おかえり横道世之介 (中公文庫 よ 43-5)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 1079
感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122072138

作品紹介・あらすじ

人生のダメな時期、万歳。人生のスランプ、万々歳。

青春小説の金字塔、待望の続篇。


バブル最後の売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食いつなぐこの男。名を横道世之介という。いわゆる人生のダメな時期にあるのだが、なぜか彼の周りには笑顔が絶えない。鮨職人を目指す女友達、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子。そんな人々の思いが交錯する27年後。オリンピックに沸く東京で、小さな奇跡が生まれる。

感想・レビュー・書評

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  • おかえり~世之介~
    この前まで読んでいた「13階段」が重い読書だったので、とっても癒されて文字通り「おかえり横道世之介」でしたw
    大学1年生の1年間の前作も面白かったけど、私は今作の方がもっと好きだなー。
    今作は留年した末に卒業したものの就活がうまくいかず、バイトとパチンコで生活費を稼ぐ24歳から25歳の1年間の世之介。
    前作では色々うまくいかなかったとしても面白エピソードとなっていたのが、今作では学生ではないということで、「頼りない」「しっかりしろ」ということになってくる。
    世之介本人ももちろん自分の不甲斐なさに気付いていて、周りからどう思われているかも承知している。
    そんな空気がこの一冊の随所に漂っていて、前作よりもしょっぱくて、私は好きでした。
    だけど!そんな世之介がみんな大好きなんですよね。本当に不思議なヤツです。なぜだろう?なぜだろう?と思いながらページを捲ると、そうか!これか!というキーワードが。世之介は「善良」なヤツなんですね。
    思うんですけど、「善良」な人ってなかなかいないですよね。善良でいたい、と思う人はたくさんいると思うけど、根っから善良な人ってそうはいないです。
    そこが世之介が愛される所以なんだなぁ、と。
    前作を読んで、世之介のもっともっと先のことまで分かっている読者。面白くて、しょっぱくて、切ない、そんな読書時間でした。

    • こっとんさん
      くるたんさん、こんばんは♪
      同じ時に同じ本を読んでいたなんて!
      嬉しい偶然(*˘︶˘*).。.:*♡
      ホントにあの善良さには、いくらひねくれ...
      くるたんさん、こんばんは♪
      同じ時に同じ本を読んでいたなんて!
      嬉しい偶然(*˘︶˘*).。.:*♡
      ホントにあの善良さには、いくらひねくれた私といえども心を掴まれてしまいます。
      さらなる続編が楽しみですよね(˶ᐢᴗᐢ˶)
      2023/08/13
    • こっとんさん
      1Qさん、こんばんは♪
      「永遠と横道世之介」図書館から予約確保の連絡きました~(≧∀≦)
      でも、待ちに待った「赤い月の香り」も手元にあるので...
      1Qさん、こんばんは♪
      「永遠と横道世之介」図書館から予約確保の連絡きました~(≧∀≦)
      でも、待ちに待った「赤い月の香り」も手元にあるのです。まずそれを読まなければ‎!
      あ〜忙しい忙しい(о´∀`о)
      2023/08/13
    • 1Q84O1さん
      こっとんさん
      「赤い月の香り」も手元に♪
      それは忙しいですね~
      けど、楽しい読書が続きそうですね(>ω<)
      こっとんさん
      「赤い月の香り」も手元に♪
      それは忙しいですね~
      けど、楽しい読書が続きそうですね(>ω<)
      2023/08/14
  • 読者には世之介は死ぬことが既に分かっているから生きていることが愛おしい。
    何気ない普通の生活がとても幸せだということを心底実感できる本です。
    ヤンママの桜子とその息子の亮太との生活に本当に幸せを感じている世之介。
    初詣で亮太や家族の幸せだけを願っていて、自分のお願いを忘れてしまう様な、何の打算もなく他人の幸せを願う善良さ。本当に幸せだったんだろうな。
    別に聖人君主でも全くない、普通のちょっと怠惰な若者なんだけど憎めない。
    桜子のお兄さんである隼人が手紙の中に書いていた「ただ善良であることの奇跡」。これがとてもしっくりきます。

  • 続編を読むために再読


    前作に引き続き
    どっぷり世之介の世界観に浸ってます


    すっかり脳内は
    世之介ナレーションで
    日々を生活しております


    まだ続きがあるって
    幸せだ…(^^)


    さて、記憶力のない私なので
    こちらもすっかり初見な感じで
    読ませてもらいました


    前読んだ時は
    1作目より大人になって
    ダメダメになった世之介を受け入れるのに
    ちょっと時間がかかったようですが
    (前のレビューによると)

    今回はすんなり受け入れていました


    とにかく空気感が心地よくて
    コモロンとの空気感、
    桜子の家族との空気感、

    特に亮太と隼人との空気感が
    めちゃめちゃ好きです


    世之介が感じた幸せを
    読みながら自分も感じていました



    でもこれ、
    世之介の人生の底辺の話だったんですね笑
    こんな風にいろんな人と知り合って
    まだ日も浅いのに
    ずっと一緒にいるような関係になれるのが
    とても羨ましいです
    全然底辺じゃないと思う


    さてこの先どうなるのか
    楽しみだ!!

    • ちゃたさん
      永遠と横道世之介読んでしまいました。もう感動でした。まだ続きが読めるのですね。羨ましいです!
      永遠と横道世之介読んでしまいました。もう感動でした。まだ続きが読めるのですね。羨ましいです!
      2023/06/23
    • どんぐりさん
      ちゃたさん

      コメントありがとうございます(^^)

      今手元にあって、
      読み始めて数ページのところです!

      これから楽しみです(^^)
      ちゃたさん

      コメントありがとうございます(^^)

      今手元にあって、
      読み始めて数ページのところです!

      これから楽しみです(^^)
      2023/06/23
  • 大学を卒業したものの、就職に乗り遅れ、現在バイトとパチンコでどうにか食いつないでいる24歳の横道世之介。
    大学時代からの親友コモロン(小諸)、パチンコ店で知り合った寿司職人を目指す女友達浜本(浜ちゃん)、元ヤンキーシングルマザーの桜子と、その一人息子亮太、自動車整備工場を営む桜子の父親と、桜子の兄隼人。

    この物語は、1993年4月から翌年の3月までの1年間のことが書かれている。
    思い起こせば、Jリーグが華々しく開幕して、小和田雅子さんが皇太子妃に内定したあの頃。

    世之介の存在自体がなぜか面白く、何かと人助けをしてしまう世之介は、いい人過ぎてどこか人を惹きつける魅力を持っている。
    世之介と関われた人は、幸せだと思う。
    前作を読んで結末を知っているせいか、特に泣かせるようなことは書かれていないのに、つい泣きそうになってしまう。
    この一年間に世之介が関わった人たちにも、それぞれの人生があって、そんな中でも世之介との思い出がいつまでも消えずに残っている。

    淡々としているけれど、中身の濃い物語だった。

    世之介って、ほんとにいい奴だよなぁ。

  • 「おかえり」となっていたので新作かなと思って期待したが、「続」の改題版だった。
    とはいえ結構前に読んだので初めて読む感覚で、ゆる〜い空気感が懐かしく結果的には読めて良かった。
    映画化されたみたいだけど、
    個人的には「渡辺 大知」が適役だと思う。
    最近は「仲野 太賀」も合うと思う。

    頼りにならないけど善良。友達としては最高。こういう奴いたよなー、だけど息子だったら心配。

  • この本読むと、私何で物悲しいんだろう....?
    話自体は面白いし、明るいし、なんてことない(?)世之介のゆるい日常を描いてるし...はて...?

    と思ってたら、この続編を読んでいて分かった!

    現在の登場人物の状況や、世之介のこの先の人生に起こることも前作で分かっていながら、時間を遡って過去の出来事を読む...。そう、これってアルバムを見て、色々な事を思う気持ちと似てるんだ!楽しい思い出の写真を見て、過去を懐かしむ気持ち、それと同時に起こる幸せを含んだ寂しい気持ち...。

    人の一生のアルバムを見ている感じかもしれませんね。次シリーズ、どうなるんだろう。気になる〜。

  • というわけで読み直し(詳しくは永遠と横道世之介上巻の感想)。

    そうそう、就活に失敗してパチンコ通いだったよね。浜ちゃん、コモロン、小岩の桜子さん一家…懐かしい面々を思い出しつつ読み進む。
    まだあの頃はデジタル化もまだまたで、時間の流れが緩やかだったよなぁ…。

    ん?ニチカいないぞʕʘ‿ʘʔ
    出てこないじゃーん ´Д`
    これはやっぱり下巻で種明かしだったのか…もう少し自分の記憶力を信じても良さそうだ。
    無駄足だった気もするけど、やっぱり世之介を読むと心がほどける。

    というわけでいざ下巻へ。
    2024.3.23

  • パッとしない生活を送っている横道世之介 
    浜ちゃんや桜子 亮太や隼人 友人のコロモン出てくる人達も面白い。色んな人達と関わって行くうちにダメダメ世之介が生き生きしていく。読みながら私の気持ちも生き生きしていく^ ^。
    ドライブのシーン 桜子のファミリー達とのご対面 世之介らしさがでてて面白い。亮太への声かけも素敵です。隼人と光司くんの友情。アパートの隣人。ニューヨークでの世之介ならではのアンビリバボーな経験。大人になった亮太。
    終盤涙が潤むシーンもあり。善良世之介の人生その後がとても気になります。

  • まさにおかえり横道世之介ともいえる続編。
    大学は卒業したものの、就活に失敗したが、世之介は相変わらず天真爛漫で浮世離れしており、少しも焦ることがない。
    ふとしたきっかけで、シングルマザーと知り合い、彼女の実家でアルバイト生活を送る1年が描かれている。
    友だちのコモロンが語る「ふと世之介のことを思い出すと、なんかほっとするんだよ。無理しなくてもいいよなって、世之介みたいな奴でもちゃんと生きてけるんだもんなあって。強くなった気になれんの」が、読者の思いでもある。
    すでに前作で世之介の最期が明らかになっており、今作での彼の生き様に切なさを覚えながら、読み進めることになる。今作でも幕間的に綴られる数年後の話が、小説に膨らみを持たせている。
    完結編や少年編の構想もあるらしく、楽しみに待つとしよう。

  • 横道世之介続編。
    世之介がどういう結末を迎えるか、今回は最初から知った上で物語を辿っていくことになる。この経験が世之介を形作ってラストに繋がるのかな、とか考えながらの読書で、世之介のささやかな成長を素直に喜べなかったり‥。

    社会人編?ということでエピソードは素朴さを残しつつ、考えさせられる要素が増えた気がします。

    次が完結編かな?世之介の軌跡をキチンと見届けたいと思います。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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