天盆 (中公文庫 お 91-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122064294

感想・レビュー・書評

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  • 913-O
    文庫

  • 好きだけど終わり方があっさりでもう少し盛り上がりがある方が好み。

  • つ、続きは…!?

  • この書の世界観が盤上の域を出ず狭くて閉塞感あり。息苦しい作品。

  • かつてどこかにあった国「蓋」。そこでは盤技「天盆」を制するものが国を動かす。天盆に魅入られた少年凡天が、歴史を変える天盆に挑む。

    天盆とは将棋に似た架空の遊戯。しかしその大会で勝ち進んだものは、政治の世界での立身出世が約束されているという。その設定からして面白いのです。天盆の細かいルールーは書かれていません。しかし駒が盤上を動き、相手を攻め牽制し駆け引きが行なわれ勝敗を決する、その様子が活き活きと描写され手に汗を握ります。
    これはもう表現力の勝利でしょう。具体的でない描写で、盛り上がりだけを見せる。しかしその反面、具体性だけでキャラクターを書き分けることもするのです。

    主人公凡天は13人きょうだいの末っ子。兄姉が12人もいる訳ですが、それらの人々は登場して一言二言話すだけでキャラクターが掴め、それぞれが活き活きと動き回るのです。
    そのため主人公なのにほとんど語らず心の内も明かさない凡天が浮き立つのです。取り憑かれたかのように、ただ天盆のみに興味を示す。天盆を打つこと以外は何もせず、何もできない。そんな一途さのみが凡天を表わすのです。

    天盆しかなかった少年が人々を動かし歴史を動かします。しかし凡天とそれを取り巻く人々の動きは、大きな歴史の濁流に飲み込まれていきます。そして迎える終焉。歴史の中で生きた人々の強い思いが光り輝き、記憶に留まるのでしょう。

  • 将棋のような盤戯、天盆。平民であれどこの盤戯ひとつで国を動かす地位につける可能性がある。
    頂点を目指す彼らは、ただの私欲のものもある。地位そのものが欲しいのではなく、地位に着くことで得られるこの腐敗した国を変える力が欲しいものもある。思惑はそれぞれ。

    凡天はただこの盤戯を楽しみ夢中になり追究するのだが、いつしか家族の希望となり平民たちの希望となってゆく。

    実際将棋で、終局が見えて尚くつがえせるものなのかはわからないけれど
    、諦めない気持ちの熱さを感じた。


    全員血の繋がりがない、それがなんだと母は言う。これを心底すごいと思った。

    このところ家族ってなにかね?と考えさせられる本によく出会う。
    「流浪の月」「52ヘルツのくじらたち」
    家族のかたちはそれぞれ、血縁に拘らず、モヤモヤせず家族だと言える繋がりが誰にもありますように。

  • 面白かったです。
    H×Hを彷彿とさせられました。
    なんとなく天地明察も。
    家族の絆の物語と天盆を究める物語。

  • 家族もの×盤上遊戯。初読でもごんごん泣いたけど、文庫版で久しぶりに読んでまた泣いた。

  • 万民が熱狂する伝統の盤戯「天盆」。家族の想いを背負い、歴史に挑む十歳の少年の神手が、国の運命を大きく変える。圧倒的疾走感で描く放熱ファンタジー!

  • 面白いしさくさく読める。温かくて優しい物語だけど、意外な驚きや胸に突き刺さるようなところは、、なかったかもしれない。

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著者プロフィール

一九七八年八月、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。二〇一四年、第十回C★NOVELS大賞特別賞を受賞した『天盆』(「天の眷族」を改題)で鮮烈なデビューを飾る。著書に、奇病に冒され、世界中を跳躍し続ける少女の青春を描いた『マレ・サカチのたったひとつの贈物』(中央公論新社)、本の雑誌社『おすすめ文庫王国2017』でオリジナル文庫大賞に輝いた『青の数学』(新潮文庫nex)がある。

「2018年 『マレ・サカチのたったひとつの贈物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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