- Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122029149
作品紹介・あらすじ
牛乳瓶、ガリバン、蚊帳…。古き良き20世紀の事物たちは、いかにして時代の彼方に消えていったのか。時は西暦2035年、"80歳"の天才老人・野田秀樹が、20世紀を知らない子供たちに語り始める-。
感想・レビュー・書評
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こういうテイストのエッセイ??って珍しいな!?
今読むと…時代の変遷ってすごいんだな…と改めて感じてしまった…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
エッセイのようで少し小説のような、不思議な読後感の本。著者である野田秀樹氏が、2035年に80歳となって20世紀を懐古して孫に語っている、という体のテキストで、書かれたのは1993年頃。表されている20個の「20世紀」は、著者の子供の頃のものが多い感。そして何が凄いって、著者の書く「子供心」。幼き日の自分の心の動きを、大人の言葉で表していて、ものにはよるけどすごく腑に落ちる。そうか、あの時の自分の心はこうだったのか、それは大人目線ではこうだったのか、という発見が面白い。
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時は2036(平成48)年。
八十路を迎えた野田秀樹翁が「20世紀までは確かにあったけど21世紀になってなくなってしまったモノ」を孫たちに語って聞かせる。
という体の、小説のようなエッセイ。野田秀樹は戯曲もエッセイも大好きです。
20世紀の遺物として取り上げられているモノの中で、例えば「ガリバン」「カエルの解剖」「運動会の白足袋」なんかは、私も経験したり肉眼で確認したりしたことはないのですが、それでも「ああ、あったらしいですね」くらいの相槌は打てますねえ。
「ダイヤル」式の電話(とそれに付随するクルクルのコード)は家にあったし、「柱時計」も祖父の家で見たことあるなー。ああ、あと「押入れ」にもよく幽閉されました、母に。
そんな微妙なお年頃でも、時に野田翁の言葉にうなずき、時に孫たちと一緒に「へー!」となり、近頃とんとお目にかからなくなったモノや意外としぶとく残っているモノへの認識を新たにさせられる、大変面白い読み物でありました。
「文房具」の章が大好き。