- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122072053
作品紹介・あらすじ
名家の生き残りエミリーの死後、邸宅に残されていたものとは――ミステリの古典にも数えられる表題作、「あの夕陽」「ウォッシュ」など架空の町ジェファースンを舞台にした〈ヨクナパトウファ・サーガ〉の短篇全七篇。巻末に中上健次の講演「フォークナー衝撃」他一篇を収録。 〈解説〉高橋正雄
感想・レビュー・書評
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久々のフォークナー。ヨクナパトーファ・サーガに連なる短編集なのだけど、ちょっともうキャラを忘れかけていたので、解説を参照しいしい思い出しながら読んだ。
「正義」の聞き手と、「あの夕陽」の語り手は、おなじみコンプソン家のクエンティン。弟妹たちもちらりと登場。「あの夕陽」のほうはナンシーとジーザスのエピソードで、『響きと怒り』のサブストーリーとして読める。
「エミリーに薔薇を」は、ちょっと癖強めの女性の話だけれどオチがサスペンス風で面白かった。「ウォッシュ」は『アブサロム、アブサロム!』のトマス・サトペンとウォッシュの物語。「過去」と「デルタの秋」はアイクおじさんことアイザック・マッキャスリンもの。「女王ありき」サートリス家は、『サートリス』を読めていないので…。
巻末付録として「中上健次、フォークナーを語る」も収録。とりあえず久々にアブサロム~を読み直したくなった。
※収録
赤い葉/正義/エミリーに薔薇を/あの夕陽/ウォッシュ/女王ありき/過去/デルタの秋詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
邦訳されているフォークナーの短編集は何冊か持っていて、一つの作品(「女王ありき」)以外はすでに既読であった。「土にまみれた旗」の続編、サートリス家のその後が読めて嬉しい。しかし、フォークナーなんて誰も読んでいなさそうなご時世にわざわざ新しく短編集を出してくれる中公文庫さん、ありがたい。
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ヨクナパトファ•サーガものばかりを集めた短編集。
超重量級の長編群の前日譚、間を埋めるもの、後日譚、て感じでどれも面白かった。短編だと軽く読めるし。
なかでも「ウォッシュ」が、南部の業が暴力的に吹き出してしまういかにもな迫力があって出色だとおもうのだけど、その南部の業が過剰なエネルギーとしてあふれたあげくに、枯れ果てた場所にいきつくような「デルタの秋」もすごくよかった
とはいえ枯れ果てたとて、場にまとわりついた業が深すぎて簡単に救いには至らない
『あんたはあんまり長生きしすぎて、すっかりもうろくしたもんで、昔愛について知っていたり、感じたり、聞いたりしたことを、すっかり忘れちゃったようですね?』 -
フォークナーはこれまで『八月の光』と短編数編しか読んだことがなかったので、今回手に取りやすい形で短編集が出たので、読んでみることにした。
標題にもなっている「エミリーに薔薇を」は、アンソロジーにも良く取り上げられている有名作で、今回が三読目。ストーリーは分かっているので初読時の衝撃こそないものの、その分エミリーという人物の造形をしっかり味わうことができた。エミリーの感情は直接的に描かれることはないが、毅然とした物言いや態度から、ラストで分かる彼女の一生がはっきりと浮かんでくる。 -
ミステリの古典にも数えられる表題作ほか「あの夕陽」「ウォッシュ」など代表的な短篇全八篇。巻末に中上健次の講演「フォークナー衝撃」他一篇を収録。
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トンプソン将軍とか、サートリス大佐とか、サトペンとか、あとはドスペイン少佐の名前が出てくるだけでワクワクするの、なんだろ。
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なんとなく、違う翻訳で読みたくて読んでみた!
村上春樹はやっぱり訳も村上春樹ぽくなってしまうから、意訳を好まない場合はこっちのがいいのかも