RINGADAWN〈リンガドン〉 - 幽霊街と呪い笛吹き (C・NovelsFantasia あ 4-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 61
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784125011752

作品紹介・あらすじ

幽霊街を見つけたらけっして近づいてはいけないよ-幼い頃に聞かされた御伽噺さながらに家財を残したまま無人となった村を発見した税務官イセリナ。幼馴染みの軍師カミナに協力を頼み騎士ノルンを伴い調査に向かう。はたして村人たちを消し去ったのは呪いか、犯罪か、陰謀か。御伽噺シリーズ第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • ・1巻目と同じ世界で異なる国の話。個人的には前の巻より面白かった。
    ・村人全員が行方不明になった村の調査におもむいた軍事顧問補佐官、その護衛、税務官。この三人がなかなか個性的なので楽しくついていこう。
    ・もっとも、死者がバタバタ出てくるは、大勢の行方不明者はいるわで状況はそう牧歌的ではないが。
    ・誰が、なんのために一連の事件を画策していたのか?
    ・このシリーズは図書館で本当にたまたま手に取っただけだったが、かなりの拾い物って気がする。リアルってのではないが現実的でシビア。
    ・「銀英伝」か「ねじまき精霊戦記」かとか思っていたらだいぶ異なる方向に行く。

    ▼呪い笛吹きについての簡単なメモを読みながら書いとく

    【アインブラム・ヴィンラッド・グーテリア】イセリナの婚約者。ジュラールの従兄弟。次期領主。ドートメルに操られているダメ貴族。
    【イセリナ・リフィーリア・ガラードラル】カミナの幼馴染の女性だが今では親しさよりも遠慮が先に立つ相手。税務官。白に近い銀髪の美女。前巻の妖精姫と並んだら豪勢だろう。頭のかたいところはあるが、自分のしたいこととできることの差を承知しているし理解できていることと理解できていないことがあることも承知している。カミナの目から見て特に優秀ではなく敵に回ったとしても脅威ではないがたいがいの場合彼女は「正しい」。そのくだりを読んだときこの話の全貌が見えたような気がした。
    【学府】カミナいわく「帝国という法」を学ぶ場。
    【カミナ・シュート・クルス】主人公。エイグラード領の貧乏貴族の次男坊で統括軍事顧問補佐官(伯爵相当の役職なのでかなり偉い)。楽してかつへつらわず生きるために軍師になろうと考えた。イメージ的にはヤン・ウェンリーではある。一筋縄ではいかない人物のようで今回の事件の首謀者が彼であっても驚かない。《自分のことなどどうでもいいのだ、この男は。》p116とフェルディナンドは思った。前の巻の主人公の《レイジはレイジに対してとても冷たいのだ。》という表現と似ている気がする。カミナには死の臭いがある。他者を殺し自分の命もそう大事ではない。だからいつか寿命でなく死にそうで、最後まで死んでほしくはないとは思う。《思考と弁舌と無神経で軍師になったような男だ。》p.124とノルンは思った。ここまで図太くはないがカミナにはシンパシイを感じる。
    【貴族】《貴族とは民人に立たせてもらっているのだ》p.84とイセリナは考えているが帝国貴族としては少数派。
    【貴族名】帝国ではミドルネームに当たる部分が貴族名となっている。
    【クラウスロン】前巻にも出てきた暗殺者集団。クラウスロンかどうかは別にして暗殺者的な誰かは登場するわけで、カミナないしはマリーナがこれだったとしても特に驚かない。イセリナがそれならかなり驚くがまずあり得ないだろう。ノルンだと驚かないがノルンであってほしくないとは思ってる。ドートメルの場合は普通にあり得る。地位と権力を得ようとする暗殺者ってのもあるかもしんない。また暗殺者が前巻の主人公だったとしても驚かない。さてさてどうなんでしょう。
    【クラスト】黒槍騎士団員。カミナの調査行に同行した。
    【ジュラール・ヴィンラッド・シュタインズマン】エイグラード領の領主子息。前の巻で妖精姫の結婚相手候補として登場し殺されかけた飄々としてけっこう大物っぽい男。他人に本心を見せないタイプなところがカミナと似ている。
    【戦争】戦争は下策だとカミナは言う。《口と舌が付いているのですから、話せば良い》p.13
    【帝国】「妖精姫と灰色狼」では、現在は必ずしも敵国ではないが油断のならない強大な国という感じだった。征服されるとそれまでよりよい統治をしてもらえるので悪いことではないという印象。元々はいくつかの国家だったものが統合された国。
    【ドートメル・イステンマーク・マスタリアス】カミナの上司で統括軍事顧問。権力欲にまみれているが無能ではなく威圧感のある油断ならないおっさん。
    【ノルン・アコース】準騎士官。赤毛で背が高く、気が強く戦闘能力の高い美女。羽根(パルーフ)の二つ名を持つ特務騎士官(上級騎士官で準爵相当)。
    【呪い笛吹き】笛吹きがやってきて笛を吹いたら村人が消えてしまうという御伽噺。幽霊街は出ているので題名からしてこれも登場しているはずだがさてこの巻では誰に当たる? まあ、わかりきっているが。
    【フェルディナンド・グレアル】黒槍騎士団の騎士官。ドートメルの命でカミナたちの調査に同行する。イセリナの護衛でありお目付け役でもある。
    【マリーナ】幽霊街のようになってしまった村の少女。アウィスという比較的大きな町から戻ってくると村が無人になっていたと本人は言っている。
    【幽霊街】無人の村に近づくと呪いをうけてしまい自分の村に戻るとそこも幽霊街になってしまうという御伽噺。この巻ではたくさんの幽霊街が見つかり主人公たちが調査に赴く。《そりゃ、異様だけどね、無人なら安全だろ?》p.71
    【ラトキエ・フリンジ・スティサム】優秀な財務官。ディナス貴族区が財政破綻していないのは彼の働きによるところが大きい。カミナをして敵にまわすと厄介な相手と言わしめた。《冬眠から目覚めたけどまだ寝不足で不機嫌な熊》p.102とイセリナは感想を抱いた。
    【ローベル・オイゲン・メイディアス】ディナス貴族区の管理官。ダメ貴族の見本のような男。

  • 悪辣なキャラクターを生み出す力のある作家だなあ。

  • RINGADAWN(リンガドン)シリーズの第2作。
    村から全住民が忽然と姿を消した事件の調査に向かう税務官のイセリナ、軍師カミナ、騎士ノルン。
    腹の内を決して明かさないカミナとまっすぐな性格のイセリナが対象的。
    調査を続けるうちに、ますます謎が深まり、どんどん読み進められる。

  • ☆3.5

    お伽話シリーズ二巻。
    寓話か忌避譚か。
    今回の話を読んでお伽話とか形の無いもの。というか日常の中にあるのに気づかないほど儚いものに着眼していくお伽話が好きなんだなーと思った。

  • 短い話ながら多数のキャラクタが登場するうえ、女剣士や中年貴族という同じ属性を与えられたキャラクタが登場するので、混同しまくり。
    大まかな話の筋しか頭に入ってこなかった。
    カタカナのキャラ名を覚えるコツってあるのか?

  • 2011/10/22
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    挿絵がBUNBUNさん

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