冷たい檻 (中公文庫 い 133-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (595ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122068681

感想・レビュー・書評

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  • 伊岡瞬ってすごいな。
    いつの間にか心奪われた。この物語に。

    とある“施設”で人体実験のようなことが行われていたり、こうも次々に人が死んだり。
    冷静に考えればリアリティーはないかもしれないけど。
    面白かった。樋口も島崎ら登場人物も魅力的だったし。

    最後は半分予想通りだったけど、散りばめられた布石に気付いたときの気持ち良さと来たら。

  • 約600頁だから、薄い本なら3冊分。開く手も疲れるぐらいの分厚さです。

    若い刑事がめったに取れない休日に妻と幼い息子を連れて遊園地に行く。仕事の電話に応対したわずか数分の間に息子をさらわれ、家族は崩壊。そんな幕開け。十数年が経ち、失うものは何もなければやる気もゼロに見える彼。

    田舎の町で莫大なカネが動いている。いったい何が起きているのか。これでつまらないオチならば許さんという気持ちで読んでいました。痛ましく、やるせなく、ただただつらい気持ちが押し寄せるけれど、頁を繰る手を止められない。やる気なさそうなのに物凄く頭のキレる彼と、クソが付くほど真面目な警官のやりとりにクスッと笑ってしまったりも。

    最後は嗚咽しそうになりました。生きている意味は必ずある。

  • 樋口が本気を出すまでが長かった。レイイチの存在は必要だったのか?とも思ったけど、これで樋口が生き方を変えてくれるならいいかも。

  • 久々にザ・警察小説を読んだ。真実に着々と迫っていく構図の中でも、複数の謎に並行して迫っていること、また様々な人の目線から話が進められていることから、情報量が多め。しかも2日間のうちの話という。テンポ良く読めました。にしても「施設」の設定がやけにリアル。

  • 北陸地方の村の駐在所から失踪した警官を探すために派遣された調査官の樋口。彼は後任の中在家の警官の島崎と謎を追いかける。

    調査官の樋口の過去が物語が進むにつれて分かってきます。最初の飄々とした何を考えているのか分からない状況から彼の視点に立って見る時には、彼もひとりの人間なんだと思えるようになってきました。彼の所属する組織の全貌は分かりませんが。

    村の中で様々な権力と結び付き癒着する中国企業とそれの反対勢力。国と地方の政治家の癒着。それに振り回される老人施設や児童施設の問題などは地方の問題をそのまま本書で実現している気がします。このあたりは原子力施設の地方と国の話に似ているかもしれません。

    物語に登場する子供達が最初は怖く感じたけど、
    最後の巡りあいはホッとする瞬間。子供たちも幸せになれます様にと思いながら、本書を閉じたいと思います。

  • 始動
    第一日、 第二日で事件は一応は終わる
    そして少しの後日談。

    十七年前の事件。一月ほど前の何か。当日早朝の出来事
    名前が出てくるのは第一日から。名前が出るとボヤっとした印象が個人に集まってくる。誰かさんから樋口さんになるのが面白い。
    樋口さんはカッコ良くて腕も立ちそう。一つの弱点が何だか可愛い。
    これって警察小説なの?

    悪い奴はきっとどこにでもいる。基本は良い人よい組織、だけど目と耳はしっかり働かせて、自分に受け入れらるかどうか注目はしていたい。

    後日の 5 八日後 に 第一日と副題が付いていた。? と思いながら読み終わって納得。それは新たな関係の始まり

  • 約600ページという分厚い量でしたが、グイグイ世界観にハマり、いつの間にか、めくったページの量に驚きました。
    最初は、静かで穏やかな空気感を放っていて、今までとは違った雰囲気なのかなと思いきや、段々と変わり、結果としては骨太な作品になっていました。「悪寒」では最初の段階から冷気で不気味な空気が漂っていましたが、この作品では、徐々に時間をかけているので、より怖さが引き立っているのではないかと思いました。

    わずか2日間の出来事を時系列に色々な人の視点を変えながら、物語は進むのですが、最初は点と点で繋がりは見えません。それが段々と結ばれていく過程は、読んでいてちょっと爽快でした。静かな村に潜む謎は、不気味で現実感はありました。じわじわと冷たい空気が目前にまでくるようで、どっっぷりと世界観にハマってしまいました。
    ただ、ラストはもう少し華麗に解決してくれたらなと個人的には思いました。ある事で病院に運ばれるのですが、その間に・・・でしたので、じっくり味わいたかったです。
    一番最後は余韻のある良い終わり方で、それまで複雑で暗い気持ちだった分、良かったです。

    登場人物が多く、最初の段階では断片的なシーンばかりでしたが、段々と頭の中で繋がり、それぞれの心情が垣間見れ、平凡な日常から緊迫感あふれる雰囲気と変化する過程は、読んでいて面白かったです。

  • 登場人物多め。
    任務は2日間。すべて解決させること。
    最初は簡単だと思っていたが、次から次へと怪しい動き、不可解な事件、事故と思われたもの、何もないと思っていた田舎で繰り広げられる。
    子供たちの行動も、施設のことも何となく読み進めるとわかってくる。
    最後の方に実はこうだったとまとめられている。
    一日目、二日目、時間も書いているのに全部後日談。所々で答えがほしかった。
    前半、読み進めるのに苦労した。

  • 良かった。

  • みなさんのレビュー通り、後半一気だった

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』(『約束』を改題)で、第25回「横溝正史ミステリ大賞」と「テレビ東京賞」をW受賞し、作家デビュー。16年『代償』で「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、50万部超えのベストセラーとなった。19年『悪寒』で、またも「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、30万部超えのベストセラーとなる。その他著書に、『奔流の海』『仮面』『朽ちゆく庭』『白い闇の獣』『残像』等がある。

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