世界の歴史 (15) ファシズムと第二次大戦 (中公文庫)

制作 : 村瀬 興雄 
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (521ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122002289

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  • 1923年のミュンヘン一揆でナチスは権力奪取に失敗する。当時の世界はアメリカからの資本に頼っていたから、そのアメリカからお金が入らなくなったり、資本が引き上げられたりすれば世界経済は大きな打撃を受ける状態だった。実際、1929年の世界恐慌によってこれは現実となる。ドイツが受けた影響も壊滅的で、共産化は避けたい、そして軍部は市民層の支持を得られていないという所からナチスによる一党独裁へ向かう。
    人々がナチスを最後まで支持したことをドイツ人の国民性に帰属させることはできない。ワイマール共和国ができなかったことをナチスがやってのけたからだ。それは農業においては自給率を上げ、工業においてはザール地方の編入およびオーストリア併合を含めて原料産出高を急上昇させ、社会においては旧来の身分主義的・家父長的制度を撤廃したことである。
    ナチスは人種至上主義、反共産主義、生存圏の思想を掲げたが、これは帝国主義の最も進んだ形であって、つまり帝国主義の一形態と見ることができる。ドイツが第一次世界大戦にも第二次世界大戦にも敗北したのは、民族の解放が進む20世紀初頭において時代遅れすぎるプランだったからだと筆者は指摘する。

  • 冒頭、世界恐慌の勃発が綴られ、次にナチスが独で権力を掌握し伊西のファシスト勢力と結び付いていく過程、米英仏の世界恐慌の対処に苦慮する姿が語られる。英仏では第1次大戦の敗戦国ではなかったのでファシストが台頭して政権を握ることはなかったけれど、その分労働者の保護と経済の立て直しを巡る政権選択は熾烈だった。特に仏では政権交代したものの、国民の期待に応えられずに、結局は独に妥協していく姿が惨め。日本でも最近あった。そしてそれよりも恐ろしいのがソ連の専制。スターリン独裁への路が詳述される。小国の悲劇に思いを馳せる。

  • (1994.04.07読了)(1994.03.05購入)
    *解説目録より*
    世界恐慌により崩れ去った平和主義にかわって抬頭するファシズムは国際対立の激化を招き、第二次世界大戦が勃発する。その惨禍にみちた全貌を描く。

    ☆世界の歴史・中央公論社(既読)
    「世界の歴史(7) 近代への序曲」松田智雄著、中公文庫、1975.02.10
    「世界の歴史(8) 絶対君主と人民」大野真弓著、中公文庫、1975.02.10
    「世界の歴史(9) 最後の東洋的社会」田村実造著、中公文庫、1975.03.10
    「世界の歴史(10) フランス革命とナポレオン」桑原武夫著、中公文庫、1975.03.10
    「世界の歴史(11) 新大陸と太平洋」中屋健一著、中公文庫、1975.04.10
    「世界の歴史(12) ブルジョワの世紀」井上幸治著、中公文庫、1975.04.10
    「世界の歴史(13) 帝国主義の時代」中山治一著、中公文庫、1975.05.10
    「世界の歴史(14) 第一次大戦後の世界」江口朴郎著、中公文庫、1975.05.10

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