世界の歴史 (14) 第一次大戦後の世界 (中公文庫)

制作 : 江口 朴郎 
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122002197

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  • 大セルビア主義を掲げる民族主義団体を背後にして起こったサライェボ事件に対し、オーストリアは最後通牒を突きつけた。セルビアはこれを無視したことで戦争が勃発、同盟・協商関係から第一次世界大戦となった。西部戦線と東部戦線は膠着し、次第に総力戦となる。イギリスの対独通商封鎖を破りたいドイツは無差別潜水艦作戦によりアメリカ人が乗船しているルシタニア号を沈没させる。これに対してアメリカは世論を統一し、連合国側で参戦した。
    戦争の継続が難しくなっていたロシアでは1917年のロシア革命でニコライ二世が退位、ボリシェビキ政権が成立する。戦争に反対だった政権はドイツのブレスト=リトフスク条約で戦争から離脱した。
    ドイツは東部戦線の人員を西部戦線に移したが結果は芳しくなく、戦争の限界を迎える。1918年、労働者のストライキにより皇帝が退位、ワイマール共和国となる。
    戦争の講話ではフランスが強硬な姿勢を貫き、ドイツは植民地と国外の権益のいっさいを失った。
    だがドイツの衰退が赤化を招くという懸念から、アメリカによるドーズ案で経済を復興するという方向がとられる。だが国力の発展したドイツにとってヴェルサイユ体制がもたらす軍事・外交・経済の制裁は邪魔なものとなってくる。24年には西欧強調派は追放され、右翼化の傾向を見せる。
    同じく敗戦国のイタリアも不況に襲われ、労働者の放棄が起こる。これに対して労働者を襲撃し、ブルジョワや中小農民の受け皿となったのがファシストである。
    戦後の中国は反儒教・反文語・反伝統をかかげた革新運動が始まり、五四運動を準備した。
    結局第一次世界大戦は反社会主義、不十分な民族自決、併合と莫大な償金をもたらした。一時はドーズ案によって体制の安定を保っていたが、やがて世界恐慌と中国のナショナリズムによって崩れていく。

  • 受験勉強をしたことのある人なら多分誰でも知っている「ボスニアの首都サラエボでオーストリア皇太子がセルビア人に暗殺されたことで第一次大戦が勃発した」という有名な件からこの本は始まる。ユーゴスラヴィアという国が何故生まれたか、日本人からは想像外の過酷さ。トルコがキー。ロシア革命が人類史に残る輝かしい事業となるはずがレーニンの死と運命をともにし、イタリアではムッソリーニ率いるファシストが台頭していくとき、アメリカ、イギリス、フランスは何をしていたか。そしてアジアでは?ドイツのヒトラー前からもう世界は不穏だった。

  • (1994.03.04読了)(1994.02.01購入)
    *解説目録より*
    帝国主義勢力が激突した第一次大戦の最中に、ロシアには革命の烽火が上がり、植民地では独立の炬火がもえる、平和と革命の渦まく戦後世界の再編と展開。

    ☆世界の歴史・中央公論社(既読)
    「世界の歴史(6) 宋と元」宮崎市定著、中公文庫、1975.01.10
    「世界の歴史(7) 近代への序曲」松田智雄著、中公文庫、1975.02.10
    「世界の歴史(8) 絶対君主と人民」大野真弓著、中公文庫、1975.02.10
    「世界の歴史(9) 最後の東洋的社会」田村実造著、中公文庫、1975.03.10
    「世界の歴史(10) フランス革命とナポレオン」桑原武夫著、中公文庫、1975.03.10
    「世界の歴史(11) 新大陸と太平洋」中屋健一著、中公文庫、1975.04.10
    「世界の歴史(12) ブルジョワの世紀」井上幸治著、中公文庫、1975.04.10
    「世界の歴史(13) 帝国主義の時代」中山治一著、中公文庫、1975.05.10

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