両刃の斧 (中公文庫 た 81-6)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 216
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122066977

作品紹介・あらすじ

迷宮入り事件の解決が、大切な人を傷つける。ベストセラー『雪冤』の著者が贈る慟哭のミステリー!十五年前に何者かに娘を殺された元刑事・柴崎。その事件の解決を目指す後輩刑事・川澄。ある日、自殺した警察官の遺書が見つかったことから事態は急変し、手がかりすらなかった犯人の身元が明らかになる。だが逮捕目前に迫った時、犯人と目される男が殺された――。元刑事の復讐殺人に世間は騒然。しかし、犯人は本当に柴崎なのか?事件の裏に隠された、あまりにも悲しい真実とは。文庫書き下ろし

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった
    被害者家族の哀しい物語

    ストーリとしては、
    捜査一課の刑事・柴崎の娘が刺殺体で発見されますが、懸命な捜査にも拘らず、事件は迷宮入りに。

    15年後、ある自殺した警察官の遺書から、当時の事件の背景が明らかになります。そこから、後輩の刑事の川澄は容疑者と思われる男の身元を特定しますが、逮捕直前で、その男が殺害されてしまいます。
    柴崎の復讐なのか?
    柴崎なら、なぜ、その容疑者を知ることが出来たのか?
    逮捕された柴崎を取り調べますが、完全黙秘

    といった展開です。
    これに、川澄の娘の婚約者、刑事の山田も絡んで真相に迫っていきます。

    柴崎が守りたかったもの
    そして、明らかになる真相、そこには哀しい真相が..
    しかし、この真相ってちょっと納得いかないけど....

    サイドストーリのように語られる川澄と娘の関係が良い味出しています。
    そして、ラストシーンで、娘が川澄にかけた言葉。
    ホロリときました。

    お勧め

  • 171頁までが最高潮で、以後、波が引くように...。伝えたいことは分かるもののミステリーとしては...。
    ただ、自分の娘が何者かに殺されたとしたら、と胸が締め付けられた事だけは確かだ。救いのあるラストで読後感は悪くない。

  • 大門剛明氏による慟哭の社会派ミステリー。
    捜査一課の刑事・柴崎の娘が刺殺体で発見される。
    懸命な捜査にも拘らず、事件は迷宮入りとなる。

    そして、15年後、後輩刑事の川澄は、容疑者と思われる男の身元を特定、いよいよ逮捕というタイミングで、その男が殺害された。

    いったい誰が殺したのか?
    警察を引退した柴崎による、憎しみの果ての仕業なのか?
    極秘中の極秘である男の身元について、なぜ、柴崎が知っているのか...

    二転三転するストーリーに、ハラハラドキドキします。
    やがて見えてきた驚きの真実とは?
    自分の命に替えても守りたかった真実とは?

    最後に、悲しい事実(偶然?)が明らかになります。
    お互いのためを思ってしたことが、実は...
    オー・ヘンリーの『賢者の贈り物』を思い出します。

    エピローグにて、結婚式を控えた娘・日葵と父・川澄が2人で観覧車に乗るところは、物語を締めくくる胸熱のシーンですね。

  • お勧め度:☆6個(満点10個)。これぞ、まさに警察ミステリーそのものと言う感じで面白かった。ただ、すごい人情物で、捜査というより、お涙頂戴というストーリーにも思える。内容は、娘を殺害され迷宮入りとなった事件が急展開、その元刑事の復讐殺人に世間は騒然とするが、本人は黙秘を続ける。何とか真相をつきとめようと、後輩の刑事が奮闘するのを描いている。最後の最後でようやく、真相にたどり着いた彼が選んだ結末とは・・・。ストーリーもいいけど、やはり最後は涙を誘う展開だった。純粋に刑事物として楽しむにはいい作品だと思う。

  • まもなく(2022年11月)からWOWOWで連ドラ化されると云うので読んでみた。重い話だが、うまく組み立てられていて面白かった。文章も読み易い。ドラマは井浦新さんと柴田恭兵さんだが、なかなかいいキャスティングだね。楽しみ。あと、この話に限ったことではないが、父親と年ごろの娘の関係がよくこんな描写されるが、実際にそんな父娘がいるのかなんか信じられない。私にも娘はいるが、こんな変な関係は全くなかったなあ・・・。作家さんって結構ステレオタイプ好きだよね

  • 刑事ものはやっぱり面白いね!
    内容としては悲しくて重いものだけれど、徐々に真実が解き明かされてくると先が気になりどんどん読み進めてしまいました。
    他の作品も読みます!

  • 疑わしき事実が、二転三転するため
    推理物としては、やられた感あるもののラストには
    全ての付箋が解かれて、納得できる辻褄だったので
    違和感はなく、面白かった。

  • 4

  • 4月-9。3.0点。
    長女を殺害された元刑事。次女は白血病で死亡。
    あるきっかけで長女を殺害した犯人がわかるが、殺害される。
    犯人を殺害したのは、被害者の父である元刑事なのか。

    二転三転。うーん、ちょっとひねりすぎたかな。
    300ページくらいで読みやすいけど、ここまでひねるなら500頁くらいあった方が。。。

  • 愛知県警本部捜査一課の刑事・柴崎の娘が何者かに殺された。必死の捜査もむなしく事件は宮入りした。15年後、継続捜査専従捜査班と共に捜査に当たっていた所轄の刑事・川澄は、犯人と目される男の身元を特定、逮捕の一歩手前まで追い詰めた矢先、男が殺害された。
    殺したのは柴崎なのか?逮捕された柴崎が完全黙秘する理由とは。事件の背後に浮かび上がる元警察高官の許されない行為、二転三転する事件の姿。
    最初から怪しい、こいつが犯人!と睨んでいた男が結局いいやつで、結末はな~んだっていう感じ。
    途中までの引っ張り感と、ワクワクが凄かっただけに、真相は地味でちょっと肩透かし感が否めないなぁ~。
    ただ、血液のDNA型鑑定がここでもキーポイントとなるあたり、時代はやっぱり科学捜査主導なのね。

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著者プロフィール

1974年三重県生まれ。龍谷大学文学部卒。『雪冤』で第29回横溝正史ミステリ大賞、及びテレビ東京賞をW受賞。ほかの著作に、『罪火』『確信犯』『共同正犯』『獄の棘』など。

「2023年 『正義の天秤 毒樹の果実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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