マンガ ギリシア神話〈6〉王女メディアの激情

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  • 中央公論新社 (2000年9月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784124901702

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  • 英雄として描かれる、イアソン、ベレロポンテス、ベレロポンテスに似ているアイゲウス、アイゲウスの子テセウス。

    イアソンに重すぎる愛のメディア、彼女は再婚した夫アイゲウスに、テセウスを殺させようとします。
    王妃ステネボイアはベレロポンテスを、テセウスの再婚した妻パイドラは、先妻の子ヒッポリュトスを、ふられた腹いせに仕返しをします。

    こういう物語とアマゾノキア(アマゾン族と英雄たちとの戦い)は、当時の女性嫌悪の考えが反映されています。
    アマゾン族の、「子供をつくる道具としてしか男はいらない」考えは、実質的に女性不在のアテナイ社会を裏返しにした幻想にすぎない、と解説の西村さん。

    アテナイ市民つまり男性は、総体としての女性という未知なる「他者」に対してつねに恐怖を抱いていて、女は男を破滅に導く危険な恐るべき存在だとみなしたそうです。
    このような不安の結果、女に自由を与えてはならない、女はたえず抑圧しておかなければならない、そうしなければ秩序も体制も崩壊してしまうというセクシズムが生まれたそうです。

  • イアソンがアルゴー船に乗って黄金の羊皮をゲットしに行く「アルゴナウタイの物語」がメインの巻。

    王女メデイアさんはイアソンさんへの愛のために祖国を裏切り、弟を殺したわけだけれど、最後は情熱が重すぎるがゆえに愛を失って悲劇のヒロイン…。

    かと思ったけれど、愛を失ったらその愛の結晶である子供たちまで自らの手で殺しちゃうとか、やっぱり重すぎるって!

    しかも、その後はテセウスさんのお父さんであるアテナイ王と再婚して子供をもうけていたりだとか、なんだか結局はまた別の恋をしてるわけだよね。
    よくわからん…。

    まぁ、テセウスさんのお話は「自分たちの街にもヒーローを作ろうぜ!」ってアテナイの人たちがいろんな英雄譚をくっつけて作った物語っぽいから、アルゴナウタイのヒーローであるイアソンさんの妻だったメデイアさんを自分たちの街の王妃にもってきたのかな…って思うけれどね。

  • 図書館の本

    内容(「BOOK」データベースより)
    心変わりした夫に天罰にも等しい苦しみを―王女メデイア、戦慄の復讐劇。 --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

    女王メディア
    彼女はオペラの題材にもなっているので楽しみにして読みました。
    愛情が形を変えるとき、それは残虐にもなれるということなのね。
    ただやっぱりこの発想は西洋人だからだと思うの。すくなくとも日本人的にはこの発想はありえないと思うの。
    愛すればこそ、かぁ。
    メディアの行動の1/100なら理解も出来る、女だしね。
    ただ男性から見るとただただ恐ろしいのだろうなぁ、彼女。

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著者プロフィール

マンガ家。第1回東アジアMANGAサミット事務局長。1948年大阪府生まれ。16歳のとき「ピアの肖像」で第1回講談社新人漫画賞受賞をし、プロのマンガ家生活に入る。その後数々のヒット作を生み出し現在に至る。主な作品に「アリエスの乙女たち」「あすなろ坂」「鶴亀ワルツ」他多数。「あした輝く」「姫が行く!」で1974年講談社出版文化賞受賞。「狩人の星座」で1982年講談社漫画賞を受賞。マンガジャパン事務局長。(社)日本漫画家協会常務理事。大阪芸術大学芸術学部文芸科教授。文化庁文化審議会著作権分科会委員などを歴任。

「2005年 『アジアMANGAサミット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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