよくわかる。久しぶりに興奮した書籍でした。

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著者プロフィール

昭和22(1947)年生まれ。航空アナリスト。首都大学東京客員教授。
利用者サイドに立ったユニークな評論をモットーに活躍中。東京都や成田市の航空および空港問題の委員会委員などを歴任。
著書に『進む航空と鉄道のコラボ』『日本の空はこう変わる』(交通新聞社新書)、『間違いだらけのLCC選び』『JAL再建の行方』(草思社)、
『エアライン敗戦』(中央公論新社)、『空の上の格差社会』『激安エアラインの時代』(平凡社新書)など。

「2018年 『こんなに違うJALとANA 124』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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