協同組合と農業経済:共生システムの経済理論

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  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130403054

作品紹介・あらすじ

農林水産業における協同組合の重要性を、経済理論によって明らかにする。従来の「私」「公」だけの二部門モデルではなく、そこに協同組合の「共」を組み込んだ新しい共生システムこそ、社会全体の利益を高めるものであることを理論的かつ実態的に示す。共生システムの開発途上国への応用についても言及する。

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  • 第I部 規制改革と自由貿易の実態――歪められた「私」「公」「共」のメカニズム

    第1章 規制改革・自由貿易の本質とメカニズム
     1.経済学における誤った合理性信奉
     2.利潤最大化による定式化をどう修正するか
     3.「私・公・共」の相互関係
     4.「公」の私物化
     5.規制改革・自由貿易の本質
     6.貿易自由化交渉の目的
     7.なぜ「共」が批判されるのか

    第2章 農協改革という名の農協解体
     1.「農協改革」の真の目的 
     2.農協と農家を弱体化させる「農業競争力強化支援法」
     3.独禁法の適用除外も標的に 
     4.酪農協にとって致命的な「畜安法」 
     5.外資による全農買収も近い? 
     6.農協つぶしの先に見える風景

    第3章 不合理な林業経営権の判定
     1.山も企業の利益の道具に
     2.国有林の「盗伐」も合法化、再造林は国民の税金で
     3.「食い逃げ」を許すコンセッション方式
     4.林政審議会議事録の告発――所管官庁は蚊帳の外

    第4章 企業に侵食される漁業権
     1.水産庁が意図せざる漁業法改定
     2.改定漁業法は重大な憲法違反 
     3.個別漁業権、漁獲の個別割当方式は何を意味するか 
     4.水産特区の失敗に学ばないのか
     5.「コモンズ」は共同管理が大原則

    第5章 民間優先のための種子をめぐる法改定
     1.種子も私物化へ 
     2.農産物検査法施行規則改定の意味
     3.根拠なき改定の弊害
     4.種子から食料流通までの「囲い込み」
     5.種は誰のものか


    第II部 新たな実証モデルの展開――新たな不完全競争モデルと協同組合モデルの結合

    第6章 新しい経済モデルに付加されるべき要素
     1.市場原理主義の理論的間違い
     2. 新たな分析モデルの構築――不完全競争の実態と協同組合の行動原理を組み込む
     3.解決すべき課題

    第7章 理論モデルの構築と実証分析
     1.これまでの研究の経緯 
     2.「二重構造寡占モデル」による協同組合の定式化 
     3.「二重構造寡占モデル」による協同組合の役割の実証 
     4.双方寡占モデルによる農協の役割の実証 
     5.独禁法で何を問題にすべきかの示唆 
     6.協同組合による拮抗力の効果 
     7. 「共」によって社会全体の経済厚生が高まることを示す分析フレーム
     8.コメについて得られた暫定試算の概要 
     9.新たなステージの研究展開 
     10.理論は現実を説明するためのもの 

    第III部 開発経済学への応用――途上国農村への貧困緩和の処方箋は正しいか

    第8章 途上国農村における寡占と収奪
     1.途上国農村の貧困問題はなぜ未解決なのか
     2.誰のための開発経済学か
     3.タイ政局混乱の背景にある都市・農村地域格差
     4.トリクルダウンの欺瞞
     5. タイのコメ政策(PPP)の効果分析――「常識」への挑戦

    第9章  保護を温存して他国に規制撤廃を迫るアメリカ
     1.アメリカの世界食料戦略
     2.FAO の途上国農村支援が骨抜きにされた経緯 
     3.コストの高いアメリカのコメが輸出可能なのはなぜか 
     4.農産物貿易は多額の「隠れた」輸出補助金に満ち満ちている 

    第10章 買手寡占・売手寡占の実証分析
     1.農産物の買い叩きと資材価格のつり上げ実態の可視化 
     2.カンボジア農家支援パイロット事業の効果分析 
     3.コーヒーのフェア・トレードの効果分析 
     4.本当に有効な処方箋とは 

    第11章 アジアの持続的発展のための共生システム
     1.日本のアジアに対する姿勢
     2.共生システムの鍵はアジア共通農業政策
     3.アジア全体での食料安全保障のための共生システム
     4.日本とアジアの共生に向けて

    終 章

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著者プロフィール

1958年三重県生まれ。1982年東京大学農学部卒業。農林水産省、九州大学教
授を経て、2006年より東京大学教授。1998~2010年(夏季)米国コーネル大
学客員教授。2006~2014年学術会議連携会員。一般財団法人「食料安全保障
推進財団」理事長。『食の戦争』(文藝春秋 2013年)、『亡国の漁業権開放~協
同組合と資源・地域・国境の崩壊』(筑波書房 2017年)、『農業消滅』(平凡社
新書 2021年)、『協同組合と農業経済~共生システムの経済理論』(東京大学
出版会 2022年 食農資源経済学会賞受賞)、『世界で最初に飢えるのは日本』
(講談社 2022年)、『マンガでわかる 日本の食の危機』(方丈社 2023年)他、

「2023年 『もうひとつの「食料危機」を回避する選択』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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