- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122057975
感想・レビュー・書評
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中世の物語文学を、源氏物語との比較や影響関係をもとに説明されておりわかりやすい。あとは源氏物語が王朝文学のなかで最高峰であることの理由説明がもう少し詳しく欲しかった。
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ちびちびと古代・中世編を読み進めています。
この巻では、枕草子、源氏物語他、物語文学から説話集まで豪華な内容となっております。
「光源氏は恋愛の天才であり、どの女性にも完璧な対応をしている。もし一夫一妻制が厳格に守られている社会に住んでいたらーーあるいは、紫上を理想的な妻と思い定め、他の女性に見向きもしなかったらーー世界はそれだけ貧しくなっていたはずである」
なんかね、この言い回し。批判を浴びるかもしれませんが、好きです。
「『宇津保物語』で語られる宮廷生活の様子は、ある意味で『源氏物語』よりリアルである。宴席では、貴族たちが酔って騒ぐし、名前を聞くだけで食欲を無くしそうな料理を食べる(『源氏物語』では、誰も食べるというような下品なことをしない)」
なるほど。飯テロ小説もびっくり。
ご飯を食べる所を見られるのが苦手な私は、平安貴族だったのかもしれない。冗談です。
血生臭い争いが描かれることはなく、とにかく見目の麗しさと芸術的センスが備わっていることが、ある種の主人公像でありながら。
けれども、心は満たされず、いつも隣に儚さを潜ませている。
平安物語文学に見られる美しさとは何なのでしょうか……。 -
いよいよ古代・中世篇のクライマックスともいえる「枕草子」と「源氏物語」が登場です。それにしても、1000年前が女性の才能をこれほど花開かせる社会だった、というのは、日本は女系社会だった、という証左でしょうか。
おもしろかったのは、「説話文学」の章で述べられている日本的ヒーロー論。河合隼雄氏の浦島太郎論“このヒーローは英雄的な戦いで女性を獲得するのではなく、むしろ女性によって捕らえられる”を引用し、日本的ヒーローは受動的で、西洋人にとっては不完全と思われる、と述べています。これも、日本が女系社会だったということと関連していそう。
西洋の視点からみた日本文学史っていうのも、この本の面白さの一つです。