- Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122035546
感想・レビュー・書評
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山形の旅館に置いてあった、しょうゆ色に焼けた単行本を読了。
明治維新から太平洋戦争後のおよそ100年がかなりざっくりと、しかし要点がかいつまんで語られていてたいへん読みやすい。
個人名が少なく、個人の業績に焦点を当てていない点が読みやすさを生んでいると思う。
なんだかんだ、日本はこの100年をうまく乗り切ったなぁ、と思う。
以降の自虐史観がすでに太平洋戦争の終戦直後に芽生えていたのは、アメリカ&共産主義者がいかに周到だったかを物語っている。
たとえば現在、世界中に蔓延している疫病に対して日本及び日本人は他国に比してすごくよく対処していると思うのだが、政府や自分らに対しての批判が多く、評価が低いのは、戦後GHQによって植え付けられた「日本はダメな国」というWGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)がいまだに根を張っているからだと思った。 -
深く深く物事を考える視点、感銘を受けた。
今、改めて読んでも示唆に富んでいる。 -
戦後日本の激動期を生きた元首相の語る、日本近現代史を簡単に振り返ることができる貴重な一冊。過去の論文を一部加筆・修正した前半部の明治維新~戦後復興までを綴った史観解説に続き、中盤の来日外国人のみた日本人についての日記・講演記録、後半部の「思い出す侭」と題したエッセーからなる3部形成をとっている。
特に前半部の論評では、徳川時代に培われた日本人の気質が明治において開花し、更にはその能力が暴走した結果の戦争、そして戦後荒野から復興する日本人の逞しさと、未来への忠告等、絶妙な語り口で歴史を概観することができ、一読の価値がある。
理想と現実のバランスの上に政治を説く吉田茂。過去に生きた人物ながら、その絶妙なバランス感覚で語る文章は、現代を生きる我々をも強く引き付ける魅力に溢れている。
事務局 K.M
越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000886866 -
2年前の夏より、自国について知らないと、世界と渡り合えないと感じており、様々な本を読んでいる。
かなり稚拙なレビューになる可能性が高いが、許していただきたい。
この本は、あの吉田茂元首相が、近現代史について述べている。
最初の130ページで、幕末からの政治家の想いや世界情勢の変化が端的にまとめられており、大変勉強になった。
その後、50ページほどで、主に近代の日本を外国人はどう見ていたのか、その言葉が引用されており、少し引いた目線で近代日本をとらえることができた。
最後に、本書の半分を割いて、吉田茂さんの政治家人生を振り返る。
あらゆるままに書いており、当日の一政治家が何を考えていたのかを読み解くことができるので、大変興味深かった(少し難解だったが)。
以上のように、実際に国を動かしていった政治家の考えたプロセスを知り、近現代史を理解する一つの大きなアプローチとなる名著である。 -
戦後日本を造った元首相吉田茂氏自らが著した論文「日本を決定した百年」。エンサイクロペディアブリタニア(1967年版)に掲載されたものに手を加えたものである。
明治初期から1960年代までの百年間の政治について論じたもので、文章が明快・平易で力強いことに感動した。
当時から半世紀近く経ったが、日本の政治体制や官僚機構のあり方はあまり変わっていないなと思う点が多い。あれからの50年を吉田氏が論じるとしたら、どういうコメントをするのだろうか。 -
『思出す侭』は戦後10年頃に新聞記者に語った話をまためたものとのこと。吉田茂の肉声が聞こえてくるような気がする。
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面白かった。
表現が難しいところがあり、中身も簡単ではないが、日本の現代史を振り返る事ができる。
客観的に、冷静な目で日本のことが述べられている点が素晴らしいと思う。
これは戦時中に吉田茂が最前線の役職にいなかったことが関係してるのかな?
あと個人的には、付録の「外国人からみた近代日本」と「思出す侭」の方が本編より面白かった。