菜種晴れ (中公文庫 や 49-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 278
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (537ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122054509

感想・レビュー・書評

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  • 深川の油問屋に養女としてやってきた、勝山の菜種農家の末娘・二三(ふみ)の波瀾万丈な人生を描いた物語。

    気性も素直で日頃の行いも良いのに、節目節目に苦難に見舞われてしまう二三。
    その苦難を乗り越えてポジティブに生きる姿に励まされます。
    ラストは一面の黄色が目にまぶしい、広大な菜の花畑が目に浮かぶようで、爽快な気持ちになりました。

  • 二三
    菜種

  • 江戸深川の油問屋の養女の二三(ふみ)を主人公とする時代小説。二三は天ぷら料理が得意である。グルメ小説的な描写もある。美味しい海老の天ぷらは尻尾も残さず食べてしまう(189頁)。この説明は理解できる。私もケンタッキー・フライド・チキンの骨付きチキンを骨も残さず食べてしまったことがある。
    物語は砂村から大島村にかけての菜種畑から始まる。後の江東区の砂町や大島である。他にも富岡八幡宮や黒船橋など東京都江東区の土地勘のある人には馴染みの場所が登場する。これは『あかね空』や『おたふく』など著者の他の時代小説とも共通する。

  • 天保三年(1831年)、房総は勝山の菜種農家に生まれた二三は、五歳で深川の老舗油問屋の勝山屋に養女に出され、十五歳の時に大火事で養父母を亡くし、二十五歳の時に大地震で実母と許嫁を失った。天変地異に見舞われながらも、下町で逞しく健気に生きた二三の半生を描いた人情ものの時代小説。

    基本、関係者がいい人ぱかりで腹黒い悪役は出てこないので、安心して読めた。天変地異で大切な者や財産を失っても、それを淡々と受け入れて強く生きていく二三の姿に清々しさを感じた。読みごたえのある作品だった。

    気になることと言えば、五歳の二三が、大人び過ぎていることと、十五歳の二三の、大店の責任者としての対応が立派すぎることかなぁ。

  • (古本を購入)
    読み始めた(1月21日)~読み終わった(2月3日)

    勝山屋にに養女となった二三の人生。
    深川の料亭江戸屋の秀弥の人生を記した『梅咲きぬ』に似て非なる作品。

  • 安房勝山の菜種農家の娘 二三を主人公に深川に幼くして養女してもらわれていく家族との別れや養女してもらわれた大店の油問屋で大事にされながらも力強く成長していく二三の姿であったり、成人へと成長した二三がさまざまな苦難にあいながらもたくましく気丈に生きていく姿が涙ぐましく、最後は爽快な終わり方で良かったです!
    さすがの山本一力の真骨頂的作品で最高でした!

  • 山本一力さんお得意の、次々やってくる苦境を乗り越えていく女性の半生物語。
    江戸時代、菜種油がどれぐらい貴重な物か。からりと揚がったてんぷらの美味しそうな雰囲気がとても、文面からだけでもよく伝わってくる。
    東大震災があったからより悲惨さが想像つく、江戸時代の大地震や火災の様子。絶望の中から強く生き抜く二三さんがとても魅力的。
    生きて行くうえで大切なことが色んな登場人物の言葉から教えられる。
    面白く読めたけれど、山本さんの作品特有の説明部分が多すぎるので☆一つ減点です。

  • さて、山本一力先生の作品は後を引きます
    そんで~続けざまに読んでます(笑)

    いつものお仕事シリーズのほかにあるのが、成長シリーズ
    4歳で貰われた少女の一生を、悲劇ありすぎですが描いています
    しかし良く描かれる秀弥といい、凛とした「様子がいい」女性の生き様を爽快に見られますのでお楽しみに♪

  • 前回読んだ山本作品とはうって変わって、ぐいぐい物語に引き込まれました。

    二三のまっすぐなこころ。
    秘められた才能。
    いろいろなことをスポンジのように吸収する心。
    人を思いやる気持ち。
    折れない心。
    しなやかな順応性。
    褒められて素直に喜ぶかわいらしさ。
    大人としての強さ。
    頼る事ができる心。
    立ち止まり、振り返り、道を選択する力。


    とてもしなやかで強く、美しい女性でした。
    読んで良かった本でした。

  • 非常にしっかりとした二三ちゃんの一代記。
    二三ちゃんがとても頑張っているのでつい応援したくなります。文章が読みやすいのも魅力。嫌な人というのがまったく出てこないので、気分よく読み終えられますが、逆に現実離れしていて少し引っかかるかな。

著者プロフィール

1948年高知市生まれ。都立世田谷工業高校卒。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空関連の商社勤務等を経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。江戸の下町人情を得意とし、時代小説界を牽引する人気作家の一人。著書多数。

「2023年 『草笛の音次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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