密教・コスモスとマンダラ (NHKブックス 486)

著者 : 松長有慶

• NHK出版 (1985年9月1日発売)

感想・レビュー・書評

[キじばと。。さんの感想 · 2022年10月7日]

密教についてわかりやすく解説している本です。

密教は、仏教のなかでもとりわけ儀礼や呪術を多く含んでいる点に特色があります。元来仏教では、バラモン教の伝統的な儀礼や、古代インドの日常生活において実践されていた呪術などを否定し、心の平安にいたることをめざしました、しかし、それらの呪術は日常生活の作法に起源を有しており、完全に絶縁することは不可能です。

そうした状況のなかで、儀礼や呪術が仏教に取り入れられ、護摩法のようなものに仏教的な意義を認めようとする傾向が生まれます。これは、現世利益的な儀礼や呪術を「純化」するものでした。そのことは仏教のほうから見るならば、仏教思想が「儀軌化」されることであったと著者は論じています。こうして、密教において実践されるさまざまな儀礼が成立したと解説されています。

さらに、密教は法身の説法であるとされ、歴史上の釈尊を教主とせず、宇宙の真理に耳をすませ目を凝らして、それをみずからにおいて実現する即身成仏の教えが説かれることになります。著者はここに、ミクロコスモスとマクロコスモスの一致という発想を認め、その現代的な意義について語っています。

密教の概要を把握するために有益な本だと思います。

[baxさんの感想 · 2011年6月11日]

［　内容　］


［　目次　］


［　ＰＯＰ　］


［　おすすめ度　］

☆☆☆☆☆☆☆　おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆　文章
☆☆☆☆☆☆☆　ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆　メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆　冒険性
☆☆☆☆☆☆☆　読後の個人的な満足度
共感度（空振り三振・一部・参った！）
読書の速度（時間がかかった・普通・一気に読んだ）

［　関連図書　］


［　参考となる書評　］

[春雷さんの感想 · 2010年4月25日]

マンダラから世界を読み解く手助けになります。

[マコ大王さんの感想 · 2007年2月6日]

ヨーガを勉強しているので、勝手にサブテキストに位置付けて読んでいます。まだまだ内容が頭に入りきらないので★３つ。内容がわかるにつれ★増えると思います。。（・・・ってそういうシステムじゃないよね（＾＾；））

著者プロフィール

1929年　和歌山県高野山に生まれる。1951年　高野山大学文学部密教学科卒業。1959年　東北大学大学院文学研究科印度学仏教史学科博士課程修了、文学博士。現　在　高野山大学教授、高野山専修学院長。著　書　『密教の歴史』（平楽寺書店）、『密教―インドから日本への伝承―』（中公文庫）、『理趣経』（同）、『密教』（岩波新書）、『密教・コスモスとマンダラ』（ＮＨＫブックス）、『松長有慶著作集』全５巻（法藏館）他多数。訳　書アジット・ムケルジー『タントラ 東洋の知恵』（新潮社）（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）

「1994年 『密教大系』 で使われていた紹介文から引用しています。」