おばちゃんたちのいるところ-Where The Wild Ladies Are (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.59
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本棚登録 : 1208
感想 : 121
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122067691

感想・レビュー・書評

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  • 着想がよい。こんなおばちゃんたち来てほしい!

  • 本当は3.5としたいところですが。
    最後まで読んで、落語を元にしていたのか。
    周りで落語を聞く人が何人かいて、これが面白い、など聞くので少し興味を抱き始めているところ。

    短編なのだけれど、実はひっそりつながっていて、好きな形式です。

    母を亡くした茂が、『線は僕を描く』の主人公になんだか被ってしまいました。

    汀と書いて、テイさん。結局、彼は生きてるのか死んでいるのか、最後まで曖昧でした。
    登場人物がみんなそのような感じで、死んでいるのか、そもそも人間なのか何なのか。
    文も淡々としているようで、同じ文章を付け足しつけたし繰り返すことで圧迫感を感じました。

    死後の人生?がこんな楽しそうだったらいいなあ。

  • いまの、むかしの、なんとなく、モヤッとするようなことにさらっと切り込んでいるというか。
    浮き世離れしたお話の中に盛り込まれる社会のモヤッとしたいろいろ。
    内容自体はそんなに軽くはないと思うんやけども、元気になれるしたのしい。女の人の幽霊。この本のなかではみんなたのしそうなんよな。それがたのしい。
    すごく読みやすくてポップなんやけどもロックをかんじる。嫉妬や執着は才能。そんなん言ってくれる人、おらん。
    松田青子さんの本ははじめて読んだんやけども、他の本も読んでみたいなあ。なんとなくあたらしい小説やなあと感じました。解説もよい。

  • タイトルは「おばちゃんたちのいるところ Where The Wild Ladies Are」。おばちゃんたちを「The Wild Ladies」と表記している。Wildは野性的な、自然のままの、を意味する。いつの時代であっても社会からの制限、偏見のために自然のままに在ることが難しい女性をあらゆる形で救い出してくれるThe Wild Ladiesの存在が心強い。また、自然のままにいられないのは女性だけではなく、男性もそうであることにまで触れられているのも、心のもやもやを晴らしてくれる。具体的に何をどうして救ってくれなくても、「いる」ことだけで、「いて見てくれている」ことだけで心の持ちようは大きく変わる。



    みがきをかける
    牡丹柄の灯籠
    ひなちゃん
    悋気しい
    おばちゃんたちのいるところ
    愛してた
    クズハの一生  ★
    彼女ができること  ★
    燃えているのは心
    私のスーパーパワー
    最後のお迎え
    『チーム・更科』
    休戦日
    楽しそう
    エノキの一生
    菊枝の青春
    下りない

  • 凄く良い。時代にフィットと思ったら2016年に出てる。やっと追いついた。
    フェミニズム全開なのは好きじゃないけど、絶妙にフェミニスト臭が消臭されてる。主張はあるから、ユーモアで相殺されてると言った方が良いかもしれない。拒否感なく読める。
    特に「クズハの一生」は何度も読み返した。馬鹿な振りをした若かりし私を想うと切なくなる。可愛がられるために馬鹿な振りなんて、絶対にしてほしくない。

  • ウラスジを読んで購入。
    なんかコテコテの大阪おばちゃんが大活躍するイメージでいた。

    最初の「みがきをかける」までは、そんな感じだったけど、全然違ってた。

    おどろおどろしくない怪談集。

  • 主人公の元に親戚の元気なおばちゃんがやってくる。
    関西弁でまくしたて、1人ボケツッコミ。
    紫と金色のスパンコールで虎を形成している化繊丸出しのセーター…。
    主人公は何やら落ち込んでいる様子なのに、だ。
    そこで主人公はキレる。

    おばちゃん死んだやん!しかも自殺やん!

    おばちゃんは少し遠い目をした後、またガハハと笑って、去っていく。
    なんだったんだ。
    けれど、なんだか心にゆとりができた気がする。
    不思議なもんだ。

    本書は緩やかな連作になっていて、歌舞伎や落語が下敷きになった物語となっている。
    共通するのは、幽霊やらおばけやらが出てくるところ。
    現代に生きる人々の些細な、でも本人にとっては割と、結構、真剣に辛いことを彼女たちが受け止める。
    受け止めてくれるだけでも、救われるものだ。
    そうすることで、自分の中から解決策が出てくる。
    これが、癒しなのかな。

  • タイトルは下町の人情話っぽい。キャラクターも親しみやすい。でも彼らはあの世の人々。あの世でも仕事するんだね。この世と行き来できるんだね。才能があの世でも買われるだね。一体どうなっているんだ。生きるって、死ぬって何だ。
    気は楽になるね。

  • 死、幽霊ってブラックなイメージだけど
    そこが180度変えて明るいかんじが読みやすかった。
    おばちゃんが愛人の男に復讐する気でいたのに最終的には死後の世界をめちゃくちゃ楽しんでて、良かった。
    話が繋がっていくかなと思うように何話何話かは登場人物が繋がっていくが深く解いたりしなかった。
    でもそこも気になることはなかったなぁ。良かった!

  • とにかく、私、女でよかったーと思った。
    作者である松田青子さんの気持ちなのだろうか、男、世間への恨み憎しみの記述に心から共感できるのは、私が女だからだろう。

    生きている人と、死んでいる人が同数働く会社。
    死んでからも強い魂を持つ人たちが、そこで働いて人助けやら、なんやら色んなことをしている。
    ただ、私がこの会社を軸にした連作であると気づいたのは、本を半分くらい読み終わってからだった…苦笑。

    表紙〜裏表紙に描かれている人物は、各話に登場する人物たちで、私はこれに地味に感動した。
    数ページの短い話が多いのに、各話一人ずつ描かれているのって、実はすごい。

    各話、落語や歌舞伎をモチーフにしているらしいのだけど、私は超有名どころしか知らないので、こんな話があるのね〜と感心した。

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著者プロフィール

作家、翻訳家。著書に、小説『スタッキング可能』『英子の森』(河出書房新社)、『おばちゃんたちのいるところ』(中央公論新社)など。2019年、『ワイルドフラワーの見えない一年』(河出書房新社)収録の短篇「女が死ぬ」がシャーリィ・ジャクスン賞候補に。訳書に、カレン・ラッセル『狼少女たちの聖ルーシー寮』『レモン畑の吸血鬼』、アメリア・グレイ『AM/PM』(いずれも河出書房新社)など。

「2020年 『彼女の体とその他の断片』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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