歴史入門 (中公文庫 フ 14-1)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122052314

感想・レビュー・書評

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  • フェルナン・ブローデルが書いた経済書の公演を書籍したもの。難解だ。資本主義と市場経済とは全く別物。資本主義はその構造の中に搾取が盛り込まれており、一部の少数の搾取する側と、多くの搾取される側にすみ分けられる構造だ。資本主義は、等価交換が実現されれば崩壊するシステムだから膨張し続けなければならない。ゆえに貧富の差は拡大し、持てる者の権力はさらに強くなる。
    と、こんな考え方なんだろうな。
    語らんとするところは大いに共感。ただ惜しむらくは、ではどうしたらいいのか、どのような経済構造が良いのか、sの結論になんら触れていないところ、ただ単に批判するだけなら誰でも出来るよ、、なんて偉そうなこと思うが、正直この本からはブローデルの真意はくみ取れない。かといって彼が記した何部にも及ぶ書物を読もうとは、さすがに思わない。資本主義はどこか間違ってる。それは言われなくとも万人が思い出しているところ。それに代わる新システムの発明こそが歴史の転換期になるのではないのだろうか

  • BF1a

  • ブローデルが自著『物質文明・経済・資本主義』のエッセンスをまとめたのが本書である。訳者は本書を最高の「ブローデル」入門と呼んでいる(邦題については出版社の意向とかで決まったものだろう)。ブローデルと言えば有名な「アナール派」の代表的人物の一人。僕はアナール派について概要ぐらいしか知らなかったもので、「とりあえず何か一冊」と思って本書を手に取った次第である。

    そんなわけだから、僕は『物質文明・経済・資本主義』も読んでいないのだけど、大著の内容をこれだけコンパクトに(文庫本150頁足らず)まとめるわけだから、統計的なデータ類は捨象されて出てこないし、様々なエピソードなども思い切り削ぎ落とされているはずである。だが、その結果なのかどうか、本書からは著者の歴史学者としてのパースペクティブをはっきりと読み取ることができる。歴史の基層には著者が物質生活と呼ぶ、人々の日常生活からなる層があり、その上に市場経済そして資本主義の各層が折り重なっていく。特に、市場経済と資本主義の区別などは、新鮮で面白いところである。

  • 新書文庫

  • アナール学派の泰斗、フェルナン・ブローデルの講演録。

    邦訳の本書は『歴史入門』というタイトルなのだけど、原題は『資本主義の活力』。講演の内容も「歴史学とは」云々でなく資本主義や資本主義の発展の定義付けというべきもの。邦題の付け方に疑問を感じざるを得ないけど、あえて寛大に解釈すれば「ブローデル歴史学の入門」といった意味だろうか。

    そういう意味で言えば、たしかに本書はブローデルの歴史観をざっくり理解するのに適しているのかもしれない。それは非常に大雑把に言えば商業と資本主義の歴史ということになるか。とはいえそういう全体理解は脇に置き、第三章に登場する「世界経済」(economie modiale)と「世界=経済」(economie-monde)の対比、というかその対比で示される後者の概念がおもしろい。

    「世界経済」は単に全世界的規模でみた経済状況のことを指している。一方「世界=経済」は、経済活動により組織され秩序付けられた、相対的に独立した地理的範囲であり、自律的な歴史を持ち、拡大と収縮、統合と分離、中心移動を繰り返す圏を指している。この範疇は万博の世紀において大英帝国のもと「世界経済」と領域的な一致を見る。

    本書の中でしばしば参照・対比されるE・ウォーラステインの世界システム論と似ていて、それは現実であると同時に分析のための概念的なツールの意味合いが強いように思える。近代以前の地球上に分布していたヨーロッパ以外を中心とする世界=経済への言及は東アジアの中華思想の世界の歴史学とも観点が相通じていて──どちらが学術的に先行しているのかは不明だけれど──、なるほど歴史の巨視的理解に有用に思えた。

    そういう点で収穫もあったが総じてブローデルがしゃべっていることの1割も理解できていない気がする。ともあれぺらっぺらの文庫本なのでとっつきやすさは抜群であった。。

  • 生の講義を聞いているようで、胸が熱くなった。「物質文明・経済・資本主義」を読み進めていきたい。

  • 2014.12.22 pm19:23 読了。タイトルに惹かれて手に取る。見た目は薄い本だが、内容は濃密。とりあえず通読したが、2割くらいしか理解できていない。経済学や史学に関する知識不足が原因と考えられる。歴史学に関する知識が皆無であっても、専門的な内容を簡潔に伝えようとする著者の姿勢は感じられた。そのため、難しい内容の割に読みやすくはなっている。中国で資本主義が中々発展しなかった背景や市に関する考察が興味深かった。もっと知識をつけてから、再読したい。

  • [ 内容 ]
    二十世紀を代表する歴史学の大家が、代表作『物質文明・経済・資本主義』における歴史観を簡潔・明瞭に語り、歴史としての資本主義を独創的に意味付ける、アナール派歴史学の比類なき入門書。
    時間軸を輪切りにし、人間の歩みを生き生きと描き出す、ブローデル歴史学の神髄。

    [ 目次 ]
    第1章 物質生活と経済生活の再考(歴史の深層;物質生活;経済生活―市と大市と取引所;市、大市、取引所の歴史―ヨーロッパ世界と非ヨーロッパ世界)
    第2章 市場経済と資本主義(市場経済;資本主義という用語;資本主義の発展;資本主義の発展の社会的条件―国家、宗教、階層)
    第3章 世界時間(世界=経済;世界=経済の歴史―都市国家;世界=経済の歴史―国民市場;産業革命)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 332

  • あっさりとした考察。

    【結論】
    資本主義は、国際的な資源と機会の搾取で成り立っていること。
    資本主義は、独占に依存していること。
    資本主義は、経済の全てをそのシステムの中に取り込んでしまうことは決してできないこと(経済には三領域がある。物質生活、市場経済、資本主義経済)。

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