世界カフェ紀行-5分で巡る50の想い出 (中公文庫 ち 8-14)

制作 : 中央公論新社 
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122073241

作品紹介・あらすじ

珈琲、紅茶、ほかほかココアにご褒美ビール。世界中どこでも、カフェは誰かの特別な想い出であふれている――。自宅で、電車で、仕事場で、読めばほっこりリラックス。Bunkamuraのフリーペーパー『ドゥ マゴ通信』から生まれた珠玉のカフェ・エッセイ全50篇。〈まえがき〉中条省平

◆著者一覧◆
・中条省平
・河村錠一郎
・富士川義之
・野田秀樹
・鈴木清順
・鶴岡真弓
・三木宮彦
・辻 邦生
・鈴木布美子
・岸田 秀
・佐藤亜紀
・久世光彦
・池内 紀
・蓮實重彦
・中村真一郎
・養老孟司
・秋山祐徳太子
・川成 洋
・須賀敦子
・出口裕弘
・亀山郁夫
・島田雅彦
・護 雅夫
・山内昌之
・中沢新一
・堀内 勝
・澤田 直
・蜷川幸雄
・南 伸坊
・西江雅之
・巖谷國士
・松浦美奈
・森本哲郎
・吉本隆明
・赤瀬川源平
・鷲田清一
・横尾忠則
・松山 巖
・吉田加南子
・城山三郎
・柴田元幸
・上野昴志
・中田耕治
・樺山紘一
・いとうせいこう
・関川夏央
・杉山 晃
・今福龍太
・末延芳晴
・安西水丸
(順不同)

感想・レビュー・書評

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  • いろいろな国の、いろんなカフェの思い出

    他国のカフェの話が多くて、体験したことのない世界を感じられて楽しく読みました

    今年、夏のとんでもなく暑い日に家族旅行中に行ったカフェ。
    レモネードやチョコアイスで体力だけじゃなく、心も回復できて、カフェってセーブポイントだったんだと思いました

    フランスのカフェに憧れます!

  • どこで読めば良い本なのか。

    『想い出のカフェ』(井上俊子編 1994年)の収録作品から採録・新たにまえがきを加えた本書。各界の著名人が、それぞれの思い出のカフェ(主に海外)についてエッセイにまとめている。

    テーマに沿ってカフェでお茶(或いはコーヒー)を片手に読むのが妥当なのだろう。しかし自分の場合、各地のカフェに目移りしちゃって自分がいるカフェを飛び出しそうになるのが目に見えている。
    旅のお供に携えた日にゃ、目的地にあるものより魅力的なカフェを知ることになるかもしれない…

    それほど各人、後々思い出深くなるような体験をなさっている。
    副題が「5分で巡る」なだけに各話3−4ページのショートカットなのだが、思わず付箋しておきたくなる話が結構あった。


    海外のカフェといえば、いの一番にパリを思い浮かべる。
    パリのカフェは本書でも触れられており、特に作家 辻邦生氏による理論は納得と憧れを増幅させた。
    「坐ってぼんやり時を過ごすだけで、たまらない幸福感が身を浸す。それはパリには強烈な自由があるからだ」
    幸福感の他にも自己肯定感が全身にみなぎってくるという。休憩所だけで終わらない機能、そしてその効能に自分もあやかりたいものだ。

    ウィーンは、何だかため息が出た。
    ドイツ文学者 池内紀(おさむ)氏の書いたタイトルは「孤独家にぴったりのウィーンのカフェ」。もっと詳しくお言葉を借りると、「孤独でいるために。まわりに人を必要とする、そんなタイプの心やさしい孤独家にぴったり」。街の特性も手伝って、何だかロマンチックに響いてくる。
    音楽はかかっておらず、物思いに浸ったりちょっとした作業をするのにもってこいなんだとか。そんなに静かなら、ため息をつくのも惜しまれるな…。

    文化人類学者 中沢新一氏の”ラッシー紀行”はお勧めかも。
    ただでさえ珍道中になってしまうインドの旅に進んで飛び込んで行く彼は何者!?そして彼をラッシー屋に導いたガイドブック『シューストリング・ガイド』がめちゃくちゃ気になって今必死に調べているんですけど…!!
    カフェの定義や思い出も千差万別なんだなー笑

    千差万別といえば、いとうせいこう氏の「ネスカフェの薄い広がり」も独特だった。
    彼が訪れた国のカフェではネスカフェ、つまりインスタントコーヒーが平然と出される。
    しかしネスカフェが出されるのはたいてい貧しい地域の食堂か何かで、それはどの国においても共通している。彼自身も家族との思い出にネスカフェが色濃く残っているから、旅先のそれと自分を結びつけずにはいられない。
    そうして飲み交わす人々とのネットワークが少しずつ広がって行く…。ネスカフェの薄さも相まって、秀逸なタイトルだと気付かされた。


    カフェ云々よりも皆様語りが本当にお上手で、そっちに惹かれたかも!同一の体験は出来ずとも、自分もこんな感性でカフェを通した世界を覗いてみたい。
    そうやって夢中になるあまり、結局自宅で読み切ってしまった。

  • 世界カフェ紀行。
    みんなそれぞれに好みのカフェがある。
    好きな飲み物も珈琲も本格的なものからネスカフェ、珈琲は嫌いでお茶好きや甘いもの好きな人、ワインやビール、色々だし、うすくらい喫茶店好みの人もいれば、本当に色々。
    私も世界中のカフェの様子が少しわかったが、森本哲郎さんがアフリカで飲んだチャイの話しは、クスリと笑える、私は一番好き。
    本の一節に
    カフェは孤独にふけるのにうってつけだ。孤独でいるために周りに人を必要とする、そんな心優しきタイプの孤独家にカフェはぴったりとある。
    なんだか、わかる気がした。
    ゆっくり紅茶を飲みながら、時間を気にせず読書できる静かなカフェを求む今日この頃です。
    この本を日当たりのいいテラスのあるカフェで、ゆっくり読みたいと思った。

  • 作家、学者、評論家などの著名人によるカフェをテーマにしたエッセイ集。

    新しい本かと思いきや、30年くらい前に出版された本からの再編でした。(著者名一覧を見て気付くべきだったかな…)
    とはいえ、それぞれ文章がお上手で、色々な国のカフェや日本のレトロな喫茶店の光景が目に浮かんできました。

  • 北澤平祐(イラストレーター)オフィシャルサイト・Heisuke Kitazawa or PCP Illustrations » 世界カフェ紀行
    http://www.hypehopewonderland.com/?p=21221

    ドゥマゴパリ リテレール | Bunkamuraドゥマゴ文学賞 | Bunkamura
    https://www.bunkamura.co.jp/bungaku/litteraire/

    世界カフェ紀行 -中央公論新社 編|文庫|中央公論新社
    https://www.chuko.co.jp/bunko/2023/02/207324.html

  •  著名人の世界各地でのカフェ体験を集めた短いエッセイ集。渋谷のカフェ「Bunkamura ドゥ・マゴ・パリ」が発行しているフリーペーパーがもとになっているとか。
     日本のカフェの話もないわけではないが、それにしても"記憶に残るカフェ体験"が題材であるせいか、エッセイとしては「なんでもないことを面白く」というよりは、「それ自体特別な体験をそれ相応に魅力的に」書く、という印象が全体的には強かった。海外への憧れの気持ちがそう思わせるのかもしれない。
     読んでいると旅に出たくなる・・・かというとある程度はそうだが、ある程度以上ではない。単に私が出不精だからだと思う。それでも、数少ない旅行の思い出がよみがえって、ああ、あの時良かったな、と思えるのは幸せなことだ。その程度には私も旅をしておいて良かった。でも実を言うと、よみがえったのは自分の旅の思い出だけではなく、高峰秀子の『巴里ひとりある記』や、武田百合子の『犬が星見た―ロシア旅行』のような人様の旅行記のこともふわふわと思い出した。実現性の高さからいっても、旅に出たい欲よりはそういった旅モノ文学を読みたい欲のほうが刺激されたかもしれない。最近テレビで見た林芙美子のやつとか読んでみたい。
     カフェに行きたくなったかというと、それはなった。けれども、これもやはり出不精っぷりが年々増しているのか、若いころほどカフェ欲も高くなく、「美味しいものが出されて、静かすぎずうるさすぎず、あまり遠くなくて、気が引けるほど特別感もなくて、それなりに長時間本を読んでいても気兼ねしなくてよくて、」などと条件を色々考えていると、もう家でええやんという気持ちになってしまう。すてきなカフェシーンが印象的な映画とか小説とか、そういったものをおうちで摂取すればそれでいいじゃないか。
     ・・・と、少なくとも「今」の自分がいかに非活動的であるかがわかってしまった読書となった。またそのうち活動的な季節もやってくるだろう。

     以下は自分の備忘のため、心に残ったエッセイをメモ。

    <文章が好き>
    ・野田秀樹「想い出せないカフェ」 ロンドンの名誉とは。
    ・佐藤亜紀「客もまた怪しウィーンのカフェ」 犬の表情。
    ・川成洋「セビーリャのサングリアの味」 ボられた者同士の連帯感。
    ・須賀敦子「リペッタ通りの名もない牛乳屋(ラッテリア)」 イタリア庶民に染まった著者の感覚。
    ・亀山郁夫「マヤコフスキーの死に魅せられて」 ヨーロッパ風のカフェに対する何やら敵意のようなもの。
    ・南伸坊「カトゥマンドゥ・ハラッパ・カフェ」 黒く見えるが元は白い布であったであろう由緒あるゾウキン。

    <内容が興味深い>
    ・鶴岡真弓「『ビューリーズ』のオリエンタルな気分」 ケルト芸術文化研究家。ダブリン。
    ・護雅夫「男の社交場―トルコのカフェ」 コーヒー占い。
    ・中沢新一「ジョドプールのマカニア・ラッシー」 つい調べてしまった。
    ・吉田加南子「カフェテリアのざわめきのなかで」 フランス文学者。特別感のなさがすごく好きだった。
    ・いとうせいこう「ネスカフェの薄い広がり」 このエッセイ集に一石を投じるものがある。気がする。

  • 50のエッセイの中から、気に入ったエッセイを3つ。 「パリのカフェの魅惑」カフェと言えば、パリ なんですかね、やはり。憧れます。 「Kさんとクラッシック
    」音楽喫茶に行ってみたくなりました。今少ないのかな。 「孤独家にぴったりのウィーンのカフェ」自分の部屋のように居心地がいいカフェを見つけてみたい。 

  • カフェにまつわるエッセイ集。寄稿者が毎回変わる雑誌連載だったようで、どれも文学的で文章に品がある。世界各地のカフェの様子も垣間見えたり、ここ行ってみたいなぁとか、この街のカフェって確かにこんなだったなぁとか、短い一編一編をゆっくり味わえて良かった。

  • 題名をみて、世界中の50カ国のカフェを巡った強者がいるのかと、勘違いした私。
    そーではなくてBunkamuraのフリーペーパーに掲載された、50人の作者によるカフェにまつわるエッセイ集でした。それがわかるような題名にした方がいいんじゃない?と思ったけど、もともとは「思い出のカフェ ドゥマゴからの贈り物」という本だったそうで、あえて変えたのかな。
    Bunkamuraのドゥマゴと聞くと、それだけで私はきゅんとするけど、若い方はぴんとこないだろうしね。

    行ったことのある国、行ってみたい国、そして絶対行かないと思う国、どれもおもしろい。作家さんも知ってる人、知らない人いるんだけど、着眼点や表現が違って楽しかったです。

  • 東欧諸国やインド、アフリカ、南米などありとあらゆる国々のカフェでのエピソードがつまっている。文豪たちが綴るガイドブックでは伝わってこない臨床感、匂いまで鮮明に浮かび上がるような一冊。リラックスしたいときにもってこいの本。

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