- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122056886
作品紹介・あらすじ
あどけない美少年フォンチートに翻弄される継母ルクレシア、妻を女神のように崇拝する夫のリゴベルト。密やかに、優雅に進行する危険な三人の関係と、神話や絵画から紡がれる幻想が重なり合い、思いもよらぬ結末へと導かれていく。ノーベル賞作家が描く、香りと色彩に充ちた華麗なエロス的世界。
感想・レビュー・書評
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こういう話だったのか。予備知識なしにリョサのイメージだけの先入観で読んだものだからびっくり。最初は戸惑いながらもいつの間にか引き込まれどっぷり堪能。神話とエロスの美醜に悪酔い、禁断の書物を読んだ気分。しかし美形のアンファンテリブルは定型だな。だんだんと美しく可憐なキューピットがよりおぞましく、むしろフランシス・ベーコンの醜悪な様相に無垢な魂を見出してしまうのはきっと作者の巧妙な罠のせい。リョサなのにすらすら読める。リョサを読んだ感を満喫するには物足りないけど十分に面白かった。
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あらすじは割と単純というか、途中で予測がつくものだけど、間にいくつかの絵について、本編の内容を暗示させるような、絵の内部から語りかけてくるようなエピソードが絡めてあるのは面白かった。ただ、せっかくの構成や仕掛けに比して、あっさり終わってしまったかな。
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Mario Vargas Llosa, he was awarded the novel award, had fetishism ('_'?) first, i thought, it was a fantasy drama of the eroticism. but, it was the boy's project.
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ノーベル賞受賞した作家の作品を読んでみようと
読みやすい厚さの作品を選んで買ってみたら
おもいっきし官能小説だった。
背徳的で淫靡な物語でありながらも
フラ・アンジェリコの「受胎告知」や
フランシス・ベーコンの「頭部Ⅰ」などの
有名絵画と古代ギリシアの神話、伝承を取り混ぜて
幻想的な世界を作り上げている。
ともあれ
おっさんの鼻毛切るくだりで10Pも書いちゃうんだから
ノーベル賞作家っていうのはやっぱり凄いと思う。 -
バルガス=リョサは、私にとっては『緑の家』に続いて2作目だが、随分と作風が違うようだ。ただ、ここでも小説の構成には独特の創意が凝らされていて、ストレートな「読み」では全体像を把握し損なうかも知れない。しかも、本編には数点の絵画も添えられている。表紙にも採用されているブロンツィーノの「愛の寓意」は、まさしく小説のタイトルそのものだが、フラ=アンジェリコの「受胎告知」などは、小説の構成そのものとともに、解釈に戸惑いもする。妖艶でコケットリーなエロティシズムと、無垢だけが持ち得る明るい残酷さが共存する作品だ。
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変態礼讃! アンファンテリブルものだが、続編を先に読み結末を知っているだけに、ふたりの愛の純粋な歪みっぷりを大いに楽しめる。こういう愛情を分かてる人が理想だ☆ 偉大な恋愛物語だ。
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中公文庫からリョサの文庫が!『緑の家』や『密林の語り部』にはペルーという国の独自の土地文化的なことも含めて正直難解な部分もありましたが、これはある意味わかりやすい。どこの国のお話であるかということを、さほど気にせず読めてしまうので、気軽に手に取れるかも。ある意味リョサらしくない、官能小説?みたいな趣きもあるし。
タイトル通り、継母に恋した少年と父親と継母の三角関係(・・・って言っちゃうと安っぽいけど、基本設定はそんな感じ)がストーリーの軸になっていますが、各章の合間にリョサがお気に入りの絵をモチーフにしたと思われる本編とは無関係(だったり関係あったり)な幻想的で短いストーリーが盛り込まれていて、それが全体の雰囲気を独特の神話めいたものに昇華しています。この文庫には元ネタの絵がちゃんと口絵として収録されていてとても親切。オチは想定内のような思いがけないようなものでしたが、続編があるそうで、12月には出るみたいなので楽しみです。