銀色のマーメイド (中公文庫 ふ 48-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 988
感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122066403

感想・レビュー・書評

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  • 『銀色のマーメイド』古内一絵さん

    そう言う終わり方かーっ!!というラスト。
    優勝して欲しかった気もするけど、確かに現実はそういう自分ではどうしようもない、どうすることも出来ないことが起こるよなと思った。

    登場人物みんなそれぞれ気持ちや物事に折り合いをつけて、変化していく。

    GID(Gender Identity Disorder)の話で、心は男だけど、体は女。心は男だから、なんで女装して生きなきゃなれないのか、周りはなぜ女扱いしてくるのか、こんな気持ちなのかと思った。そしたら自然と自分の思う性で生きたいと思うな。
    誰も悪くないのに、生きづらいな。
    生きやすい世の中になるといいな。

    3年生組はこれから受験、頑張れ〜!
    襟香だけじゃなく、それぞれの今後も知りたいなと思った!

    襟香の出てくる「マカンマランのおしまい」を改めて読み直そうと思った。

    〈背表紙のあらすじ〉
    自分の泳ぎばかり考え、周囲に興味のなかった龍一。しかし主将で幼馴染みのタケルがいなくなったことで退部者が相次ぎ、水泳部は降格の危機を迎える。残ったのは「プール好き」のアニオタ&水中歩行員のみ。部の存続のため部員集めに奔走する龍一は、市民プールで水中を滑降するように泳ぐ"人魚"を見つけた。そらは同じクラスの謎めいた美少女・雪村襟香で?

    〈本文より〉
    ・空気読まない?上等じゃない。空気なんて読んでたら、ドラァグクイーンは務まらないのよ!
    ・水の中で重力から解放されると、体だけでなく、心も軽くなる。
    ・泳ぐという行為は、人間が体感できる中で、最も飛ぶ感覚に近いものを与えてくれるのかもしれない。
    ・しかし後にシャールに出会い、「本当の自分を取り戻したければ、体と精神を鍛えろ」と諭されたとき、襟香が選んだのはやっぱり水泳だった。
    ・よく聞きなさい。ここにいる子たちがあんたを男子選手として認めてくれるって言うなら、それがすべてなのよ。こんなことで挫けてたら、この先やっていけない。あんたが絶望するのは、まだ早すぎるわ
    ・柳田「じゃあ、俺は一体、なにをどうすればいいんだ」
    シャールさん「追い詰めないであげて。理解しなくてもいいから。」
    ・病気になって、生まれて初めて医師から余命宣告をされて、あたしも踏ん切りがついたって訳。ようやく本当の願いに素直になれた。あと何年って言われて御覧なさい。大抵のことは気にならなくもなるわ。
    ・でもね、二つの性を生きるあたしたちは強いの。決して諦めたりしないのよ。
    ・人間って、皆いじらしいものだと思うわ
    ・だって普通に見たら、あたしだって"化け物"でしょう?でもね、あたしは思い知ってしまったの。人生は一度きりだって
    ・確かにあの子たちはまだ十五歳だけど、十五歳だって一度きりしかないじゃない。皆必死よ。私も必死、あなたも必死、オバちゃんも必死。でも、あの子たちだって同じように必死なのよ。
    ・柳田「でも、俺にはやはり、よく分からない」
    シャールさん「そりゃそうだわよ。なにが正解だなんて、あたしにも分からない。でもしょうがないわよ。教師もオカマも神様じゃないんだから」
    ・敦子ちゃんが言うとおり、この世界はときどきどうしようもなく不公正なの。だから泣きたいときは思い切り泣いていいのよ。
    ・これから敦子ちゃんはたくさん恋をして、もしかしたら誰かと結婚して、子供だって産むかもしれないわ。でもそれは、その人だった人を忘れることとは違うのよ。世界は確かに不公平だけど、明けない夜はどこにもないの。だから変化を恐れては駄目よ
    ・自分は自分を殺せない。一人きりには戻れない。
    ・それによってお前が傷つくこともある。それでもいいと言うのなら、お父さんはお前を止めない
    ・聖(ひじり)「でも、でも、俺は人前で負けるのが嫌なんだ。それが最後のプライドなんだっ」
    有人(ありと)「ええ加減にしいや!」
    「ひじりはウザくて、へそ曲がりで、ええカッコしいで、そのくせ意気地なしの役立たずやけどな。この俺が見込んだ男なんやで!他人に何回負けたって構うことあらへん。けどお前、今のまんまじゃ自分に負けっぱなしやないかい!」
    「分かったんならさっさと行って、試合に負けて、自分に勝ってきいや!それが本当のプライドっちゅうもんや。ええか、よう覚えとけ。失敗は成功のパパやねん!」

  • 水泳部の話ってことで、始めは食指が動かず。
    が、シャールさんが出てるってわかって
    シャールさん会いたさに、読み始めた(笑)

    結果、シャールさん云々は置いといても、

    水泳部の皆んなが
    他校の生徒も含めて、良き❗️
    柳田先生がメッチャ男前で、良き❗️

    で、この話の本当の「終わり」は
    マカン・マランのあのシーンなんだね…

  • めちゃくちゃよかった…
    マカン・マランの前に読みたかったような、あれを読んでたからより楽しめたような……って思いながら読み終わって最後のページめくったら、『快晴フライング』の改題、加筆修正ってあって、まじ?!となった
    読んだことあるやん……
    全く覚えてなかったけど、たしかにこのオチ知ってた気がする…
    読んでる途中で思い出さなくてよかった…
    それに、6年前とは違う、今だからこそわかること、思うことがたくさんあるよね。
    それだけちゃんと大人になれてるってことかな。みてる世界は広がってるかな。

    ちょこっとしか出てこないけど睦子ママがいい。
    それに、やっぱり青春ものはいいね。たまらん。どうしたって集団で生活しなくてはならない学生時代だからこそ生きづらさはたくさんあるけど、だからこそ、リレーが、集団競技が、輝くんだよなぁ

    『自分で自分を否定して、一体なにが残るんだよ』
    古内一絵の物語にはどれも根本にこれが流れてる気がする。全面的同意だし自己肯定めちゃ高い方だと思うけど、でも『誰だってそうじゃねえの?』って言えてしまえる龍一が私も羨ましいよ。

  • マカン・マランシリーズを3冊目まで読んで、最後の一冊を読む前にこちらを読んだ方がいいという話を聞き、読みました。

    古内さんのデビュー作でもある『快晴フライング』を改題・加筆修正されたこちらの本は、中学校の水泳部を舞台にした青春スポーツものなんですが、マカン・マランシリーズの原点とも言える作品でした。シャールさんやジャダさんはもちろん柳田先生も登場し、ただの青春スポーツものではなくジェンダーの問題も盛り込まれています。

    柳田先生が顧問を務める水泳部は主将だったタケルが事故で亡くなり、退部者が相次ぎ降格の危機を迎えていた。部の存続のため部員集めに奔走する龍一はある日、市民プールで人魚のように水中を滑降する同じクラスの雪村襟香と会う…。残った個性あふれる部員たちと向き合うことで、最初は自分のことしか考えられなかった龍一が、水泳部主将として成長していきます。

    読み始めた最初の頃は、柳田先生も面倒ごとを嫌ういやな先生だし、龍一もあまりにも自分勝手でちょっとイライラしましたが、個性豊かな部員たちがおもしろく、さらに龍一の成長をじょじょに感じられ、柳田先生もちゃんと生徒思いのいい先生で、どんどん引き込まれていきました。デビュー作ということで、ちょっと粗削りな感じはしましたが、とても満足のいく読後感でした。もっと部員たち一人一人を掘り下げたお話も読んでみたいです。

    さあ、これでマカン・マランの最終巻が読める!めっちゃ楽しみです。

  • マカン・マランの最終巻に出てきた雪村襟香が登場するということで、気になってたのをやっと読みました。
    まだシャールさんがマカンマランを始める前のお話。ジャダも出てきます。やだぁジャダ久しぶりじゃないのぉ!!!と思わずマカンマランの住人みたいになってしまった。
    高校の弱小水泳クラブが一致団結して大会を目指すという、よくある青春スポーツものなんですが、なんだかんだでこういう話には胸が熱くなってしまう。自分のタイムのことしか眼中になかった主人公が、周りと協力することを覚え成長していく姿が清々しい。そして、周りのメンバーたちも個性豊かで楽しい。青春だなぁ。
    顧問の柳田が、マカンマランに出てきた柳田だと途中まで気づかなかった。根はいい先生なんだよな、柳田。
    マカンマランシリーズをまた読み返したくなりました。

  • 弱小水泳部が愛好会への降格を阻止すべく奮闘する物語。龍一の成長物語でもある。
    個人競技にしか興味のない龍一も嫌いではないが、主将には向かない。当初本人もそんな気はないのだが、状況が彼を変えてゆく。
    中学生の成長物語を読むことは、普段はあまりないが、マカン・マランシリーズの読者としては、やはりここは外せない。マカン・マランがまだなくて、柳田先生が分からず屋で、もちろんお店の常連になるのはその先の話。マカン・マランおしまいの前に読んでおきたかった。

  • マカンマランの始まりの物語って感じ
    先にこの本を読んでからあのシリーズを読んでたらまた違う印象になったかもしれないなと。
    古内先生は他者との関わり方の描き方が繊細で好きです

  • めちゃ好きな古内氏。せつない思いがよかった。

  • マカン・マランシリーズが好きで読みました。

    最初はちょっと学生独特のやり取りがしんどくて読み進めるのが大変でしたが、中盤から後半にかけて、襟香が水泳部の練習に参加し始めた辺りからはもう……怒涛のように読み進めてしまいました。
    水泳部の全員のキャラも立ちまくってて最高です。

    生きる道は険しくとも、襟香のこの先が幸せでありますように。

  • 久しぶりに泣けた。
    一気読み。
    ジャダさんがいい味出している。

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著者プロフィール

1966年、東京都生まれ。映画会社勤務を経て、中国語翻訳者に。『銀色のマーメイド』で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、2011年にデビュー。17年、『フラダン』が第63回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選出、第6回JBBY賞(文学作品部門)受賞。他の著書に「マカン・マラン」シリーズ、「キネマトグラフィカ」シリーズ、『風の向こうへ駆け抜けろ』『蒼のファンファーレ』『鐘を鳴らす子供たち』『お誕生会クロニクル』『最高のアフタヌーンティーの作り方』『星影さやかに』などがある。

「2021年 『山亭ミアキス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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