ゲバラ世界を語る (中公文庫 ケ 3-3)

  • 中央公論新社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122050273

作品紹介・あらすじ

ゲバラの演説・論文・インタビューから厳選した珠玉の名言集。時空を超えて、世界変革への熱い意思と革命的ヒューマニズム精神が伝わる。理想社会を説きつつ、経済、教育など社会的基盤の整備を重視する現実的な思想が窺える。『グローバル・ジャスティス』と『我らのアメリカ、彼らのアメリカ』の二作品を収録、訳し下ろし。

感想・レビュー・書評

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  •  チェ・ゲバラ発言の厳選集。演説、論文などからのもので、他のゲバラ関連の書籍と比べると少し難解。しかしゲバラの思想を探るに本書は欠かせないものである。

     医者であり、革命の指導者としての役割を担ったという印象が強いゲバラであるが、彼の発言で重要なものはむしろ革命後の外交や経済に関するものであるように思う。政治に関心がないという場合でも、外交は人間関係、経済は生き方との繋がりがあるため、ゲバラの考え方はすべての人間に参考になるのではないか。逆に言えば、それはすべての人にとって政治は必要不可欠のものであるということでもある。ゲバラは革命を達成したヒーロー、というイメージでは終わらせたくはない。本書の内容を読むとそう感じる。

     当時におけるキューバのポジションということもあるだろうが、日本とアメリカとの関係についての発言は、現状の日米関係を考える場合に非常に参考になる。どうしてもアメリカの非難が前面に出てくるが、果たして日本にいる立場でそうした観方を否定することができるだろうか。

     社会主義、共産主義というだけで毛嫌いする人も多いが、現在の日本がそうした体制と無関係でいることを確信できる人はほとんどいないはずである。はっきり言えば、現状は不公平な社会主義体制。富んだところから回収して貧しいところに分配することはなく、すべての人から回収してすべての人に分配するのでもなく、貧しいところから回収して富んだところに分配する。そして「これからみなさんに配りますから待っててくださいね」と先延ばししていくうちにバブルがはじける。その埋め合わせのために…(以下略) 。

     他人の意見を聞くことによって学ぶべきことは数多い。しかし、ある範疇の方々は自分の考えとは異なる思想からは学びもしないし、耳を傾けることもしない。反対に自分に賛同する思想には「そうだろう、そうだろう」とニコニコしながらご褒美を授ける。こんなヒト達に支配された人間は不幸の極みである。いずれ彼らにも制裁が下るだろう、と考えるのは認識不足というべきである。彼らは自分達には決して制裁が下らない仕組みを造っている。そんな不条理なシステムををどうするかは、関わりのある個々人がいかなる考え方をするかということと、いかなる行動をするかにかかっている。

  • [ 内容 ]
    ゲバラの演説・論文・インタビューから厳選した珠玉の名言集。
    時空を超えて、世界変革への熱い意思と革命的ヒューマニズム精神が伝わる。
    理想社会を説きつつ、経済、教育など社会的基盤の整備を重視する現実的な思想が窺える。
    『グローバル・ジャスティス』と『我らのアメリカ、彼らのアメリカ』の二作品を収録、訳し下ろし。

    [ 目次 ]
    グローバル・ジャスティス(チェ・ゲバラ研究センターについて;エルネスト・チェ・ゲバラ;前文;アルジェリアにおけるアジア・アフリカ人民連帯機構会議での演説;キューバにおける社会主義と人間;第二、第三のベトナムを)
    我らのアメリカ、彼らのアメリカ(序文;前文;経済と政治は一体である;発展への真の道;戦いの行方はまだわからない)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • グローバルジャスティス。愚直な漢の生きざまに触れる。

  • なんか見かけたので古本屋で買う

    wikipediaや映画、その他で調べた感じだと始めから共産主義ではなかったようなのだけれど、この本で語られていることは共産主義の色合いが濃いと思う
    ただ、共産党宣言の内容を鑑みると、純粋な共産主義とはまた違っていて、どちらかというと反アメリカ資本主義って感じ

    以下、本の中で取り上げられているゲバラの台詞や文章を自分なりにまとめた

     資本主義や市場それ自体を否定しているわけではなくて、アメリカによって搾取されることが許せない
     その状況を打開するためにキューバ革命を起こしたし、その革命は現在も続いている
     経済は革命(独立)にとって大変重要だしそのための手法としてまずは国家に全ての権力を手中にするべきであるが、手中にしたからにはそれを有効に使わなければならない
     具体的には、全国民に対して教育を無償で提供し、生産力を挙げるために技術教育も同時に無償で提供する
     そして、それらの教育で得た力(もちろんこの間も生産・売買は行う)で、生産力を増し完全に公平な市場で生産物を売買する
     問題は、この完全に公平な市場というやつで、アメリカやそれに追随する国家が提示する貿易市場は、キューバが未だアメリカによる侵略を断続的に受けており競争力がない状況であることを考慮しておらず、これは前提条件が間違った「公平」である
     だから、キューバは今のところ、主にソ連などの共産主義陣営と貿易を行っており、それはキューバにとって大きな助けとなっている
     キューバは世界のルールに喜んで従う準備はあるが、それは「搾取されなければ」という条件付きである

    こんな感じのことを言っていたと思う

    で、それを受けて
    解説でも述べられていたことだけれど、ゲバラの目指していた国家は、純粋な共産主義ではなくて、資本主義と共産主義を統合した、弁証法的に止揚した、そういう体制の国家だったのだ、と感じた

    最後に「ゲバラが目指していた国家が今の中国だったのかどうかは分からないが」という解説があった
    実際問題、それは違うと思うんだけどなあ
    大きな政府が近いのかなあ
    どうなんだろうか

    色々と考えさせられる本だった
    「ゲバラ?えっ、あの革命の人でしょ。やだ、こわーい」
    っていう人には是非読んでもらいたいってそういう人はそもそも読もうとも思わないか

  • 1960年代当時のラテン・アメリカの政治状況を何となく想像することはできるのだが、理解できない。

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