ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書 290)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121902900

作品紹介・あらすじ

一九六五年、経済的に繁栄する日本からアフリカ中央の一小国ルワンダの中央銀行総裁として着任した著者を待つものは、財政と国際収支の恒常的赤字であった-。本書は物理的条件の不利に屈せず、様々の驚きや発見の連続のなかで、あくまで民情に即した経済改革を遂行した日本人総裁の記録である。今回、九四年のルワンダ動乱をめぐる一文を増補し、著者の業績をその後のアフリカ経済の推移のなかに位置づける。

感想・レビュー・書評

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  • 日銀に勤めていた著者が、植民地からの復帰まもないルワンダの中銀総裁として活躍した実話。本人が書いたものをそのまま本にしているようで、実直な人柄はしのばれるがいかんせん読みにくい。。。一文、一段落が異様に長くて疲れてしまい、途中で断念。

  • ルワンダを良くしようとする日銀銀行マンのプライドと気概がかっこいい。

  • 非常に面白かった。立派な人がいたんだなぁ、と思う。人を、現場を、大切にする人。大統領との対話で作られた信頼関係があってルワンダのため、ルワンダ人のための仕事をしているのは最高のモチベーションになっていると思う。仕事というのはかくあるべし、と思う。

  • 服部氏の日銀総裁や世界銀行での経験からすれば端から可能なことだったかもしれないが、アフリカ内陸にあり経済的条件も良くない土地で、通貨改革や中央銀行、金融の組織化をやりきった姿を、仕事人として尊敬する。

  • IMFから派遣されて、ルワンダ中央銀行総裁を務めた方の記録。
    ルワンダ国民を同じ人間として信じ、その人たちの努力が当たり前に反映される社会となるよう、
    中央銀行総裁の立場でできることは何かを考え、実践した話が細かく描かれている。
    読むと日本人として、このような人がいたことを誇りに思える。
    この人まではいかないまでも、自分の仕事を通じて、いかに社会に貢献するかを考えることの
    大切さを改めて感じさせてくれる本。

    植民地時代の慣習や考え方、前任者のやり方にとらわれずに、ルワンダ国民に直接話を聞きながら
    銀行員としての肌で感じた現場の感覚を大切にしているところも、見習うべきところ。

    途中の様々な施策の記述は少し経済に詳しくないと理解できない部分が多々あるが、
    そこは理解できなくても読み進めればよく、最後まで読むと良いと思う。

    気に入った部分を少し、いかに2点ほどピックアップする。

    (本書からの引用 p69)
    私は次の外国人職員の講義に顔をだして、集っている職員に次のようにいい渡した。
    「ルワンダ中央銀行を立派な中央銀行にすることが私の任務である。この銀行はまったくなって
    いない。それは君たちのせいではない。君たちはなんの経験も知識もなく銀行に入ったのだ。し
    かし銀行に入ったからには、そして私の下にいるからには、早く銀行を立派な中央銀行にするこ
    とが君たちの貴務なのである。私は君たちを中央銀行員として扱う。一人前の大人として扱う。
    君たちは学生ではないのだ。中央銀行員なのだ。独立国ルワンダの中央銀行員なのだ。私はこの
    機会に外国人職員に対し、ベルギーやスイスで、新入行員に対するのと同じように君たちを教育
    訓練することを命ずる。私も君たちが新入日本銀行員であると思って鍛えるつもりだ。外国人職
    員に対し、この際はっきりお願いする。ルワンダ人職員を黒人であるとか、途上国の人だからな
    どといって甘やかすようなことは、ルワンダ人職員を侮辱するものだから一切やめてもらいたい。
    自分の国の新入行員に対すると同じように、びしびしやってほしい。ルワンダ人職員は大人であ
    るから、それに堪えられるはずであり、それができないものは銀行をやめてもらう」
    このお説教のせいか、外国人職員の態度に対する苦情は二度と起らなかった。私は甘えと、甘
    やかすことほど世を毒するものはないと思っている。しかし最近の傾向は人間的という美名で甘
    えと甘やかしが横行し、人間生活に必要な規律と義務が軽視され、そのために社会が乱れている。

    (本書からの引用 p298)
    私は戦に勝つのは兵の強さであり、戦に負けるのは将の弱さであると固く信じている。私はこ
    の考えをルワンダにあてはめた。どんなに役人が非能率でも、どんなに外国人顧問が無能でも、
    国民に働きさえあれば必ず発展できると信じ、その前提でルワンダ人農民とルワンダ人商人の自
    発的努力を動員することを中心に経済再建計画をたてて、これを実行したのである。そうして役
    人、外国人顧問の質は依然として低く、財政もまだ健全というにはほど遠いにもかかわらず、ル
    ワンダ大衆はこのめざましい経済発展を実現したのである。途上国の発展を阻む最大の障害は人
    の問題であるが、その発展の最大の要素もまた人なのである。

  • 敗戦の記憶がまだ新しかったと思われる1968年にIMFからの要請によって、当時独立して間もないルワンダ中央銀行の総裁として赴任した日本人の著者による記録。著者自身も日銀職員であり、金融政策や実務についてはかなりの知見があることは書中にたくさん書かれている問題とそれに対する対応策に関する考察で読み取れる。

    本書を手に取ったきっかけは、いわゆる発展途上国とのビジネスにおいて常に悩まされる、現地人の責任意識の低さや、スピードの遅さなどについて、何かヒントはないかと思ったことである。

    ルワンダは、独立前には隣国のブルンジと併せてベルギーの植民地であったため、ベルギーとの貿易が多く、かつそれに伴うベルギー企業やそれを支援するベルギーの民間銀行によるルワンダ経済への影響力が極めて大きかった事を著者は赴任した際に目の辺りにする。ルワンダの政治・経済における問題の多くはこれによるものが多く、実質的に同国の運営はベルギーからきているアドバイザー達によって行われていたということである。更に問題だったのは、ルワンダ人の政治家や役人達の経済製作や実務に対する知識が乏しく、更には意欲と責任感を欠いてる中、ベルギー人達の言いなりになっていたという事だった。

    結局、こうしたアフリカ諸国が現在に至っても先進国や国連からの援助に依存しているという構図は変わっておらず、そもそもだからこそ植民地という立場に甘んじた歴史を持っているとも言える。

    著者はそのような状況の中、ルワンダ中央銀行と、それにとどまらずルワンダ経済の改革を行う事となるのである。結果的に改革は成功する事になるが、その最大の理由は著者が私利私欲や出身国の日本の利害を一切排除し、ルワンダのため、ルワンダ国民のための政策を実行した事によるものである。植民地の宗主国体質が抜けないベルギーの企業や銀行では到底出来ない事であり、日本人だからこそ出来たのではないかとも言える。

  • こりゃおもれーわ!
    シムシティに似た快感があった

  • 子どもが面白いから絶対読んだ方がいいと薦めてくれて読みました。めちゃくちゃ面白かった。

    Noblesse obligeとしか言いようがない。
    こんなにすごい日本人がいたなんて感動しました。

    そしてもっと経済について勉強しないと、とも思いました。

  • ずっと積読本で手が出てなかったんだけど、読み始めたら面白いの、これ。あの頃に日本人がこんなことしてたんだなってビックリ。まあご本人の自己申告だから別の人の目線からもちょっと聞いてみたい気もしたけど、知らなかった世界が開ける感じが凄い。

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