廃帝綺譚 (中公文庫 う 26-4)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122053144

感想・レビュー・書評

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  • 借りて読んでたけど買ってよかった。

    それぞれの帝王たちに人間味というか悲しさというか、可愛げがあってやたら楽しい。し、そのぶん切なく、淋しくなる。見送ったような置いて行かれたような読後感。
    人間味の固まりみたいな後鳥羽院の「東海絶歌」が章題と相まって一番好きだ。

    「北帰」「南海」「落陽」「東海」で東西南北のタイトルがひとつひとつツボ。

  • 松阪BF

  • 歴史上の出来事に興味を抱くかどうかの境目は、そこに温もりを感じるか否かだと思っている。
    そういう意味で、宇月原先生の作品は、ともすると温度をなくしがちな史実に血が通ったものだ。
    それは、一つ一つの出来事に、「人の心の動き」が織り交ぜてあるからなのだろう。
    この作品は言うなれば「安徳天皇漂流記」のスピンオフだ。
    というと元作品より劣っているような気もしてしまうのだけれど、そんなことはない。
    どちらか勝るとか劣るとか、そういう問題ではなく、私は、これと前作、二つで一つなのだと思う。
    ちょうど、真床追衾と淡島がそうであったように。
    できることなら多くの人に、後鳥羽院のように淡島のみを受け入れられるのではなく、真床追衾をも受け入れ、一読してほしい。

  • 『四人の帝の話』

    安徳天皇漂海記の外伝であり続編でもある短編集でした。

    物語の内容としては、終わりに突き進む帝とその周りの人間を描いた短編が一話ずつあり、併せて四編が納められています。

    前作と直接的に繋がっている話としては、大海絶歌のみですが、大海絶歌はそれまで物語で下ってきた時代を遡る話で前作を読んでいると、とても感慨深い話になっています。

    自分が特に面白いと感じたのは禁城洛陽です。
    ついに人を助けたけれど、最後は。という所に少しの皮肉と清々しさを感じました。
    禁城洛陽は続編であり完結編としても読める話ですし、前作を読んで楽しんだ人は今作をより楽しめると思います。

    物語内容以外の所での感想としては、語り口(文体)が個人的に今作は前作よりも読みやすく感じました。

    全体的な今作の感想としては個人的に今作も前作と同じくとても面白く読めました。
    面白さで言えば個人的には今作は前作以上の面白さを感じました。
    しかし、自分には今作の面白さは良くも悪くも前作の延長線上の面白さに感じられました。
    続編あるいは外伝としては正しいとも思いますし、続編としては十分期待に応えている作品だと思うのですが、自分としては総じて楽しみつつも、どこか物足りないと贅沢にも感じてしまった作品でもあります。

  • 『安徳天皇漂海記』の続編的な位置付け。

    前作で案徳天皇を護っていた真床追衾からマルコ・ポーロが掬い取った琥珀色の破片を巡る中華皇帝の三作と真床追衾の弟分のような淡島の小珠と後鳥羽院の物語。

    実朝の歌に対をなす歌を命を賭けて作ろうとした後鳥羽院が淡島の力に翻弄されながら俗世から洗われて行く姿が綺麗だった。

  • 四六判も所有。

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