ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書 290)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121902900

感想・レビュー・書評

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  • ずっと積読本で手が出てなかったんだけど、読み始めたら面白いの、これ。あの頃に日本人がこんなことしてたんだなってビックリ。まあご本人の自己申告だから別の人の目線からもちょっと聞いてみたい気もしたけど、知らなかった世界が開ける感じが凄い。

  • 先日初めて喜多川泰さんの講演会に行きました。
    講演の中で必読の一冊と紹介があったので読みました。

    日本は今、太平洋戦争以来の国家危機を迎えているのだと思います。
    2度も国の存続が不可能と思われたところから立ち直り、発展を遂げてきた私たちの国の未来はどうなるのでしょうか。

    喜多川さんはとても良い国の良い時代に生まれてきたと思うこと、伝えることの大切さを語っていました。
    私には何ができるのだろう。


    Although the barrier to preventing from country’s development is people, the main reason for development is people too.

  • めちゃくちゃ面白かった。

    中央銀行総裁の立場ではあるが、コンサルのような印象を受けた。
    国を相手にしてさまざまな領域からアプローチできるのは非常に魅力的な仕事だったろうと思う。

    他方で、現代社会の日本と照らし合わせると、当時のルワンダのように明確で規模の大きい課題が少ないのは当然のことということも理解しておきたい。

    とにかく読んでいて、現在の仕組みを理解した上で、仕組みの外側から解決策を持ってくることに非常に長けていると感じた。

  • 1965年、日本銀行員の服部(著者)は、46歳でルワンダの中央銀行総裁に突然任命される。ルワンダは遅れているアフリカ諸国のなかでも特に遅れていて、3年前にベルギーからの独立が正式に認められたばかりだ。主要産品はコーヒー(先日この本を片手に飲んでみたがとても美味しかった)だが、海から離れているため輸出入に1,800kmの陸上輸送が必要であり、この点も発展の足かせになっていた。

    ルワンダの首都キガリに飛行機で降り立つとそこに空港ビルはなく、代わりに電話ボックスのような小屋が2つあった。それが検疫と入国管理の事務所だった。キガリの街は驚くほど静かでどこの家も小さく、ホテルは1軒しかない。中央銀行もめちゃくちゃで、財政赤字が続いて外貨も底をつき、これからコーヒーの収穫期で現金が要るというのに、中央銀行の金庫に自国通貨はほとんどなかった。前総裁は銀行家ではなく、スタッフが進言しても不要と判断されてそのままになっていたらしい。
    前年の理事会の議事録読むと、金融政策の議論はされておらず、理事会と総裁はどちらが上かというくだらない議論ばかりされて、蔵相からいい加減に仕事しろと怒られる有様。副総裁は銀行のことを知らないし、職場を見てもおしゃべりしている人に居眠りしている人、どこかへ行ってしまった人と散々な状態で、帳簿もミスだらけ。いったい、どこから手をつけたものか。

    通貨制度の問題として、二重為替相場制度があった。政府の取引、輸出、必需物資、外国人俸給送金など承認された取引には1ドル=50ルワンダフランの政府相場、その他の取引には1ドル=約100ルワンダフランの自由相場が適用される。これを使って外国人労働者や輸入業者が儲けることができた。給料のうち100ルワンダフランを政府相場で送金すれば2ドルになるが、それを自由相場で戻せば200ルワンダフランになる。輸入業者も本来1ドルの商品価格を2ドルと偽って輸入すれば、100ルワンダフランで政府相場で支払って、余った1ドルを自由相場で戻せばタダで輸入できる。そんなの、めちゃくちゃだよ。

    大統領に通貨制度の改革を進言するのだが、通貨制度の改革は、財政改革とセットでなければ結局うまくいかない。それならば、ということで、服部は経済再建計画の答申作成も任されることとなった。しかも外国や他の大臣などに邪魔されないように、これは1人で極秘でやるようにとのことだった。こうして、中央銀行総裁の仕事にとどまらず、人口300万人の一国の再建を任されてしまう。

    さまざまな困難に直面するが、相互理解を深めながら少しずつ仲間を増やし、国を再生していく。本書は初版が1972年であるにも関わらず、近年「異世界転生モノの現実版」としてSNSでも話題になったそうだが、それも頷ける内容だ。




  • 最後のフツとツチ族の争いについての視点が考えさせられた。

  • 新書で教養を深めたい、政治や経済について知識が欲しいなと思ったときに、書店で見かけて手に取った。「日記」とあるので著者の私生活や感情の動きも書かれてると、普通の経済の本より読みやすいのでは…と期待して買ってみた。期待通り、面白く読めた。通貨の理屈や国際機関の色々は完全に理解できたわけではないけど、服部さんの熱意と信念でルワンダの経済再建を進めて行く様子は読んでいて爽快だった

  • ルワンダ銀行総裁となった服部氏が同国経済の立て直しに尽力する話。所々わからない部分があったが、経済学の知識をもとに現状を分析し、銀行マンを超えた行動力や交渉力で周りを動かすこと、また周りの人から信頼されること、それは無私の心で働くことによってなされたのではないかと思った。今度尊敬する人は誰ですか、と聞かれたら、服部正也氏って答えたいな。

  • 2023.05.07
    職業人としてただただ尊敬します。

  • 行きつけの店で買ったルワンダのコーヒー豆の味に感動していた時期に書店でルワンダという題に目にとまり読んでみました。貧困や独立、内戦といったうっすらとしたワードの知識しかなかったので50年以上前にルワンダにわたり経済発展を牽引した日本人がいたことに驚きました。金融や為替など普段馴染みのないジャンルなので読むのに時間がかかりましたが著者が不屈の精神でルワンダの再建そして発展に導く姿勢にひきこまれました。

  • ルワンダの中央銀行総裁として着任した服部総裁の記録。財政や国際収支の赤字や未熟な組織、物理的条件の不利など困難を極める中でルワンダ国民のために経済改革を行った。 人間としてとてもかっこいい。

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