若い読者のための世界史(下) - 原始から現代まで (中公文庫 コ 7-2)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122056367

作品紹介・あらすじ

歴史の川というものを想像してみよう。わたしたちが知るのはただ、流れが限りのない先へ、未知の海へ向かって流れていることである-。二五歳のときに語りはじめた歴史の物語はいったん幕を下ろし、五〇年後のあとがきであらためて振り返る。下巻・ルネサンスから二〇世紀まで。

感想・レビュー・書評

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  • 堅苦しい世界史ではなく、まるで小説を読んでいるかのようだ。ヨーロッパ中心の内容に偏ってはいるものの、十分に楽しめて勉強になる。長年疑問だったイエズス会やプロテスタント誕生の経緯、ナチスのユダヤ人迫害の理由等を知ることが出来た。著者のこの言葉が、本書のすべてを表している。「読者には、メモをとることもなく、固有名詞にも年代にもとらわれることなく、ただくつろいで、楽しく、歴史を追いかけていただきたいのです。試験などけっしてないと、約束します。」

  • 下巻の方が一気に読めました。本編では11世紀辺りから始まり、産業革命、第一次世界大戦までです。以降は「50年後のあとがき」で少し触れています。
    下巻は、ヨーロッパの各国の国家(統治者、民族、宗教、国境や王政等)が定まってきて現代社会の国名で物語りが進むため上巻より読み易かったです。上巻は民族と宗教が複雑かつ混沌としていたので何を軸に理解すればよいか整理がつきませんでしたが、一方でイギリス、ヨーロッパ、中東、北アフリカはこうした歴史の上に成り立っているのだと思いました。
    遥昔の学生時代に暗記した十字軍遠征、フランス革命、宗教革命、植民地政策や産業革命などなど、こうした背景があり繋がっていくのかということと、各国の関係や違いが少しながら理解ができ、とても興味深く読むことが出来ました。
    世界史は書き手や立場により同じ事象でも見解が異なると思いますが、ヨーロッパの歴史はやはりヨーロッパ人が書いた歴史書を比較読書するのがよい(可能なら原書で)と思いました。
    なお、本書ではアジア(中央、東南、中国)、オセアニア、北米や南米、アフリカサハラ以南は余り登場しません。
    改めて世界史は本当に幅広い分野で一生かけても読みきれないと思いました。

  • 面白かった。歴史の主流を大まかに把握するのに最適。
    下巻で特に印象に残っているのは宗教改革のことかな。日本史にも馴染み深いイエズス会が、宗教改革を受けたカトリック側の自己改革組織だとは知らなかったし、それが結実して反宗教改革が成立したというのも知らなかった。二つの対抗勢力のぶつかり合いによる歴史のダイナミクスを感じた。もう一つ強く印象に残っているのは、産業革命と各国での市民革命の勃発のところ。社会主義の起こりが意外と早くて驚いたが(知ってしまえば必然のタイミングなのだけど)、先に革命に結びついたのはブルジョワ市民による自由主義革命の方で、だから自由主義側が保守派になるのだなと。しかし世界史を通して見ると大衆や市民はたびたび反旗を翻しているが、それは常に生活のためであって、思想や主義主張は二の次であることがわかる。理屈づけの根拠は宗教から思想に変わり、思想は変遷を遂げているが、もっとも大事なのは生活であるということを忘れないようにしたいと思った。

  • 50年後のあとがきは必読。

  • 物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。
    東大OPACには登録されていません。

    貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください
    返却:物性研図書室へ返却してください

  • 二つの鏡の前に身を置くと、鏡に写るきみの姿はどこまでも続く。「昔、むかし」はこれと同じ。「いつ」、「どうして」を問うことから歴史が始まる。なんと魅力的な書き出しであることか。世界史の主要な流れを静かな語り口で語ってくれる。青少年に勧めたい一書。

  • 中世から現代までを解説。

    人類が複雑な社会を形成する過程で政治、経済、宗教の発生は避けられない。

  • 上巻とほぼ一緒である。

    加えて言うなら、この本は第二次世界大戦の前に書かれていた。そしてあとがきに第二次世界大戦について語っている。

    作者は第一次世界大戦が終わった後、もう人類はあんな愚かなことは繰り返さないだろう。という旨の記述があった(はず)

    自分は、歴史の授業や、ゲームで、記号的に世界大戦は1と2。とおぼえていた。だが、ちゃんとその当時の人達は存在していた。悲しさを感じていた。

    この本を通して、文字の先にある、人間の気持ちの存在に気付かされた気がする。

  • 歴史は時代が変わると見方も変わりますが、この本のように50年後の後書き、まであると考えの移り変わりも含めてよく分かりますね。日本語で読む、日本人の描く世界史と、ヨーロッパの世界史とでは異なることがよくわかります。

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著者プロフィール

エルンスト・H・ゴンブリッチ二〇世紀を代表する美術史家。一九〇九年ウィーンに生まれる。ウィーン大学で学んだのち、ナチス時代にイギリスに渡り、のちロンドン大学教授、ヴァルブルク研究所所長などを務める。主著に『美術の物語』、『芸術と幻影』、『棒馬考』など。二〇〇一年没。

「2022年 『若い読者のための世界史 改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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