日本の政治と言葉 ― 上 「自由」と「福祉」

著者 :
  • 東京大学出版会
4.33
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 10
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130330459

作品紹介・あらすじ

言葉は政治的に操作されるだけでなく,特定の歴史的・社会的文脈において政治及び人間を拘束する.本書は,多義性をもつ言葉の意味変化を分析し,近現代日本の政治文化の特質を明らかにする. 毎日出版文化賞受賞

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 非常に面白かったです。
    「自由」の明治期のところは自分の研究と関連が深いだけに。

    それにしても、何というか、丸山真男以来の、主体的な判断力をもった
    「近代人」の形成に希望を見出すような、そういう方向性がまだこの
    1989年にはあったんだな、ということを改めて思い知らされる。

    とともに、このわずか15年で、そういう方向性がほとんど失われた、
    というか、少なくとも日本社会の中で期待されなくなって、国家的な
    もの(新しい歴史教科書から、日本代表を無闇に応援することも
    含めて)への期待が高まっていることを感じる。
    しかもその国家的なものとは、だいたいが、精神的なものの気がする。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1923年青森市生まれ。東京大学名誉教授。
「学徒出陣」から復員後、丸山眞男ゼミに参加し、1949年東京大学法学部卒業。同学部助手を経て、1953年東京大学社会科学研究所助教授、1967年同教授。1984年定年退職後、千葉大学教授、八千代国際大学教授を歴任。
その間、ハーバード大学、エル・コレヒオ・デ・メヒコ(メキシコ)、オックスフォード大学、アリゾナ大学、ダル・エス・サラーム大学(タンザニア)、ベルリン自由大学などで研究・教育にあたる。
軍国青年に育てられた過程を反省するため、明治期以後の政治思想史研究をはじめ、さらに政治過程そのものの研究に及ぶ。また、外国での教育の経験も生かして日本の政治の特徴と社会科学そのものの反省にまで至る。
【著書】『丸山眞男との対話』(みすず書房、2005年)、『一身にして二生、一人にして両身——ある政治研究者の戦前と戦後』(岩波書店、2006年)、『日本の政治と言葉(上)(下)』(東京大学出版会、1989年)、『日本の社会科学』(東京大学出版会、1984年)、『近代日本の政治文化と言語象徴』(東京大学出版会、1983年)、『現代政治の組織と象徴——戦後史への政治学的接近』(みすず書房、1978年)、『日本の政治文化——同調と競争』(東京大学出版会、1970年)、『破局と平和1941〜1952』(東京大学出版会、1968年)、『平和の政治学』(岩波新書、1968年)、『現代組織論——その政治的考察』(岩波書店、1961年)、『明治政治思想史研究』(未來社、1954年)、『誰もが人間らしく生きられる世界をめざして——組織と言葉を人間の手にとりもどそう』(唯学書房、2010年)など多数。

「2012年 『安保と原発 命を脅かす二つの聖域を問う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石田雄の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×