町工場巡礼の旅 (中公文庫 こ 49-1)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122051140

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  •  町工場の旋盤工と小説家(直木賞候補に挙がったこともあるらしい)の二足の草鞋を履いてきた著者が、「町工場」をキーにして叙述した連載エッセイの集積が本書である。
     著者が提示する、大手メーカーの商社的機能への疑問は納得だし、町工場のモノづくり現場の重要性と技能職の重要性が随所に語られる。また「技術者と技能者は車の両輪」「無個性なモノを作るためには、過程には個性が必要」等含蓄ある叙述も見受けられる。
     ただ、全体を見ると、各々の論考は短めで切り込みは甘く、内容の重複も多い。

     そもそも今、中小・零細製造工場における真に重要なテーマは、町工場のモノづくりの実情ではない、それは継承の具体的な方法如何である。
     すなわち、
    ① 技能の継承の方法をどう可視化し、チャレンジできる人材を増やすことができるか(継承の重要性は当然)。
    ② ①の前提として、中高生段階で習得すべき事項の明確化。
    ③ ①をどのように具体的な制度に落とし込むのが適切か。
    ④ これらを、各技能ごとに区分けし、より適切な習得方法の模索・試行錯誤ということになるのだろう
     しかし、本書ではあまり触れられていない。

     2009年(底本2002年だが、初出は92~02年という失われた十年期)刊行。

  • 日本の中小・零細の製造業の技術力の高さを改めて知った。

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著者プロフィール

1933年、東京生まれ。
都立大学附属工業高校卒業後、旋盤工として町工場に勤務する。
そのかたわら、執筆活動をつづけ、作品を発表する。
◎おもな著書
『大森界隈職人往来』(朝日新聞社、81年)--第8回日本ノンフィクション賞
『粋な旋盤工』(風媒社)、『春は鉄までが匂った』(晩聲社)、『羽田浦地図』(文芸春秋)ほか

「1985年 『鉄を削る 町工場の技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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