東大エグゼクティブ・マネジメント デザインする思考力

制作 : 東大EMP  横山 禎徳 
  • 東京大学出版会
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本棚登録 : 329
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130430524

作品紹介・あらすじ

知の最先端で活躍する人たちは,どのような思考と方法を形成してきたのか.素粒子物理学,イスラム政治思想,情報通信工学…などの分野の6人が,「デザインする」「組み立てる」という思考のダイナミックな過程を語る.東大のリーダー育成プログラムから発信される知的キャリア論,第2弾!

感想・レビュー・書評

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  • ●自分の能力を試したい=研究を続ける上での最大のドライブ
    ●個性を受け入れた上で再現性の少ないところに突出した成果を出させる
    ●戦略は一貫していても、状況により戦術は変えていく。その引出しをどれだけ持っているか

  • 印象的だった部分を抽出。
    ・宇宙の研究に「プロジェクト・マネジメント」のセンスが必要
    ・「植物医科学」分野をつくろうと決めた
    ・世界の中ではイスラム教徒は厳然としたマジョリティで、欧米やイスラムからは、日本の方が「理解不能だが、違いをなるべく問わない」という扱い。
    いずれも掛け値なしに面白いインタビューなのだけど、どういう層がこの本を手に取るのかな、という感想はある。余計なお世話ではあるが。

  • ふむ

  • 冒頭の「(我々は)同じことを繰り返し飽きもせず考えるという思考を面倒で、煩わしいと思い始めていないだろうか」編者からの問いかけ。デザインしていく思考力が必要ということで、各専門分野の方の思考の仕方を紹介されているが、一つひとつの専門的なことは難しかったので、ざっと読んだのみ。いつか再読を。
    対談の後にある編者横山さんの「知とデザイン」というまとめのお陰で少し理解できてありがたかった。
    メモ
    ・科学的データと推論を積み重ねていくとどうしても今までの考え方ではうまくいかない瞬間がある。そこで新たなパラダイムを受け入れる必要があること
    ・現代社会に起こっている多様な現象に対して、私たちが妥当な判断をするには、原子力科学、生命科学、そして情報科学を扱う世界に対する理解には、サイエンスリテラシーが足りていないこと
    ・イスラムの世界を自分の尺度でとらえず、イスラム世界が前提としている考も含めて思考する必要があること
    ・社会のインフラをもっと標準化するとグローバルマーケットが見えてくること
    ・目的と手段の関係が合理的に成立していても、失敗することがある。その失敗を回避するには、誰かが想定されていない可能性について言い続ける必要があること。
    ・デザインというのは、アナリシス(分析)に対して、インテグレーション(統合)の作業。分析には方法論があるが、統合には方法論がない、薬を作るにもデザインの部分が大きい。
    この章で印象的だったところ
    都市デザインの「ミニプランアプローチ」は、都市全体はもう複雑すぎて設計できない、変革が必要な部分にミニプランをつっこんで、自己調整をしてもらう
    (村上)日本人であることと、西洋人であることに違い
    親鸞や空海のような日本人の自然観によって科学に向かう
    ・自然界から得られたものからアプローチするのは日本人の得意とする部分
    ・必要な能力はどんな分野でもどこかが高ければよい、5つのうち1つでも
    ・情緒的な作文ではなく、ロジカルライティングを中学くらいからやってほしい

  • 展示図書 思考力フルスロットル!!! 
    「考えを学ぶ」「考えを鍛える」「考えを描く」図書

    【配架場所】 図・3F開架
    【請求記号】 336.2||TO
    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/399051

  • 池内恵 イスラム
    全ての事は神に啓示され、それはコーランに書いてある。よって、新しいこと、オリジナルティの発想はない。宗教と政治の癒着が当然になってる。絶対的真理があり、それは覆されない。

    江崎浩
    オープン化で新しい発想が生まれる。乗換駅のように人の交わりが多い場所にはビジネスのチャンスがある

    小野塚知ニ イギリス産業、経済学
    合理的な選択が必ずしも正しいわけではない。
    第一次世界大戦は、ナショナリズムで外敵を作って国内の隠したい要素を隠蔽し、民衆を味方にして進めたが、結果ナショナリズムに押されすぎて、統制できなくなった

    難波成任
    私たちが思ってる知識やイメージが正しいと限らない。農薬がダメとか遺伝子組換はよくないとか言ってる一本、バイオのイメージはいい。サイエンスリテラシーがかけてる

  • スマホ時代になり、時間をかけて何度も往復し深く考え抜く思考がなくなってきた。
    少子高齢化は、少子化は社会的現象、高齢化は生物学的現象。
    ひょうめんてきな現象に注目し場当たり的な解決策しか取れていないのが日本の現状。
    ★人の10倍考え、五感で考える思考訓練を繰り返す。
    これは?と思った疑問を「そうか!」と思えるまで考え抜く。
    日本やアメリカでは宇宙観測装置でどんあんいがんばっても、最終的にデータを取って科学的に分析するところまでしないと論文にならないが、ヨーロッパはそうではない。
    すばる望遠鏡に重装備のカメラなどを搭載して、暗黒物質を探るスミレプロジェクトがある。すばるは建設当初必要以上に頑丈に作られ予算もかなりかかり、批判もあったが、それが良かった。

    農薬使わないのが自然だという考えもあるが、そもそも田を耕している時点で自然ではない。科学的な発想に切り替えていくべき。医療では遺伝子組み換えはすでに用いられている。もちろんすべてを安全だということはできないが、毛嫌いするのは間違い。

    第一次世界大戦については、当時の状況として、数ヶ月くらい戦ってガス抜きでもしようといった空気もあったといわれている。最近の研究では、経済的な問題とか通称外交上の問題は直接の原因ではなかった。当時の欧州人の心理状態に注目しないと原因は見えてこない。

    東大は官をコントロールしようとする、慶応は官とは反対のことをしようとする。

  • 東大EMP(エグゼキュティブ・マネジメント・プログラム)講師陣による知の最前線、思考法を説く本。普段、あまり縁のない物理、ライフサイエンス、イスラム思想など、幅広い分野の第一人者の思考に触れられることで、自身の認知幅が広がった気がした。

  • 本書で終始主張されている「デザインする思考法」や「デザインの方法論」とは、とてもシンプルであたりまえのもののだった。それは「仮説の設定とその検証を繰り返し行うこと」と、編者は冒頭で宣すとともに、いくつかの章で小括している。ただその仮説を生み出すプロセスの中では、ひらめきやセレンディピティ、当該仮説を棄却することが求められており、当然失敗も多くある。新たなパラダイムへの転換を余儀なくされることもある。結果的にそれらを受け止められる「精神的なタフさ」が、各研究者に通底する気構えだと思った。

  • 「分析する思考」から「組み立てる思考」(デザインする思考)へ

    「胃は使えば使うほど疲れるが、頭は使えば使うほど良くなる」

    1.頭の調子のいい時間帯(早朝)を最大限活用する(ばらばらな事象を統合する力)
    2.人の10倍考える(考え続ける忍耐力)
    3.できる限り五感を動員しながら考える(目と手を使う)

    ◯パラダイムシフトに対応する姿勢 (村山斉 素粒子物理学)

    宇宙は加速してる、1998年 暗黒エネルギー物質の発見
    すばる望遠鏡、日本はゲリラ戦、大きく無いけれど面白いことをやっていて、それが当たってる感じ

    ◎多様な現場から普遍性を探る思考(難波成任 植物病理学)

    人間くさいことはマネジメントの部分でやるべきで、課題設定や思考の部分はニュートラルに自由にやらせるべき (軍隊式ヒエラルキーと多様性まとまりのなさ、両方が必要)

    遺伝子組換え技術は自然界で起こってる組換え現象に比べればまだまだ現界が多い

    飢饉は神の怒り、豊作は天の恵み、だから自然交配、有機農法が良いと言う常識は間違い
    飢饉の大半は冷害が引き金の稲いもち病、
    豊作もコシヒカリのような単一品種の耕作、
    本来の自然の姿ではない

    ◯失敗をオリジナリティにつなげる戦略 (井上将行 有機合成化学)

    →独自性、普遍性、多様性

    9割仮説を失敗することが、1割の成功に繋がる

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著者プロフィール

東大EMP
東大EMP:東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム


「2014年 『東大エグゼクティブ・マネジメント デザインする思考力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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