- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784130603027
作品紹介・あらすじ
専門知と社会をつなげるために——.異分野間摩擦のしくみを分析,それを越えて,現代社会の直面する諸問題に対応するため,専門家・市民・行政の三者をつないで公共空間を担保する具体的な仕組みを示す.科学技術社会論(STS)の格好のテキスト.
感想・レビュー・書評
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本書は、本学副学長、総合文化研究科教授の藤垣裕子先生が2003年に執筆されました。
新型コロナウイルス感染症流行中のいま、「不確定要素をふくみ、科学者にも答えられない問題だが、『今、現在』社会的合意が必要」(7頁) な課題が、平時よりもさらに多く、降りかかってきていることは間違いありません。生活の制限に直結する流行予測から、ワクチン等の対策、治療に関することに至るまで、様々な日々更新される科学が、社会で使われています。このような状況下で、専門家と市民の間でコミュニケーションギャップが生じてしまうことがあります。その原因はどこにあるのか、そしてそのギャップはいかにして乗り越えるられるのかという問いに答えてくれる本です。
18年前に出版された本書ですが、現在の状況を考える上で有用な概念が詰まっています。私は、何となく抱いていた問題意識をよりクリアにできたこと、解決策への展望を得られたことに感銘を受けました。
科学に関わる一市民として、また、”専門知”を生み出す専門家の卵として、駒場で学ぶ教養学部の学生に、文理を問わず読んでいただきたい一冊です。また、同著者の「科学技術社会論の挑戦」(全3冊,2020,東京大学出版会)もeBookにありますので、併せてご覧ください。
(理科Ⅱ類・1年)
【学内URL】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000046839
【学外からの利用方法】
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus -
3570円購入2010-11-08
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読みたいけど、やや高いし図書館にありそうだから。
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1-1-2 科学技術社会論
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2010 10/1読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りて読んだ。
『情報管理』誌掲載の長神風二さんの書評(http://dx.doi.org/10.1241/johokanri.53.348)を読んで、デジタル積読に入れていた本。
なんとか次号が出る前に読めた。
「科学者にも予測がつかない問題」を公共的に解決する、という現代の課題に際し、専門家の役割をどう再定式化するか、といった内容の本。
第1部では科学者の専門主義を支える機構=ジャーナル共同体についての考察と市民との間のコミュニケーションギャップについて扱い、続く第2部でその専門主義と「公共性」がいかに折り合いをつけるか、という点について扱う。
科学者集団の単位にジャーナル共同体を使う点等、実感に即した部分多し。
全体に興味深い、だけではなく、オープンアクセスを市民への公開として考える場合に参照すべき知見が多い。博士論文執筆時に再読する必要があるかも。
さらに、ここで言われている「状況依存」し、現場の変数結節を大事にした知識生産、という考え方は自分の研究テーマを超えて図書館情報学全体のありようを考える上でも面白い。
書評中で紹介された長神さんGJ!
(その長神さんのお話でたびたび触れられている考え方についても本書を読んでより理解が深まった気がする) -
専門知と現実に起きる社会問題の兼ね合いについて
「科学社会学」という視点から述べた著書。
キーワードは妥当性境界、状況依存性、変数結節。
水俣病やO157など、
自然科学の専門知が必要とされる問題が上がっており、
文系の人は関心が持ちづらいかもしれないが、
「学問がどのように社会で役立つか」
ということを考える上で、
かなり貴重な提言をしていると思う。
学問や科学的知見を信じて疑わない人、
あるいは逆にほとんど信用していない人、
この両者にお勧めの著書。
実際、学問を崇拝気味だったレビュアーにとって
目から鱗の著書であった。
それに、科学的知見の意義と限界、
そして専門家とそうでない人の間の
「学問」への認識の違いについて述べているので、
逆に専門知が役に立たないと思い込んでいる人も
内容を理解すれば目から鱗だと思う。 -
不確定要素を含み、科学者にも答えられない問題だが、今現在社会的合意が必要な問題について、どのように意思決定すべきか、ということについて書いた本。
抽象的で難しい部分もありますが、遺伝子組み換え食品の安全性や狂牛病について、意思決定の際に何が問題なのかが見えてきました。 -
専門知をいかに公共性を持つものに転換していくかを考えていて、集合的な決定をいかに成していくかを考察していく上で参考になる。