記者は何を見たのか - 3.11東日本大震災 (中公文庫 よ 45-3)

  • 中央公論新社
3.62
  • (3)
  • (4)
  • (4)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 89
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122059085

作品紹介・あらすじ

「多くの人にこの悲劇を知ってもらいたい」号泣した記者がいた。歯を食いしばってシャッターを切ったカメラマンがいた。-77人が極限の現場から伝える取材記録。彼らはその時、何を感じ何を考えたのか。震災から半年後に緊急出版して大反響を呼んだドキュメンタリーを文庫化。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 東日本大震災 被災者の様々な思いを記録した本。象徴的な表紙の写真は 子供の安否を心配する石巻の母。

    本が 伝えたかったのは 震災の事実だが「自然の残虐さ」「死を知ることは生きる力」「組織や科学技術は 大きくなると過信する」「人は忘れる生き物」を実感した

    3/9にも 三陸沖で 7.3の地震が起きていたのか

  • 東日本大震災での死者・行方不明者は18,517人(2014年3月
    10日時点)になる。数字として書いてしまうとただの人数に過ぎ
    ないが、18,517人それぞれにその人の人生があった。

    未曽有の大災害に襲われた被災地の人々とその土地の様子は、
    海千山千の新聞記者たちさえもたじろがせた。

    各メディアが大震災発生直後から多くの人員を被災地に派遣した。
    本書は被災地の総局や支局は勿論、東京本社はもとより日本各地
    の支社・支局から被災地に投入された読売新聞記者77人による
    取材手記である。

    「伝えなければならない」。読売新聞だけではなく、多くの記者が
    そんな思いで被災地を走り回り、何もかも失くして呆然とする
    被災者に話を聞いたのだろう。時には、一緒に涙を流しながら。

    新聞紙面には掲載されなかった話も多くあるだろう。そんな
    出来事をこういう形でまとめることもいいのかもしれない。

    だが、釈然としないものが残るのも確かだ。読売新聞は原発
    推進の提灯を持ったことに触れないのか?福島第一原発事故
    後に大手メディアが真っ先に福島から退避したことには口を
    噤むのか?

    地元紙である河北新報は、避難区域からの自社記者の退避
    を正直に綴っていたぞ。

    原発は安全です。原発は安心です。原発はクリーンです。原発
    は安価です。日本のエネルギー政策になくてはならないもの
    です。核の平和利用なのだから、日本に原発を作りましょう。

    そう言って来た自社の反省はなく、東電と政府だけを批判して
    いいのか。先の東京都知事選の際も、脱原発を掲げた元
    首相コンビを批判していたじゃないか。

    記者ひとりひとりは、真摯に被災者と向き合い、話を聞き、
    心を寄せたのだろうけどね。

    あ…それと新聞記者なら「阪神・淡路大震災」って書いて
    欲しかったなぁ。揃いも揃って「阪神大震災」って書いている
    のはいただけませんね。

  • 子どもが行方不明になった母親に向けて、文字を調べながら、まま、げんきですか・・と書いて、途中で寝てしまったのであろう写真は思い出すたび胸が締め付けられる

  • 南海トラフと首都直下で同じことが繰り返されませんように

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/757158

  • 東2法経図・6F開架:369.3A/Y81k//K

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/757158

  • 読んだら辛くなる。号泣してしまう。
    自分でも、どうしてこれを読むのかわからなかったが、図書館で見つけて、手に取らずにいられなかった。

    予想通り、何度となく辛くなり、何度も泣き、読み終わった後もなんとも言えない気持ちになっている。
    でも、読んだことは後悔はしない。
    知らなければならない現実に起こったことだから。

    あれから3年2ヶ月がたった。
    自身の周りは、震災のことが話題にのぼることもなくなり、風化をしているように感じる。
    でも、風化をさせてはいけないことだと思う。
    2度ほど赴いた被災地は、確かに復興の兆しは見えた。
    けれども、まだまだ時間がとまってしまっている場所が多いと感じる。
    そのギャップに、何度も言葉を失った。
    自分になにができるだろう?何をしたのだろう?
    何にもしていないと思った。

    この本は、どうやら文庫化されたらしい。
    (私が読んだのはハードカバーですが)
    文庫なら、読みやすいから、より多くの方が読んでくれたら良いなと、思った。

  • 本当にたくさんの記者さんがいろいろ悩み、葛藤しながら取材していたことを知る。何を、何のために伝えるのか。あの日から3年と少しが経ったけれど、私たちは今、どこにいるのだろう。被災した人たちと被災地から離れたところで生活している私。そして、いつの間にか元に戻り始めているエネルギー政策。今、考えること。とるべき行動。何かがあまりにもかけ離れすぎている気がして、ただただ立ち尽くしているのが現状か。

  • 東日本大震災から半年後に緊急出版された読売新聞社の記者たちによるドキュメンタリーの文庫版。

    震災直後の取材だけに当時の生々しい状況が伝わって来る。被災者をカメラの被写体にするとは何ぞやと最初は怒りを覚えたのだが、文章を読むと被災地の悲惨な状況を伝えようとする記者たちの真摯な気持ちが伺える。

    地震発生直後にワンセグで見た宮古港を襲う津波の映像、余震の中、深夜にラジオから聞こえて来た『陸前高田市は壊滅…』『仙台市若林区で二、三百体の死体が…』という耳を疑うようなニュース…そして、福島第一原発の爆発の映像…決して忘れる事の出来ない当時の状況を思い出した。

    記者たちの中にも被災者が居るなど、様々な状況下で被災地に向き合い、怒りや悲しみを感じながら、様々な考え、視点で記事を書いている点が興味深かった。

    自分自身も気仙沼市に暮らす両親の安否が分からず、巨大地震から一週間後にありったけの食糧や発電機を車に積み、気仙沼市へと向かった。道路に押し流された船、津波火災で焼失した街並み、散乱する瓦礫、ひっくり返った大量の自動車、建物の屋根に乗り上げた自動車、失われた家々…あまりの惨状に声が出なかった。

全11件中 1 - 10件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×