心中天網島―マンガ日本の古典 (27)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784124033052

感想・レビュー・書評

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  • 歌舞伎の原作を知りたいと思い手軽な漫画で読んでみたが、やはり心中物は、理解不能でした。

  • 山内マリコ「あのこは貴族」つながりで。心中天網島、女殺油地獄、曾根崎心中ともに、1ミリも共感できず。金もないのに遊女に入れあげ行き詰まり、あるいは、甘やかされ放蕩の限りを尽くし、最後は自分を可愛がってくれた主婦を強盗殺人とか。閉塞感を覚えていた当時の多くの人々には琴線に触れるものがあったのかもしれないが。読みたいきっかけになった心中天網島の女同士の義理も、一定の抑止力になったかと思いきや、結局、心中は決行され、形ばかり、死ぬときにお互い断髪して申し訳を立てようとしていたが…と。

  • 近松門左衛門・作。
    『心中天網島』
    『女殺油地獄』
    『鑓の権三重帷子』
    『曽根崎心中』

    文字を見ただけで、多くの人たちがサーッとひいていくのが想像できます。

    「近松原作による人形浄瑠璃」の世界は、時を経て教養になってしまった。
    でも「初演当時は庶民の娯楽であったのだ」ということを里中満智子さんは自らに言い聞かせ、現代の私たちが共感できるように解釈をつけ編集して、この漫画を描いてくださいました。

    「よけいなことをして」と門左衛門さんにおこられるかもしれないけど、こういう形をとらなければ漫画として共感をえられないのではないか?と。

    自殺しか選択肢はなかった時代のことを十分理解するのは難しいけど、登場人物の繊細な感情はとてもよくわかりました。

    なによりこういう形でなければ一生この世界に触れることはなかったでしょう。

    里中先生ありがとうございました。

  • 日本の古典文学をマンガで紹介するシリーズの第27弾。
    里中満智子さんが近松門左衛門さんの
    ■心中天網島
    ■女殺油地獄
    ■鑓の権三重帷子
    ■曾根崎心中
    をコンパクトにわかりやすくマンガ化していました。

    らじは文楽をたまに見るので、こういうストーリーがしっかりとわかって、かつ面白い古典紹介は助かります。

    いずれも男がだらしないって感じでした。
    女殺油地獄の与兵衛くんとか超~最低!
    粋じゃない男ばかりだったよ。

    ちなみに里中さんは大阪の方なので、登場人物たちが語ることばがしっかりしているのも良かったです。

  • 江戸時代の作家、近松門左衛門の作品の漫画。
    前書きによると、ほとんどは人形浄瑠璃のために書かれていて、それをもとに後に歌舞伎の演目になっているそう。
    「人々の不満や鬱積、生きることの疲れをワイドショー的感覚で、人間の本質を詩情豊かにまとめて見せる近松作品は、熱狂的に支持されたのです」とのこと。
    ほほう。
    ・心中天網島(てんのあみじま)
    紙屋の治兵衛と曾根崎新地の遊女小春の心中事件を脚色したもの。2人の子どもと女房がいる治兵衛が、遊女の小春と心中の約束をする。治兵衛の女房おさんから別れてほしいと手紙をもらっていた小春は別れを決意して、愛していないふりをする。。。

    治兵衛のだらしなさと格好悪さに呆然とした。
    小春とおさん。女性は義理堅く、情が深く、格好よく書かれている。。

    ・女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく)
    ダメ息子与兵衛がとことん最低な話。
    与兵衛は働きもせず親のお金を使って遊び、借金をこさえ、とうとう勘当される。遊ぶお金欲しさに幼い頃に面倒を見てくれていた油屋のお吉を油まみれになりながらも殺害。与兵衛、今でいうDQNです。。救いようがありません。

    ・槍の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)
    イケメン小姓の笹野権三は川側伴之丞(かわつらばんのじょう)の妹であるお雪から求婚されている。伴之丞は勝手に権三をライバル視。
    ある日、藩が茶の湯の席を設けることに。2人の茶道の師浅香市之進は江戸にいて留守のため、どちらかが代理を務めることになる。
    権三が茶の奥義「真の台子(だいす)」を引き継ぎたいと師匠の妻おさいに言うと、娘のお菊をもらってほしいと言われ承諾する。
    しかし、お雪の乳母がおさいに仲人を頼みに来て・・・。結局、誤解からおさいと権三は密通の容疑をかけられ逃げることになるという納得いかない展開。

    妻に密通された男は、妻とその相手の男を討つ「女敵討(めがたきうち)」を成し遂げないと、権威が地に落ちる・・・と言われていたそう。

    ・曾根崎心中
    天満屋の遊女お初と醤油屋の手代・徳兵衛との心中もの。これが『心中天網島』につながっているそう。

  • 妻っ! 重っ! ストーリーの合間に出てくる女性陣のモノローグが大変に重い。意地と見栄かあ。心中に向かう道行きでさえ、男女二人の思いは一致しない。足で首を切る場面は艶っぽい演出がなされたんだろうか。

  • 1996.12.21購入
    (「BOOK」データベースより)amazon
    『出世景清』で浄瑠璃に新風を吹き込み『曾根崎心中』で世話物のジャンルを創始した近松門左衛門。歌舞伎狂言も手がけた、この日本最大の戯曲作家が書いた円熟期の世話浄瑠璃四篇『曾根崎心中』『鑓の権三重帷子』『心中天網島』『女殺油地獄』を、長篇ロマンの名手里中満智子が情念豊かに描く。平成九年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。

  • なんとももやもやする話ばかり。

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著者プロフィール

マンガ家。第1回東アジアMANGAサミット事務局長。1948年大阪府生まれ。16歳のとき「ピアの肖像」で第1回講談社新人漫画賞受賞をし、プロのマンガ家生活に入る。その後数々のヒット作を生み出し現在に至る。主な作品に「アリエスの乙女たち」「あすなろ坂」「鶴亀ワルツ」他多数。「あした輝く」「姫が行く!」で1974年講談社出版文化賞受賞。「狩人の星座」で1982年講談社漫画賞を受賞。マンガジャパン事務局長。(社)日本漫画家協会常務理事。大阪芸術大学芸術学部文芸科教授。文化庁文化審議会著作権分科会委員などを歴任。

「2005年 『アジアMANGAサミット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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