- Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122002418
感想・レビュー・書評
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完ぺきを期した自死計画が、あれよと赤の他人の殺人事件へと巻き込まれていく。自殺計画の布石が他殺加害者容疑へと転じてしまうブラックユーモアに身悶えする。ああ冤罪とはこのように成り立つのか、滑稽な悲劇として主人公・久美子は奔走する。いつの間にか生きることに執念を抱くのも一興なり。
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絶筆となった『肌色の月』は、ヒロインの感じる不安が次第に増幅していくさまを辿るように語られるスリラー。連載最後の一回分は夫人によって書かれています。その夫人が書いた『あとがき』は、創作意欲と、それを打ち砕き続ける癌との戦いを家族の立場で振り返った壮絶な文章。この本自体が、夫人から久生十蘭への追悼になっています。
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遺作。
書かれなかった最終話の粗筋を奥様が書き継がれ、物語としては完結しているものの…やはり最後まで作者の文章で読みたかったな、と思う。
自殺を隠そうとしたことから事件に巻き込まれ、することが裏目裏目に出る主人公の追い込まれた心境、死から生へ気持ちを切り替える心の動き等々もっとしっかりと読みたかった。 -
初めて読む作家の最初の作品が、遺作というのはいかがなものか。気付かなかったんだよ。しかも物語完結できないまま世を去られているとは! しかも推理小説だよ。
幸い、書かれなかったのは連載の最終回にあたる箇所。しかもその筋書きは奥さんに話されていて、奥さんが最終回の分を書き足しているのは助かるが、やはり完成された作品とはとうてい言い難い。前半かなりいいだけに、悔やまれるなぁ。
ところでこの作品映画になっているらしい。見てみたいもんだ。調べてみたら、仲代達也出てるし。