認知科学選書 14

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  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130130646

作品紹介・あらすじ

「わざ」をきわめることは「世界」を知り、拓くこと。-伝統芸道の伝承における認知過程を解明。

感想・レビュー・書評

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  • 先生がいなかったら、自分で学ぶしかない。
    わたしは卒業したら、世界からどう学べばいいのだろう?

    社会人になる少し前にこの本に出会って
    感激しました。

    主体的に参加すること。
    解釈する努力をすること。
    自問自答すること。

    学ぶことの本質を教えてくれました。

  • 知識とは何か。
    デカルトの思想に見られる「心身二元論」に立って考えるならば,それは言語を介して伝えられる知識のことである。
    この立場では,「体育は得意だけれど勉強はダメ」という生徒は知識がないと見なされる。
    しかし,運動について「知っている」こともまた知識と呼べるはずである。
    料理をするにも,自動車を運転するにも,知的なプロセスが介在していることは疑いの余地がない。
    すなわち,「知識」と「技能」は本来分離できないものなのである。
    このような筆者の主張は,ライルの「心身合一論」に依拠している。

    「学校での勉強なんて何の役にも立たない」と考える生徒が多いとしたら,その原因は,筆者が述べているような「文脈の欠如」にあると考えて間違いないであろう。
    「教えるべきことについてすでに知っている」教師は,教えている内容について,そのすばらしさを子供と共有しなければならない。
    一方で,教わる側は師匠に近づくべく模倣をくり返し,わざをぬすみ,そうして自分のわざをあみださなければならない。

    わざの探求は,人間が行う活動のなかでもっとも知的なものであると僕は感じる。

  • わざの伝承。
    師匠のわざを盗めというのは、なかなか高度な伝承だ。

    すぐには理解出来ない投げかけや、取り組みをさせ、
    本人に考えさせることでつかませる。

    西洋的に、なんでもわかりやすく説明して、
    積み上げるように教えるのとは違って、
    全体を提示し模索させるなかで継承していくものがある。

    おもしろいです。

  • 「わざ」言語が、認知や理解に果たす役割に関する考察は特に興味深い。
    自分の今後の関心や研究に生かすヒントになる書。

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著者プロフィール

田園調布学園大学大学院教授、東北大学名誉教授。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学(教育学修士)。杉野女子大学教授、東北大学大学院教育学研究科教授を経て現職。専門分野は、教育哲学、認知教育学。
著者等:『「わざ」から知る(新装版)(コレクション認知科学6)』(東京大学出版会、2007年)、『わざ言語―感覚の共有を通しての「学び」へ―』(慶應義塾大学出版会、2011年)、『教師のわざを科学する』(分担執筆、一莖書房、2019年)、『「子ども人間学」という思想と実践』(編著、北樹出版、2020年)他。

「2021年 『学校は私たちの「良い生活(グッドライフ)」だった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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